でかいイノシシにはスローモーションがよく似合う。
敵に見つからないようにと傷ついた仲間をも撃ち殺した北の兵士たち。逃亡兵となって森で自決しようとしていたところを衛生兵によって助けられた南の兵士。そして飛行機が墜落して九死に一生を得たアメリカ兵。それぞれが山奥のトンマッコルの村へ辿り着く。不思議な白い蝶によって邪悪な者から守られたかのような、純粋な心で武器も持たない平和な村。戦争とは無縁であり、手榴弾なんて誰も見たこともなさそうだし、銃を向けられても手を上げるのは博識のキム先生だけだったりする。
久石譲の音楽効果も相まって、宮崎アニメの実写版のような雰囲気に包まれた作品。製作者側も確実に見ているだろう宮崎アニメがところどころにオマージュされているかのよう。『もののけ姫』に出てくるような幻想的な村の入り口。『風の谷のナウシカ』のような墜落機の残骸。雨の中、若いテッキがバカ女と呼ばれていたヨイルに手ぬぐいを差し出すシーンで『トトロ』を感じてしまいました。宙に明かりを浮遊させる幻想的な夜のシーンでは小栗康平監督の『埋もれ木』を思い出すのですが、これも宮崎アニメにあったのかな。
戦争が起こっていることを忘れさせてくれるような理想郷。現実的ではないにしろ、武力によらない南北統一の夢をも感じさせ、ファンタジーでありながら戦争の愚かさを痛烈に批判した作品だと感じられます。しかし、映画は無情にも平和なまま終わることはありません。連合軍が遭難したスミス大尉を捜索する名目で村を攻めてきたとき、村人がとった行動に思わず涙。さらに、その村を守るために彼らのとった行動にまた・・・ここでは怒りと復讐心にまかせて最後の1人を殺さなかったというストーリーが光っていました。
敵対していた役を演じるシン・ハギュンとチョン・ジョヨン、2人の俳優の名演とともに、“兄貴”と呼ばれたイム・ハリョンが渋い演技でした。こんな村があってもいいのにな~などと軽く妄想してしまいますが、こうした平和な村を作るのか現実的な課題なのかもしれません。だけど菜食主義じゃ辛いかも・・・
★★★★★
ポップコーンはあったほうがいいかも。
敵に見つからないようにと傷ついた仲間をも撃ち殺した北の兵士たち。逃亡兵となって森で自決しようとしていたところを衛生兵によって助けられた南の兵士。そして飛行機が墜落して九死に一生を得たアメリカ兵。それぞれが山奥のトンマッコルの村へ辿り着く。不思議な白い蝶によって邪悪な者から守られたかのような、純粋な心で武器も持たない平和な村。戦争とは無縁であり、手榴弾なんて誰も見たこともなさそうだし、銃を向けられても手を上げるのは博識のキム先生だけだったりする。
久石譲の音楽効果も相まって、宮崎アニメの実写版のような雰囲気に包まれた作品。製作者側も確実に見ているだろう宮崎アニメがところどころにオマージュされているかのよう。『もののけ姫』に出てくるような幻想的な村の入り口。『風の谷のナウシカ』のような墜落機の残骸。雨の中、若いテッキがバカ女と呼ばれていたヨイルに手ぬぐいを差し出すシーンで『トトロ』を感じてしまいました。宙に明かりを浮遊させる幻想的な夜のシーンでは小栗康平監督の『埋もれ木』を思い出すのですが、これも宮崎アニメにあったのかな。
戦争が起こっていることを忘れさせてくれるような理想郷。現実的ではないにしろ、武力によらない南北統一の夢をも感じさせ、ファンタジーでありながら戦争の愚かさを痛烈に批判した作品だと感じられます。しかし、映画は無情にも平和なまま終わることはありません。連合軍が遭難したスミス大尉を捜索する名目で村を攻めてきたとき、村人がとった行動に思わず涙。さらに、その村を守るために彼らのとった行動にまた・・・ここでは怒りと復讐心にまかせて最後の1人を殺さなかったというストーリーが光っていました。
敵対していた役を演じるシン・ハギュンとチョン・ジョヨン、2人の俳優の名演とともに、“兄貴”と呼ばれたイム・ハリョンが渋い演技でした。こんな村があってもいいのにな~などと軽く妄想してしまいますが、こうした平和な村を作るのか現実的な課題なのかもしれません。だけど菜食主義じゃ辛いかも・・・
★★★★★
ポップコーンはあったほうがいいかも。
