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週刊 お奨め本
2013年４月28発行 第548号
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『消失グラデーション』 長沢樹
￥1,500＋税 角川書店 2011/9/30発行
ISBN978-4-04-874256-6
『夏服パースペクティヴ』 長沢樹
￥1,700＋税 角川書店 2012/10/31発行
ISBN978-4-04-110318-0
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『消失グラデーション』は、第31回横溝正史ミステリ大賞受賞作。
『夏服パースペクティヴ』は、その続編です。
『消失…』は二年近く前の発行なんですけど、すみません、今週読んだんです(^^;ゞ。
先に『夏服…』を読んで、あまりのおもしろさにあわてて『消失…』を読んだと言う。うわー、なんで発行すぐに読まなかったんだろう！ しまったー！ と思いましたね。
このメルマガの読者さんで、未読の方がいらしたら、ぜひとも今からでもお読みになることをオススメします！
『消失グラデーション』
私立藤野学院男子バスケ部員の椎名康。女生徒をとっかえひっかえ校舎裏に連れ込んでイケナイことをする素行不良で知られている。
ある日、女子バスケ部エースの網川緑が、学校の屋上から転落した。倒れている網川の姿を屋上から発見し、慌てて駆けつけた椎名は、何者かに薬をかがされて意識を失う。気がついたときには網川の姿はなくなっていた…。
椎名はクラスメイトの樋口真由とともに、バスケ部の試合の撮影係りを担当している。放送部員である樋口は、前年学校を騒がせた連続窃盗犯が再び侵入を狙っていると疑い、倉庫裏に監視カメラを仕掛けていた。網川を運び出した人影はない。死角はない。
学校全体が、カメラと衆人環視による密室だった。
> 人を好きになる理由なんか些細で何気なくて大したことなくて、いつの瞬間もその辺に転がっている。気がついたら、網川のことしか考えていなかった。そんな自分に戸惑い、今まで以上にほかの女の子にのめり込んでしまったけど。（147頁）
悩める高校生たちの、青春ミステリ。
ラストで明かされた衝撃の事実には、思わず声が出た。
それまで読んできた丸々一冊がいきなり色を変えます。
やられたー！
『夏服パースペクティヴ』
少女たちを監禁して、クロスボウの的にして愉しむ異常者。助け出された少女のひとりが、のちに新進気鋭の映像作家となる。救出前の記憶を失った真壁梓は、真実を求めようと…。
葦原女学院高校の女生徒ふたりの音楽ユニット『HAL』のビデオクリップと、そのメイキング・ドキュメントを真壁梓が手がけることになった。
葦原の映研部員の友人からの連絡で、都筑台高校映研部長の遊佐渉は、部員の樋口真由とともに撮影スタッフに加わることに。
廃校となっている中学校の校舎を利用した撮影が進むなか、女性キャストの胸にクロスボウの矢が刺さり……。
現実と虚構が入り乱れ、遊佐渉と樋口真由が謎の解明に挑む。
『消失…』もそうだけど、キャラ造形が秀逸。
遊佐渉くん、もっと出して欲しいなあ。第三作の予定はないのかなあ。
> 樋口は異質だ。だから、常に自己と周囲の距離感を計ってきたと想像できる。必然的に、人を見続けてきた。その過程で、洞察力が身についた。爪弾きにされても揺るがない強固な自己を創り上げた。だから僕は樋口が愛おしい――のか？（94頁）
冒頭でも書きましたが、『夏服…』を先に読んだんですよね。
『消失…』から先に読んだら、読後感は変わったかもしれない。どちらを先に読んでも、『消失…』のラストの「えええーーーっっ！」は変わらないと思うけど。
むしろ『夏服…』を先に読んだ方が、よりびっくりできるかも(笑)。
いやびっくりすりゃいいってもんでもないですけどね(^^;ゞ。
作者、長沢樹はテレビ関係の仕事をしてるんだそうです。
そのためか、樋口真由は映像方面に才能を発揮していて、『消失…』でも『夏服…』でもそれがけっこう大事なファクター。
映像関係に興味がある人は、その辺でも楽しめるかも。
ミステリとしても、青春小説としても、傑作！
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消失グラデーション |
| 長沢 樹 | |
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夏服パースペクティヴ (樋口真由“消失”シリーズ) |
| 長沢 樹 | |
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