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疾走

2006-01-16 02:43:48 | 映画2006
 誰か一緒に映画につきあってください・・・

 痛い、痛すぎる、心の叫びと運命に翻弄される孤独な少年と少女の姿。こうした映画を新年早々観るものではないのかもしれないですけど、現実にも起こり得る幼い心の闇の部分を体感してきました。人間の醜い部分、残虐な部分を、差別・イジメ・放火・殺人といった事件を通して胸を抉られるような思いにさせてくれたのです。

 監督はSABU。『ホールドアップ・ダウン』での失速感に失望していたため、一抹の不安を覚えながらの鑑賞となりましたが、これは凄い映画でした。これまでずっとオリジナル脚本で勝負してきたSABU監督ですが、重松清の原作に惚れこんで初めて原作の映画化にチャレンジしたとのことです。原作者さえも想像の世界だった“浜”と“沖”に隔てられた地域。惚れこんだ執念でロケハンし、美しさと暗さが共存する映像美を醸し出すことができたとのだと思います。また、冒頭からシュウジの心を代弁するかのようなナレーションが流れるのですが、彼自身をを第3者のように語り、「これは誰の言葉なのか?」と物語に惹きつける手法も面白かったです。

 子供の頃から憧憬の念を抱いているヤクザの情婦アカネ(中谷美紀)。少年シュウジとの運命的な再会シーンでは泣かずにはいられなかった。「あぁ、俺も・・・」などと不埒な考えも少しは沸いてきましたけど、聖母のように暖かく抱きしめてもらいたい気持ちでいっぱいになりました。それだけ世の中に絶望したシュウジに感情移入してしまったようです。ジャニーズだからといってバカにはできません。アオォーン。

 多分原作は素晴らしいのだろうと想像できます。問題は子役たちの演技力の無さ。主人公シュウジの手越祐也はまぁまぁの出来でしたけど、他は台詞棒読み状態でした。そのせいで大人たちの演技(特に中谷美紀)がとてもよかった。平泉成だけは子供の演技にちょっと同化してしまったような気もしましたが・・・

 その原作を読めばすっきりするのかもしれませんけど、神父が少年を救えなかったのは自分が背負った過去の罪のためなのでしょうか。それとも弟と対面させたときに「お前は俺だ」という言葉に我を見失ったからなのでしょうか・・・とにかく自/殺と殺人とを天秤にかけられるような内容に後頭部を殴られたようなショックを受けてしまいました。

★★★★・

コメント (49)    この記事についてブログを書く
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49 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見られません・・ (foo)
2006-01-16 09:26:17
先に原作を読むことが多いのですが、これは見られそうにありません。

あまりにも読んでてつらくって、つらくって。

シュウジになってしまうことはどんな少年にも起こりそうだし、わが子がシュウジの年齢に近いしとかいろんなこと考えてきついです。

でも見たほうがいいですか?受け止めたほうがよいでしょうか?
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原作 (kossy)
2006-01-16 09:57:51
>foo様

色々と感想を読み漁ってみましたが、原作ファンの方の意見は相当シビアです。もっともっと重くしなきゃダメだとか、R-18にできなかったのは失敗だったとか・・・

多分、原作をお読みになったのなら、それで十分かと。

俺は読んでみたくなりましたけど、長いんですよね?無理だなぁ。

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そうですか・・ (foo)
2006-01-16 10:19:46
お返事有難うございました。

もっと重くって、いったいどうして欲しいんでしょうね。確かにあのとおりだとえらいことに。。R-35くらいがいい位かも。

それでは避けて通らせてもらおうかな。
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原作 (かのん)
2006-01-16 10:29:44
今、原作下巻の中盤あたりまで読んでるのですが、重厚さは映画の比じゃないですね。なんともいえないディープな世界、その重苦しさに圧倒されっぱなしです。原作ファンの方が映画に失望してしまうのも仕方ないと思えるくらい奥行きが違います。私は映画を先に観といてヨカッタ。もし原作が先だったら私もガッカリした一人だったかも。映画は客層の間口を拡げるためにスケールダウン、シェイクダウンしたものだと捉えるのがいいのかもしれませんね。



とりあえず本屋で気になる箇所をいくつか立ち読みしてみてはどうでしょう。私はそれで全部読んでみる気になりました(笑)。
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それは (石川喜左衛門)
2006-01-16 11:21:13
映画はまだ見ていませんが、原作は面白そうですね。僕も読んでみようかな。風引いてしまって映画見に行けない日々です。
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原作の素晴らしさ~ (cyaz)
2006-01-16 12:27:19
kossyさん、TBありがとうございましたm( )m



重松作品は好きで、この作品も原作から入りました。

あまりの原作の重さに、SABU監督をしても全て表現されることは難しい作品だったと思います。

僕のレビューでも映画については酷評しましたが、シュウジ役は素人には無理です(笑)?!
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お邪魔します (もか)
2006-01-16 14:07:53
お邪魔します、ブログ初心者のもかです。

今ブログについてお勉強中でデザインとか内容とかお勉強したくて来ました。

私のもこんな沢山の人に来てもらえるしっかりしたテーマのあるブログ作れる様になれたらいいなぁって思いました。

また見に来ます、良かったら私のところも来てくれたら嬉しいです☆

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原作読みました。 (顔晴れウーマン)
2006-01-16 17:27:30
原作読みました。

感想がかけないほど、打ちひしがれてしまいました。

情景を思い描きながら、本を読むほうなので・・・

ちょっとヘビーでした。

もしかすると、映画の方がいいのかもしれません。

「その日の前に」のイメージが強かっただけに。
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原作 (kossy)
2006-01-16 18:41:30
>foo様

やはり原作未見の方向きという意見が多かった。

本屋でちらりと読んでみましたけど、分厚かった・・・



>かのん様

しまった!

気になるところを読まなかったです・・・せっかく本屋で手にとってみたのに・・・冒頭のシーンのみ。

う~む、もう一度立ち読みしてこよっと♪



>石川喜左衛門さま

原作のほうが圧倒的に支持されているようです。

お風邪は早く治してくださいね。

いつも笑いながら読ませていただいております。



>cyaz様

そうでしたかぁ~

なんだかSABUってジャニーズ好きなのかなぁ・・・



ヤクザな人たちのイメージが違うのですね。

豊川悦司のロンゲはもしやキリストをイメージしたのでしょうかね~

ますます読みたくなってきた・・・



>もか様

がんばってください。



>顔晴れウーマン様

打ちひしがれた・・・う~む、わかるような気がします。

俺もしばらくボーゼンとしてました。

感想書くのに3時間もかかったなんて・・・(汗)

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TBありがとうございました (隣の評論家)
2006-01-16 19:05:11
kossyさま

こんにちわ。ふむふむ、なかなか深い記事ですね。私は原作を読んでいないのですが、もう少し重く深い描写でも良かったのでは?くらいの感想をもってしまったので...。もしかして、原作を読んでみた方がいいのかもしれませんね。うん、いつか読んでみようと思います。
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