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第606号 『原発ゼロで日本経済は再生する』

2014年12月07日 | メルマガお奨め本


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メルマガ お奨め本
2014年12月7日発行 第606号
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『原発ゼロで日本経済は再生する』 吉原毅
¥800+税 KADOKAWA 2014/4/10発行
ISBN978-4-04-653425-5
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原発推進を訴える人々の主張は、
「原発を止めると日本経済は大変なことになる」
ということ。
政界も経済界も、口をそろえる。

本書の著者は城南信用金庫理事長。
金融機関のトップが、真っ向から反対を唱える。

本当に原発を止めたら日本経済は立ち行かなくなるのか?
そんなことはない、と吉原は断言する。
なにしろ、福島第一原発事故後、大企業は続々と自家発電設備を増設している。
2011~2年の二年だけで、増設発電量は原発10基分以上にあたる。
省庁はPPS(特定規模電気事業者=Power Producer and Supplier つまり「新電力」)に切り替え、大企業は自家発電。
ほんとうはこの国は既に、原発がなくては困る状態などとうに脱している。

ではなぜ原発にこだわるかといえば、そこに利権があるから。
既得権益があるから。
それを手放したくない原子力ムラの住人たちが、利己主義的自己中心的主張を繰り返しているに過ぎないのだ。

このまま「古い電力」である原発など再稼働する必要はない。むしろ脱原発に舵を切ったほうが、経済の拡大要因になる。
新しい発電技術、節電技術、蓄電技術を開発し、電力の地産地消が進み、水素を用いた新たな配送方法が発達し……。それらの新技術の担い手が、中小企業であり、ものづくり企業が活躍すれば新しい時代の展望が開ける。

カネの繋がりを断てば、状況は変わる。
電力業界の規制を撤廃し、分割・民営化して、権力を解体するべきである。
東京電力のような巨大な企業こそ、株式会社ではなく、協同組合組織がふさわしいのではないか。


そう訴える吉原は、城南信用金庫として保有していた東京電力のすべての株と社債を売却し、2011年4月には「原発に頼らない安心できる社会へ」とのメッセージを発表した。



……思うんですけどね、ぶっちゃけ、これだけの事故が起きて、まだ収束なんて全然してなくて、除染も進んでなくて、汚染水垂れ流しまくりで、いったいいつになったら「安心」なんて言える状態になるのか誰にもわかんなくて、それでなくても核のゴミの処分方法すら確立してなくて、と、これだけマイナス要因しかない原発を、どうして推進しようという気になるのか、それが不思議で仕方がないんです。
見かけの安価も、じつはいろいろカラクリがあって、実際には火力発電よりコストが高いってのもいい加減バレバレだし。
それでもまだ原発推進を訴える人たちって、国民を舐めてないか? 上から押さえつければ諦めるだろう、大丈夫だって言い続けとけば流されるだろう、くらいに思われてないか? 
舐めてくる連中相手に、唯々諾々として従う理由はないだろう。


ところで、著者の吉原毅が理事長を務める城南信用金庫とはどういう組織か。
恥ずかしながら、発行人は本書を読むまで銀行と信用金庫の違いを知りませんでした。銀行よりも小規模で地域限定なのが信用金庫くらいに思ってた。
信用金庫は協同組合組織の非営利法人で、銀行とは経営理念が根本的に異なる。
地域で集めた資金を地域の中小企業と個人に還元することで地域社会の発展に寄与することが設立目的。営利法人である株式会社の銀行が、利益を上げることを経営の第一目的とするのとは、なるほど違うわけだ。

城南信用金庫の創業者の遺訓は、
「一にも公益事業、二にも公益事業、ただ公益事業に尽くせ」
第三代理事長の口癖は、
「銀行は金儲けが目的です。私たちは社会貢献を目的とした共同組織金融機関で、公益的使命を持っている。銀行に成り下がってはいけませんよ」

うわー、なんかイイじゃないですかーっ。
信用金庫に口座開こうかなあ。 ← 影響受けやすすぎ(爆)。





>  原発停止によって貿易赤字に転換したことで、為替が円安になり、デフレ不況が解消しつつある。貿易赤字、経済収支の赤字は、経済学的にはまったく問題ない。[…]企業や家計の赤字と国家の赤字とは根本的には意味が異なる。(37頁)


> 残念ながら、安倍首相は経済学の基本を知らない。大きな勘違いをしている。[…]安倍首相の「四兆円発言」は、そうした点を理解していない何よりの証といえる。(38-39頁)


原発がなくても日本経済は大丈夫。
むしろ脱原発こそが、日本経済を活性化させる。

ていうか、原発なんかに依存してるんじゃ、ヤバイよマジ。


来週は解散総選挙投票日です。
原発問題のみならず、経済問題にしろ、集団的自衛権問題にしろ、国民への説明責任ひとつ果たさずにいる政党がこれ以上調子に乗らないよう牽制するためにも、熟慮の一票を読者の皆様にお願いします。
現与党に白紙委任を委ねるのは、あまりにも恐ろしい…………。




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原発ゼロで日本経済は再生する (角川oneテーマ21)
吉原 毅
KADOKAWA/角川学芸出版

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