山奥に住む村人なら狩猟文化がありそうなもんですけどこれは6人に一緒に猪を食べさせることで生まれる感情が描くためだったんでしょうね。村長のセリフにもありましたが、食べ物がとても重要な意味を示していた気がします。
弊ブログへのトラックバック、ありがとうございました。
こちらからもコメント&トラックバックのお返しを失礼致します。
この作品の、シリアスとユーモアを織り交ぜた仕上りは中々見応えがあり、特に、終盤から結末までの心に残る物語展開が印象に残りました。
また遊びに来させて頂きます。
ではまた。
おなかイッパイ食べる。
労働はもちろん大勢の人間の助けあいで
成り立っていて、
村に一つある小さな倉庫に
全員の食料がある。
それが最低限度のコミュニティで
物事がややこしくなくて、
みんなが笑って暮らせるのかもしれませんね。
ところで北は今でもその
「食べる」ということすら満足に出来ない状態で
この統一の願い、切実でありながらいつまでも
カリカリしてるわけで。
人の意識の改革に一筋の光が見えた気がしたのに
現実も映画もまだまだハッピーエンドには
ならないんですね・・・。
久石譲氏はどうやって誘われたのかわかりませんけど、明らかに意図されたものですよね。なんとなくどの宮崎作品を研究したのかがわかるところも素敵です。
食べ物に関してはかなり意味がありそうでしたね~イノシシのシーンのために菜食だったという説も納得です。それとも動物を殺せないほど非暴力を貫いていたのか・・・
>たろ様
いつもありがとうございます。
ファンタジーとユーモア。
映像にこだわってるかと思えば、ちゃんと笑いの場面も作ってあるし、かなり映画にもこだわりがありましたよね。こんないい作品をもっと世界中の人に観てもらいたいです。
>Ageha様
自給自足の原則。
「働かざる者喰うべからず」って言葉なんかなくても、みんな自主的に農作業をしていたことが良かったです。
非現実的であるけど、理想的な共同体。
諍いなんてほとんどないけど、みんな家族みたいな雰囲気だったし、人口が増えると大変だろうなぁ・・・
北は食糧難ですけど、一部の人間が独占しているとなると、やっぱりあいつだけは許せないかも(笑)
こうした理想を語り合うだけでも進歩するのになぁ~なんて感じました。
仕上がりがいまひとつの映画は、見ている最中に、心が浮気をするものですが、これはそんなこともなく。
戦闘のシーンでは息を呑み、笑うシーンでは本当に笑い、カン・へジョンが死んだときはもう号泣涙が首まで伝いましたから、ハンパじゃありません。
シン・ハギュンさんはどちらかというと、ヘタレ的というか、気の弱い、いい人の役・・・の印象があったのですが、この映画では、さらに魅力的になっていましたね
チョン・ジェヨンさんの『王の男』今から楽しみです。
幻想的でよかったですよね。
それと、イノシシのスローモーションは
『スウィングガールズ』まんまじゃないですか(^^;
ナウシカ、トトロ、もののけ姫が有力な説ですね。
まさしくジブリ実写版!
ストーリー展開も飽きさせないし、緊張が終わったかと思うと幻想的なシーンに酔いしれたり・・・
俺も何度か泣いてしまいましたが、一番は「こいつの親はどこだ~?!」の辺りでした。
シン・ハギュンって俳優も幅が広いですよね。
この人が「マイ・ブラザー」の兄だったなんて・・・
>カヌ様
『埋もれ木』をわかってくれる人がいてよかった~
観てる人が少ないもんだから・・・(汗)
スウィングガールズ似のイノシシのシーン、これはパクってるのかどうかわかりませんけど、ジブリへのオマージュを考えたら「もののけ姫」なのかもしれないですよね・・・
人数もあの程度だとまとまるし、人が増えるとろくなことがないのかも・・・
それにしても、ラスト全員・・は予測していたけれどヨイルの方はビックリでした。
そうなんですよね。
あの人数だからこそ成り立つ設定。
『ニューワールド』に出てきた原住民の村もあのくらいの人数でしたっけ・・・
ヨイルの死があったからこそ、若者までもが戦いを選んだのでしょうけど、辛いですよね・・・
チマチョゴリ、着てみたいです。
私も『埋もれ木』のシーンを思い出しました。
あの映画では睡魔に襲われてしまったのですけれど(汗)
あの子供が村を出て行くのではないかと母親が心配していましたから、さらなる過疎化が進んでいるのでしょうか?
