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「からすみ」作ってみました~

2023年03月16日 | 日記

27年前の冬、熱海の旅館で食べた「最高に美味しいからすみ」の味にどれだけ近づけるかチャレンジ中です。

そもそも「からすみ」とは、魚の卵巣を塩漬け・乾燥させた食品のことで、ボラの卵巣を使った「本からすみ」が特に有名。漢字では「唐墨」と書き、海鼠腸(このわた)・雲丹(うに)と並ぶ日本三大珍味の一つです。

「からすみ」を作ることに興味を覚えたのは、行きつけのお店(寿司・小料理・バー・居酒屋)でボラ子が出回る時期になるとその話題で盛り上がりそれぞれのお店の味を楽しめたからです。そして漸く2年前の冬に初挑戦、昨年の冬で2回目。まだまだ改良の余地はあるものの美味しいと思えるレベルの「からすみ」が出来ました。

作るにあたっては、お店の方々にアドバイスをいただいたり動画で調べたりしましたが工程は千差万別。まずは塩漬けと味噌漬けで試作してみて、それをたたき台に改良を重ねオリジナルのレシピを作っていくイメージでスタートしました。結論から言うと塩漬けはうまくできませんでした。肝心の塩味が無さすぎでたたき台にすらならず失敗でした。一方の味噌漬けは美味しく出来上がり、お客さんからも上々の評価をいただいています。今回、この味噌漬けのレシピを関連情報と共に記録として残しておこうと思います。

■仕入

魚の仕入れがすごく充実している行きつけのスーパーで買いました。この品質でこの値段はお買い得。(㌔2,500円)

【ボラの卵巣(ボラ子)は産地・時期・品質などで値段が大きく異なります。産地は国産が輸入(台湾やオーストラリアなど)に比べ値段が高く、国産でもどの海域で獲れたかによります。市場に出回るのが10月頃からで、12月まではおせち料理のニーズがあるため高値傾向で、1月からは値段が落ちやすい傾向にあります。良し悪しの見極め方のポイントは色つやの良い・破れのない・血液の少ない(うっ血していない)ものを選ぶことだそうです(市場関係者に教えてもらいました)。品質は定置網か釣りものかによるのかも知れません。ちなみに昨シーズン(2022年10月~)㌔単価でみると安値4,000円、高値40,000円で10倍ほどの差があったということです。】

■血抜き 24時間

最初の工程の血抜きは根気のいる作業ですが生臭くない「からすみ」を作るうえで重要な工程です。裏返すと真ん中に太い血管の筋があるので、細い血管の中の血液を竹串などで太い血管の方へ送り込むように移動させていきます。太い血管に(火であぶり滅菌した)針で小さな穴を開け集まった血液を爪や竹串などでしごき出します。また表側の細い血管同士の交差している位置に小さな穴を開け血液を穴から追い出すようにしごき出す。いずれの作業も卵巣表面の薄皮を破らないように細心の注意を払う。なお、卵巣の接合部(へそ)は水分を抜くまではつけた状態での作業となります。

血はある程度抜けたがまだ不十分。見えない血液が卵巣内に残っている。あとは氷水(真水)に浸し24時間冷蔵庫に保存し完全に血抜きをします。水に血液が滲みでてくるので6時間を目安に水を交換。

臭みの素となる血液やドリップが除去され真水が中に浸透している状態。表面の水分は拭き取る。

■塩漬け 48時間

海水塩(天然塩)を用いて水分を抜きます。塩は全体に満遍なく当たるように。まずは容器に塩を敷きその上にボラ子を乗せその上に塩をかぶせていく。隙間やへそ(繋がっている部分)にも塩をしっかりと回す。水が多く出てくるのでこまめに捨てると同時に不足分の塩を足す。その際、塩の当たり具合を均一にするためにボラ子の位置(上下左右)を替えてやる。この作業を行いつつ48時間冷蔵庫に保存。

塩漬け完了。流水で表面の塩を洗い流し表面の水分を拭き取る。水が抜けてカッチカチです。

【この塩漬け工程はどんな種類の「からすみ」を作る場合でも必要となるが、種類(塩漬け・味噌漬けなど)や鮮度に応じて塩を当てる時間がまちまちです。またこの後の工程の塩抜きの時間にも影響します。】

■塩抜き 48時間

塩抜き作業に入る前にへそを外す。へそを切り離す前に切り口から卵が飛び出さないようにタコ糸などで根元部分を結んでおく。(へその切り離しのタイミングも作り手によりまちまちです)

塩抜きは日本酒を使いました。容器に日本酒を張りボラ子を浸し表面が出ないようにペーパータオルをかぶせて冷蔵庫に48時間保存。

48時間後、日本酒を含んでふっくらとしています。

■味噌漬け 72時間

一つずつキッチンペーパーでくるんで味噌に漬け込みます。全体に味噌を当てることと途中上下を入れ替えるなどむらなく漬かるように心がける。塩漬けの時と同様水分が出てくるのでこまめに捨てることが大事。72時間冷蔵庫に保存。味噌は長年家庭で愛用している信州みそを使いました。いずれ味噌の種類でどれだけ仕上がりが変わるかを試してみたいと思います。

【キッチンペーパーでくるむと味噌がこびりつかず掃除の手間が省けるメリットがある。直接漬け込むやり方もある。】

■乾燥 約10日

①夜間、冷蔵庫保存時、平らなもので上下を挟み軽く圧力をかける。目的は断面が楕円形になるよう形を整えること。その結果中心部分を効率よく乾燥させることが出来る。形がある程度安定するまで最初の2~3日くらい行う。

②昼間は屋外で陰干しし夜間は冷蔵庫に保存(雨や夜露やカラスなどに注意)。表面が滑らかになるよう平らな容器(バット)を用いた。

③乾燥むらをなくす工夫として1日1~2回表面に日本酒を塗り外側に適度に水分を与えながら全体を均一に乾燥させる(日本酒は防カビ防腐にも有効)。また、屋外での乾燥時は時々上下左右位置を変えることも必要。                                       

④だんだんと飴色の度合いが増していき、軽く押しても指の跡が付かないくらいになると乾燥工程は終了。

■完成

完成です。真空パックして冷蔵(冷凍)保存してます。

スライスしてそのまま食べる場合はスライス後に薄皮を骨抜きを使って除去してます。あぶる場合はそのままでいいそうです。パスタに振りかける場合は塊の状態で薄皮を骨抜きなどで剥がすようです。乾燥して剥がしにくい場合は日本酒で適度に湿らすと剥がしやすくなるみたいです。

 

参考動画:銀座渡利「カラスミの作り方」【日本三大珍味】カラスミの作り方!仕込みから干し方まで【ボラの卵】 - YouTube