おはぎを作成した。
急逝した黒木和雄監督の遺作。戯曲が元になっているだけあって、舞台となるのは紙屋家と病院の屋上だけだ。しかも定点カメラにおけるワンカットが多く、覚えるのも大変そうな長台詞によって観客を映画の中へ引きずり込んでゆく。戦時中という異常な事態ではあるものの、兄(小林薫)と兄嫁ふさ(本上まなみ)、そして妹悦子(原田知世)の3人の会話はホームドラマさながらに笑いを与えてくれるのです。
悦子が好きだったのは兄の後輩である海軍航空隊の明石少尉(松岡俊介)。しかし、突然舞い込んできた縁談は彼の紹介で整備工の永与少尉だった。美味しい静岡のお茶と甘いおはぎ。趣味について話をすすめるよりも食べ物の話題が縁を取り持つほど微笑ましいお見合い。女学校を出ていても文学や映画の趣味もない悦子の日常は、ほんの些細なことでも幸せを見出せるかのような慎ましい女性だったのです。ふさの言葉から推測すると悦子は寂しがりやのはずなのに、両親を東京大空襲で失っても凛とした態度で昭和を生きる女性でした。
沖縄奪還作戦に志願した明石が紙屋家を訪れたとき、永与からの縁談にも感情の揺れを見せなかった悦子の心理が大きく変化します。「なぜ戦争が起こるのか?」という疑問は序盤に見せる後年のシーンで語られますが、ただ平凡に生きたいと願う彼女に好きだった人を戦争に奪われる悲しさが堰を切ったように押し寄せてしまうのです。もう家族は失いたくないという心。純粋に祖国のために命を賭ける明石はその彼女の気持ちをも考えて、信頼できる永与に悦子を託したのでした。この手紙の内容はわからないものの、永与の言葉や、会話の中でちょっとだけ見せる明石の悦子に対する想いが観客の想像力をたくましくしてくれる。こうした手法も好きです。
海軍基地も飛行機整備工場も登場しない。戦争の映像だって一切登場しないのに、ここまで戦争の無情さを伝えてくる脚本の上手さ。戦争の悲惨さはなにも戦場だけではなく、一般家庭の食卓にだってあるんだ。そうした黒木監督の想いが伝わってくる。赤飯とらっきょうを食べれば死なないという噂が本当だったらと願う一般庶民。小さな幸せしか望んでいない人たちがもっと声を上げられる世の中にしなければならないのかもしれません。また、『父と暮らせば』と同じく、残された人の悲しさや苦悩も伝わってきました・・・
★★★★・
急逝した黒木和雄監督の遺作。戯曲が元になっているだけあって、舞台となるのは紙屋家と病院の屋上だけだ。しかも定点カメラにおけるワンカットが多く、覚えるのも大変そうな長台詞によって観客を映画の中へ引きずり込んでゆく。戦時中という異常な事態ではあるものの、兄(小林薫)と兄嫁ふさ(本上まなみ)、そして妹悦子(原田知世)の3人の会話はホームドラマさながらに笑いを与えてくれるのです。
悦子が好きだったのは兄の後輩である海軍航空隊の明石少尉(松岡俊介)。しかし、突然舞い込んできた縁談は彼の紹介で整備工の永与少尉だった。美味しい静岡のお茶と甘いおはぎ。趣味について話をすすめるよりも食べ物の話題が縁を取り持つほど微笑ましいお見合い。女学校を出ていても文学や映画の趣味もない悦子の日常は、ほんの些細なことでも幸せを見出せるかのような慎ましい女性だったのです。ふさの言葉から推測すると悦子は寂しがりやのはずなのに、両親を東京大空襲で失っても凛とした態度で昭和を生きる女性でした。
沖縄奪還作戦に志願した明石が紙屋家を訪れたとき、永与からの縁談にも感情の揺れを見せなかった悦子の心理が大きく変化します。「なぜ戦争が起こるのか?」という疑問は序盤に見せる後年のシーンで語られますが、ただ平凡に生きたいと願う彼女に好きだった人を戦争に奪われる悲しさが堰を切ったように押し寄せてしまうのです。もう家族は失いたくないという心。純粋に祖国のために命を賭ける明石はその彼女の気持ちをも考えて、信頼できる永与に悦子を託したのでした。この手紙の内容はわからないものの、永与の言葉や、会話の中でちょっとだけ見せる明石の悦子に対する想いが観客の想像力をたくましくしてくれる。こうした手法も好きです。
海軍基地も飛行機整備工場も登場しない。戦争の映像だって一切登場しないのに、ここまで戦争の無情さを伝えてくる脚本の上手さ。戦争の悲惨さはなにも戦場だけではなく、一般家庭の食卓にだってあるんだ。そうした黒木監督の想いが伝わってくる。赤飯とらっきょうを食べれば死なないという噂が本当だったらと願う一般庶民。小さな幸せしか望んでいない人たちがもっと声を上げられる世の中にしなければならないのかもしれません。また、『父と暮らせば』と同じく、残された人の悲しさや苦悩も伝わってきました・・・
★★★★・
弁当箱で作ってた時代、懐かしいです・・・(うそ)
俺も昔はシンセサイザー(?)を作りました。といってもピープー音のシンセですが・・・
ラジオなんてみんな作ってましたけど、もっと複雑なものを作りたかったです。
口下手なのに、趣味のこととなると雄弁に語る、この時代からおたくっていう人種は存在したんですね~。
弁当箱で電気カイロって、電気回路と思ってました。。。
そうでしたかぁ~
その気持ちもよくわかります。
脚本や映画そのものには力が入ってるようでしたけど、演技面では残念な部分もありました。長いカットのために原田知世なんかは次の自分の台詞までの間が悪いんですよね。
「幸福のスイッチ」がいよいよ公開ですかぁ。
楽しみにしてますよん♪
うーーーん、アタイはビミョーな映画でした。
映画にするにはムズカシかったのかなー・・・
宣伝でゴメンナサイ。
この映画にもでてたほんじょさんもでてる映画「幸福(しあわせ)のスイッチ」がシネモンド(1/6~予定)と福井のコロナ(近日)で上映されます。
主演が上野樹里で父親が沢田研二というじゅり&ジュリーの作品(まなみ&真奈というのもありますが)
地味な電器屋の映画ですが、もしお時間あったら観てやってください。
※問題あれば削除してください。
最初の屋上のシーンでは違和感があったのですが、会話をじっくり聞いてるとなかなかいいなぁ~なんて。
おはぎのシーンはそんなに何度も撮ったのですか?気持ち悪くなりそう・・・俺は3個くらいが限界です。
特に、長与がおはぎを食べるシーンでは、何テイクあったのかしらなんて。
あのシーンだけでも4つは食べていたしお茶も500ミリリットルは飲んでいたでしょう。
それが何テイクもあると・・・うえーっぷ!