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週刊 お奨め本
2010年7月25日発行 第404号
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『影法師』 百田尚樹
¥1,600+税 講談社 2010/5/20発行
ISBN978-4-06-216224-1
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2006年に、太平洋戦争末期の特攻隊、零戦乗りを描いた『永遠の0(ゼロ)』で作家デビューした百田尚樹。
元は『探偵! ナイトスクープ』などを手がけた放送作家。
TV業界で培われたスピード感とリズム、展開の早さ、読者の関心を捕えるツカミのうまさ。
高校ボクシングが舞台の青春小説『BOX(ボックス)!』、オオスズメバチの生涯を描く感動大作『風の中のマリア』、美容整形手術によって完璧な美女となった女を描く『モンスター』等々、ジャンルにとらわれずさまざまな世界を描いてきている。
そして本書は時代小説。
茅島藩八万石、筆頭国家老は名倉彰蔵。
わずか二十石の御徒組藩士から身を起こした。
彰蔵は、戸田勘一と名乗っていた。
茅島藩は藩士のなかに上士、中士、下士の身分差がある。石高で定められた身分は絶対的で、たとえば城下ですれ違う際、下士は上士に対し土下座をしなければならないとか、婚姻もおなじ身分同士、という決まりがある。
二十石の御徒組の父は下士である。ある日、勘一が上士の理不尽に口答えし、激昂した上士に父が斬り捨てられた。
勘一は七歳だった。
己の不用意なひと言で父を死なせた。しゃくりあげる勘一に、おなじ年格好の少年が言った。「泣くなっ」
それが磯貝彦四郎だった。
「お前の父はまことの侍だ。まことの侍の子が泣くな」
勘一は彦四郎の言葉に勇気を与えられた。
長じて十三で勘一は藩校へ入った。
ここにも身分の壁があり、下士の子弟は藩校への入学を許されていなかったが、藩主昌国公が、優秀な人材を広く集めるために下士にも藩校の門戸を開こうとし、勘一は優秀な成績から私塾の推薦を受け、入学を許可された。
藩校で勘一は彦四郎と再会した。
学問も、剣術も、水練でさえ、彦四郎は際立っていた。
漢籍は一度の素読で頭に入り、剣技も一度教えられればたやすく身につけた。
しかしどれだけ優秀でも、次男であれば家を継ぐことはない。嫡男でなければ、他家へ養子縁組しないかぎりは、部屋住みという名の居候である。
彦四郎は、上覧仕合で一位となり、藩校の成績も一位という優秀さから、部屋住みの身でありながら町奉行所への出仕が許された。
勘一は郡奉行所への出仕が決まった。
順調と思われたふたりの運命は、ある事件から捩れはじめる。
優秀だった彦四郎の転落。
出世を重ねる勘一。
ついに筆頭国家老となった勘一改め彰蔵は、国元へ帰って彦四郎の死を知る。
彦四郎になにが起きたのか。
その真実を知ったとき…。
> 「米は机の上から生み出されるものではない。人が土地を耕し、そこで長い月日働いて、初めてできるものだ。茅島藩八万石という数字は決して自然に生まれてくるものではない」
> 明石は勘一の顔を睨んで言った。
> 「お前にはこれから大きな道が拓かれていくだろう」(181頁)
現代的な時代劇。
百田尚樹ファンも百田未体験の方も、時代小説ファンの方もそうでない方も、楽しめると思います。
影法師というタイトルの意味。
…感動します!
あと、表紙のデザインがまたいいんですよ!
かっこいい~~っ。
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http://www.mag2.com/m/0000099780.html
まぐまぐサイト内では検索がしにくいので、自分の覚えとしてここにもUPしています。
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『影法師』 百田尚樹
¥1,600+税 講談社 2010/5/20発行
ISBN978-4-06-216224-1
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2006年に、太平洋戦争末期の特攻隊、零戦乗りを描いた『永遠の0(ゼロ)』で作家デビューした百田尚樹。
元は『探偵! ナイトスクープ』などを手がけた放送作家。
TV業界で培われたスピード感とリズム、展開の早さ、読者の関心を捕えるツカミのうまさ。
高校ボクシングが舞台の青春小説『BOX(ボックス)!』、オオスズメバチの生涯を描く感動大作『風の中のマリア』、美容整形手術によって完璧な美女となった女を描く『モンスター』等々、ジャンルにとらわれずさまざまな世界を描いてきている。
そして本書は時代小説。
茅島藩八万石、筆頭国家老は名倉彰蔵。
わずか二十石の御徒組藩士から身を起こした。
彰蔵は、戸田勘一と名乗っていた。
茅島藩は藩士のなかに上士、中士、下士の身分差がある。石高で定められた身分は絶対的で、たとえば城下ですれ違う際、下士は上士に対し土下座をしなければならないとか、婚姻もおなじ身分同士、という決まりがある。
二十石の御徒組の父は下士である。ある日、勘一が上士の理不尽に口答えし、激昂した上士に父が斬り捨てられた。
勘一は七歳だった。
己の不用意なひと言で父を死なせた。しゃくりあげる勘一に、おなじ年格好の少年が言った。「泣くなっ」
それが磯貝彦四郎だった。
「お前の父はまことの侍だ。まことの侍の子が泣くな」
勘一は彦四郎の言葉に勇気を与えられた。
長じて十三で勘一は藩校へ入った。
ここにも身分の壁があり、下士の子弟は藩校への入学を許されていなかったが、藩主昌国公が、優秀な人材を広く集めるために下士にも藩校の門戸を開こうとし、勘一は優秀な成績から私塾の推薦を受け、入学を許可された。
藩校で勘一は彦四郎と再会した。
学問も、剣術も、水練でさえ、彦四郎は際立っていた。
漢籍は一度の素読で頭に入り、剣技も一度教えられればたやすく身につけた。
しかしどれだけ優秀でも、次男であれば家を継ぐことはない。嫡男でなければ、他家へ養子縁組しないかぎりは、部屋住みという名の居候である。
彦四郎は、上覧仕合で一位となり、藩校の成績も一位という優秀さから、部屋住みの身でありながら町奉行所への出仕が許された。
勘一は郡奉行所への出仕が決まった。
順調と思われたふたりの運命は、ある事件から捩れはじめる。
優秀だった彦四郎の転落。
出世を重ねる勘一。
ついに筆頭国家老となった勘一改め彰蔵は、国元へ帰って彦四郎の死を知る。
彦四郎になにが起きたのか。
その真実を知ったとき…。
> 「米は机の上から生み出されるものではない。人が土地を耕し、そこで長い月日働いて、初めてできるものだ。茅島藩八万石という数字は決して自然に生まれてくるものではない」
> 明石は勘一の顔を睨んで言った。
> 「お前にはこれから大きな道が拓かれていくだろう」(181頁)
現代的な時代劇。
百田尚樹ファンも百田未体験の方も、時代小説ファンの方もそうでない方も、楽しめると思います。
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