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真夜中のピアニスト

2006-03-10 01:24:37 | 映画2006
 フランスでは48時間居座ると追い出されないのか・・・

 口の悪さは父親ゆずりで、ピアノの才能は母親ゆずりといった28歳のトム(ロマン・デュリス)は不動産ブローカーという職業。買い取った建物に居座るホームレスに対してネズミや水で追い出し工作をする毎日なのです。偶然再会した彼の亡き母親のマネージャーでもあったピアノの恩師から「オーディションを受けてみないか?」と言われ、母親から受け継いだ遺伝子が10年のブランクを経て甦る。猛特訓してピアニストを目指そうとするが、彼のレッスンを受け持った教師はフランス語を全く喋れない中国人留学生だった。

 映像はフィルムノワールによって犯罪と紙一重の商売と音楽の世界の対比をわかりやすく表現していて、ハンディカメラでありながらほとんど手ぶれのない安定感によって安心して観ることができるのです。父親の再婚相手だとか、同僚の浮気のアリバイ作りとか、不安定なはずなのに落ち着いてる風に思えるくらいです。そうした日常とその日常から逃避したくなる心の葛藤。父と母双方の遺伝子が彼の運命をもてあそんでいるような面白さがありました。

 留学生ピアノ教師のレッスンも順調に進みますが、他で女性と関係を持つトムなので、ここでロマンスが生まれることもありません。しかし、事件は終盤になって一気に押し寄せてきて、彼の運命も変わってしまうのですが、その2年後のストーリーが面白かった。

【ネタバレ反転】
 父を死に追いやったロシア人を殺すチャンスがあったが殺さなかったというのは両親の遺伝子には関係なく、女流ピアニストの教えに他ならないような気がします。また、コンサート・ピアニストにはならずにマネージャーとなったことで、実の父があのマネージャーだったのではないかと妄想も膨らんでしまいました・・・

★★★★・

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (ヘーゼル☆ナッツ)
2006-03-10 06:29:41
静かなる勢いのある作品でした。

kossyさんの言われるように、父親と母親の遺伝子が50/50ってところでしょうか。。。

母親の遺伝子が目覚めて、良かったなあと思います。

新たな人生が開けたって感じですね。

やはり、自分の人生(運命)に悲観にくれるくらいなら

自らの手で開けと教えてくれましたような作品ですね。



TBありがとうございました!
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Unknown (へー太)
2006-03-10 07:41:24
私は、見た当時全く乗れなかったんですが、kossyさんの文章を読んでいると不思議と、いい映画だったのかも・・・と思えてきました。



実の父親もそうとしか思えなくなってきてしまったし。



誰かに解釈してもらわないと、フランス映画理解する頭がないのかも・・・
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遺伝子 (kossy)
2006-03-10 08:24:48
>ヘーゼル☆ナッツ様

そうですよね~50/50といった感じ。

でも偶然の再会がなければ、父親の影響が強くなってしまいそうな。才能はあってもきっかけがなければ難しいのかもしれませんよね。

遺伝子などという言葉は出てこないけど、そう思わせる台詞がいくつもあったので、遺伝子中心の記事になってしまいまいした。



>へー太様

たまたま俺が音楽映画が大好きなもので・・・視点も最初からピアノの才能のほうばかりに行ってたからです。

実の父親という想像になってしまったのは2年後の彼の職業を見たからでして、劇中でそれを匂わすのは「あいつは妻のヒモだ」という父親の台詞だけでした。考えすぎかもしれません・・・
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セザール賞、総なめですよー (かえる)
2006-03-10 20:11:12
わーい。4つ星ですね!

フィルムノワールであり、青春映画であり。

父と母の間で揺れ動く心。ヒリヒリとした葛藤。

相反するものであるはずの繊細さと粗暴さが見事に共存していましたよね。

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やっぱりロシア人 (Mar)
2006-03-10 20:29:12
最近どの映画見てもロシア人はちょっと出なのに必ず人を殺していきますね。恐ろしい。



kossyさんの妄想と手も参考になりました。
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セザール (kossy)
2006-03-10 22:53:04
>かえる様

フィルムノワール・・・光と影ががわざとらしいほどスクリーンに強調されてましたね~それに気づくまで犯罪映画だとは思わなかったですよ。

心の葛藤は遺伝子の葛藤。

自分の将来のことも考えたでしょうね~

オリジナルのタイトルを考えると、あの指に繊細さと狂暴さが共存してたのかもしれませんね。



>Mar様

ロシア人怖すぎ。

言葉がわからんくせに、よくもまぁあんな詐欺みたいなことできるなぁ・・・

妄想はあくまでも妄想ですから・・・でもこうやって考えると面白いですよね(笑)
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