経営革新支援をしているといろいろな課題に直面するものです。
どうもkurogenkokuです。
ひと昔前になりますが「ザ・ゴール」という本がはやり、我々は制約理論を学びました。ボトルネックを最大活用(解消)することで全体最適を実現、スループットを最大化することが目的です。
ボトルネックとは、ある事象が制約条件となりその事象を含むプロセス全体の生産性を落としている事象、簡単に言ってしまえば、最も問題のある工程のこと。ここの改善の一点に注力すれば全体のパフォーマンスをあげることができる、そんな感じです。
スループットとは「売上高-真の変動費」で求められます。
そしてボトルネックを構成する制約条件は大きく分けて3つあるとされています。
1.物理的な制約条件
設備や装置など物理的な条件から生じる制約。イメージ的には他工程に余裕があっても、ある工程の設備が不足していてモノが流せないような状態。
2.市場の制約条件
需要や顧客から生じる制約。いわゆる作っても物が売れない状態。
3.方針の制約条件
経営方針、組織文化、慣習、評価制度などから生じる制約。何かやろうとしても組織が邪魔をして取り組めないような状態です。
長くなりましたが、以下本題。
先日、とある製造業の経営革新支援をしておりました。
ものづくり補助金を活用しある設備を導入、課題であったA工程(前工程)の生産能力が飛躍的に向上し、全社的なパフォーマンスがあがります。いわゆる物理的な制約条件の解消です。
ここまでは大いに結構なのですが、社長がこんなことを言っていました。
「この設備が入ると、今度は後工程が忙しくなって後工程の担当者から不満が上がりそうな気がするんですよね。」
「では今度は後工程に設備を入れるのですか?」
「いや、後工程は労働集約的なところが大きいので、人が不足してくると思います。」
「A工程に設備を入れたら人は余らないのですか?」
「何人かは手が空くと思いますが、ずっとA工程を手掛けてきたからすんなり後工程に移ってくれるかどうか。後工程の人も自分が持っているノウハウをすんなり教えてくれるかわからないし。」
「それを解決するのが社長の仕事ですよ。設備を導入するお手伝いはしたので、今度は経営革新で組織を変えていきましょうよ。」
今度は方針の制約条件を解消しなければなりません。
幸いにして、ものづくり補助金採択後、経営革新支援で関わることになったので、事業計画に多能工化・多工程持ちなど変革に必要な事項を盛り込み、全社員で共有。トップダウンで解決していくことにしました。こういうのはタイミングが大切。キックオフにはkurogenkokuが立ち会ってもいいですよ、というおまけつきです。
制約理論を提唱したゴールドラット氏も、実はこの方針の制約条件が最も多く重要な課題だとしています。
何か変革に取り組もうとすると、組織には必ず抵抗が生じるんですよね。組織にその必要性を理解させ、同じベクトルに向かって行動を促す、難しくも大切な社長の仕事です。ちなみに社長も最初はこの取り組みに難色を示してましたが、一緒に経営革新計画を考えているうちに「やるんだ」という目に変わっていきました☆
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