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2014年11月23日発行 第604号
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『ロボコン イケてない僕らのイカした特別授業』 ニール・バスコム(松本剛史・訳)
¥1,800+税 集英社 2014/6/30発行
ISBN978-4-08-773485-0
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「ロボコン」と言われれば、発行人の頭にまず浮かぶのは高専ロボコン。
初めてNHKの番組を見たのはいったい何年前だったろう。高校生がこんなの作っちゃうの!? と仰天し、テレビにくぎ付けになった記憶があります。いや、高専生は高校生より年上なわけだけど、それでも。
本書はそのロボコンとは違って、舞台はアメリカ。
アメリカにはいろんなロボコンがあって、その中の高校生ロボット世界選手権「FIRST」(For Inspiration and Recognition of Science and Technology)における実際のチャレンジ風景を追ったノンフィクションです。
モノづくりの土壌の衰えに危機感を募らせているのは日本だけではなく、アメリカも同様。子どもたちに好きなスポーツ選手や映画スターの名前を聞けば、目を輝かせて答える。けれど科学者や発明家の名前を聞いても首を振る。子どもだけでなく、大人でも。
FIRSTを立ち上げたディーン・ケーメンは、そんな現状を憂いてこの大会を構想した。
> この国を経済の超大国にしたのはウォールストリートではない。[…]発明家や科学者、エンジニア、起業家たちの努力のたまものなのだ。
> 「アメリカが今の生活水準を保っていくには、生産的でありつづけるほかない」(39頁)
本書の主役は、カリフォルニアのドスプエブロス高校、ド・ペンギニアーズ・チーム。最上級生の四年生だけで構成されていて、このプロジェクトで学校の履修単位がもらえる(ほかのチームは学年混成が多い)。
ここがアニメやなんかとちがうところで、チームといっても一致団結した心の通いあった仲間たち、なんかじゃない。仲のいい子も悪い子もいる。お互いに口もきかないような子たちも。
それでも目標に向かって足並みを乱しながらも突き進む。
そのとき、中心になるのは教師。
熱血教師のアミールが八面六臂の活躍をして、彼のもとで高校生たちは本気でロボットに取り組み、チームの一員として成長していく。
理想に燃える指導者という存在が、高校生たちにとってどんなに大きいか。
教育者というものが、理想論だけで語られるべきではないのは承知の上で、それでもやはり特別なんだよなあ。
> 「先生には、この国の教育全体を変えるっていうすごい目標があるんだ。尊敬しないわけにはいかないだろ?」(157頁)
ロボットの製作は思い通りにいかなくて、スケジュールの遅れにドキドキハラハラ。
会場に着いてからも最後の調整でやきもき。
試合が始まれば手に汗握る大熱戦!
みんなカッコいいよ!
> 工具ベルトとつなぎに身を固め、歯車比やコンピュータコードの話をする高校生たち。[…]彼らと、そして彼らに声援を送る何万人ものファンたちが賛美するもの、それは発明と知性だ。
> これこそがこの国の新たな文化だ。新たな〝カッコよさ(クール)〟の形なのだ。(18頁)
> 「ロボコンがクールかどうか知らないけど、何かにものすごく打ちこんで、必死になってやるのは、けっこうクールなんじゃないかと思う。何をやるんでもさ」(4.3頁)
もともとロボコンに興味があれば一層楽しいと思うけど、ロボコンという言葉も知らなかったような文系の人も、楽しめると思うな。
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前回のメルマガで、書名が文字化けしてしまってました。すみません!
『くん拾帖』 「くん」は手偏に君 です。
たいへん失礼しました~~~m(__)m。
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