新しい血を入れないと滅んでしまいそうで心配です。
あれもチマチョゴリだったんですか・・・俺はよくわかってません(汗)それよりも宮崎アニメに出てくるような服装だなぁ~と、それしか考えてなかったりして・・
>ミチ様
『埋もれ木』はほんとに眠くなりましたね~
象やらラクダやらわけわからない映像とともにあの映像だけが印象に残りました。
過疎化も心配ですけど、あの時代なら、「外では戦争やってたよ」と気づいて戻ってくるような気もします。今もあれば、もう老人ばかりでしょうね・・・
空中にはじけとんだポップコーン、飛行機まで包んでしまう蝶の群れ、ゆっくり漂っているような投下された無数の爆弾・・・。
宮崎ワールドほどの飛翔感はないけれど、ふわふわゆらゆらした浮遊感が、トンマッコルのほんわかした雰囲気にぴったりです。
トンマッコルでは人々はきちんと挨拶します。
トンマッコルでは人々は名前で呼び合います。
トンマッコルでは人々はおなかいっぱい食べます。
トンマッコルでは人々はよく働きよく遊びます。
どうしてこんなに普通のことが、外の世界ではできないのでしょう?
笑いだけではなく、押し付けがましくない政治的メッセージも聞こえてきます。
後半は、韓国映画のパワーを感じさせる迫力いっぱいで、涙もいっぱいでした。
アメリカ軍の、顔の見えないメカニカルな攻撃が、毒をもって描かれるのにたいして、一人ひとり顔の見える彼らの戦いぶりが暖かく描かれていて、ずっしりと心に残ります。
炸裂する爆弾に輝く彼らの笑顔が目に焼きついています。
コメントありがとうございます。
戦争と平和の対比をここまで落差のあるものに描いてあることにビックリでしたよね。
どうして人間の心って、好戦的だったり平和であったりするんでしょうか。
政治的なメッセージも隠れてましたけど、そんな理屈では語れないほどの映画力の溢れた映像でした。
日本は出てこなかったのですが、朝鮮戦争時には武器を作って儲けていたんですよね・・・
金沢コミュニティ映画祭始まりましたね。「怪奇と幻想の世界」…『楽日』行ってきました。三田村さんのお話付きだったので楽しめました。アート系なので予備知識入れてった方が分かりやすいかもしれません。ツァイ・ミンリャン監督『西瓜』も『迷子』も楽しみです。
そういえば『ビッグフィッシュ』でもポップコーンが効果的に使われてましたね~映画館という場所に似合うシーンだと思います。
結局、コミュニティ映画祭は1本だけになってしまいました。シネモンドで上映するからということもありましたけど、滅多に観れない映画は観ておくべきだったと反省しております・・・余ったチケットを人にあげてしまったし。
こういう「村にヨソものが」って展開は沢山ある中で
複数の登場人物が対立しながらも、心が開かれて
いくって展開に唸らされましたし、ラストは
ちゃんと戦争映画の顔になるのもいいです!
そうだったんですか~
俺も開演ギリギリまで知らず、ポスターを見てハッと気づいたのです。な、なぜ、久石譲が・・・って。
やっぱりこれを知っていると、すべてが宮崎作品に見えてくるのです(笑)
対立していた登場人物の構図も徐々にその対象が変わっていく様子だとか、平和と戦争のコントラストがとても面白い映画でしたよね。
私、この映画は「ほのぼの」系の映画なんだろう、と思っていて、「日常を忘れてほっこりしたい」と思って見ました。そしたら、もちろんあったかい村で、お話も暖かいのですが、思っていたより戦闘シーンや人が死ぬ場面が多くて、すっかり落ち込んでしまいました。
悲しすぎます。なんでそんなに人を殺すんですか。
「戦争だから」って、わかってるんですけど、つらすぎました。多分、最初の思い込みが悪いのだと思います。
ああ・・・、しばらくは笑える映画にしよう、と思ったkisenでした。
みんな平和を願っている。
だけど戦争があるのも事実。
どうすれば平和な世の中が作れるのか・・・そんなヒントを与えてくれるような映画だったんじゃないでしょうか。最後は悲しくなりましたけど、温かさが一番いいんだと教えてくれました。
たしかに予想と違っていたらビックリしますよね~
トラックバックありがとうございます。
>ファンタジーでありながら戦争の愚かさを痛烈に批判した作品だと感じられます。
クールに現実を織り込み、ハッとさせられる。そこにこの作品の意義を感じます。
普通のファンタジーなら、現実のことを無視しても楽しめるのですが、韓国映画には必ず現実への批判が織り込められているような気がしますよね。
その境目がはっきりしすぎているのは失敗かもしれないけど、それでも満点にしてしまいました~
漸くDVDで観る事ができました。
いろいろ考えさせられる作品でしたね。
「平和」が一番です!!
これはDVD買うべきかなぁ~
去年のマイベスト10のなかでは、保存版にしたい映画の3本の指にはいってる・・・
やっぱり平和ですよね。
老後はあんな村で暮らしたい・・・