平成29年9月24日(日) 晴れ
前回の日記(⇒乗鞍岳)からの続きです。
無事に夜通しの運転と乗鞍岳をクリアした我々は宿泊の地へ向かいます。
その場所の名は、
上高地。
梓川と河童橋のきれいな写真で有名な観光地です。
乗鞍観光センターの駐車場を後にし、一旦下って沢渡(さわんど)のバスターミナルに向かいます。乗鞍も上高地もマイカー規制のため、シャトルバスの利用が必須です。
沢渡に着くと、道の脇で各駐車場で客引きのような人達が招き入れようとしています。客引きにまんまと引っ掛かってボッタくられる訳にはいかないので(夜の街か?)本能的に通過してしまいました。先で右折して橋を渡ると第2駐車場というところがあって、係員の人にバスターミナルはどこか?と尋ねると、第3駐車場が近いと教えてくれました。
第3駐車場はそこからすぐ近くにあり、車を停めて道路の下のトンネルをくぐるとバスターミナルです。ビールとウイスキーが入った超重いリュックを背負って上高地に向かいます。トンネルの壁には上高地の観光スポットがでかでかとパネルにされています。それを見たIさんが、大正池でバスを降りて1時間半くらい河童橋まで歩くべと言っています。
もう歩くのはたくさんなのですが、だれも断れずに話の流れはIさんに持って行かれてしまいました。
バスターミナルは観光案内もあったりして広いです。
15分程待ち時間があり、Iさんがターミナルの中を見学に行きました。するとKさんが、
「大正池やめっべ!みんな歩げっか?」
とみんなに問いかけます。全員が首を横に振り、女性陣はぜったいやんだと言っています。フンフンと鼻歌まじりに戻ってきたIさんにそのことを伝え、大正池は諦めてもらうか一人で行ってもらうことにしました。どうやら諦めるようです。
やがてバスがやってきて我々を含む10数人を乗せて14時10分出発です。大型バスなのですが人が少ないので、左側の一番前のシートを2つ使ってユルユル座りました。右側ではHさんがユルユル座っています。バスはその後呼び込み(?)のいる駐車場のところの停留所に止まると、大量のお客さんが乗り込んできます。なんとか相席は免れたのですが、その後の停留所で乗ってきたカップルがおらとHさんの隣に座ってきました。
カップルはガイドマップを見ながら、どこを歩くかあーでもないこーでもないと通路をはさんで話し合っています。夕方にシャトルバスに乗って帰る必要があるようで、時間が合うコースを頑張って探っています。やがてバスは急な上り坂のトンネルを抜けて上高地エリアへ入ります。神秘的な大正池が見えた頃、彼女が
「どこの山に行くんですか?」
とリュックを抱っこしたおらに聞いてきます。
「山形から来て、今朝乗鞍岳に登ってこれから上高地に泊まるんです。」
と答えると、そこから話がはずんでしまいました。彼女も登山をするようで、山形に有名な山はあるかと聞いてきます。蔵王や月山や飯豊や鳥海等の話をすると、機会があったら行ってみたいというのでサクランボ狩りと合わせてどうぞとセールスしました。
会話を楽しんでいると、まもなく上高地バスターミナルに到着です。「気をつけて」とカップルと声を掛け合って別れました。
横の林を抜けると、
いきなりそこは(というかバスに乗っている途中からだけど)上高地でした。
川に沿って河童橋まで歩きます。
そしてついに河童橋。
「都会だ!山形駅前より人が多い!」
これが第一印象でした。みんな同じ感覚だったようです。
迫りくる山々に囲まれて澄んだきれいな川が流れ、その川に掛かる橋をはさんだ両岸に売店やオープンカフェみたいなのが並んでいて、リュックを背負ったハイカーやオシャレな服を着た観光客で賑わうこの光景は、異質というか想像を超えた特殊な空間です。マイカーなど自由な出入りが遮断されて人里離れたところにある、自然と都会が融合したようなここは、やはり日本有数の観光地です。ここはリラックスしていい所なんだと、やっと身体の力が抜けました。
穂高は雲の中。
真っすぐに宿に向かいます。リュックが重い!
部屋について一息ついた後、TとHさんは風呂に行き、おらは一杯飲むため売店に缶ビールを買いに行きました。残念な事に車の中に置いていたビールはとても温かくなっていたのです。こんな山奥なのにWAONカードで支払いができて、マーベラスな売店でした。いろいろ驚かせてくれます、上高地。
部屋で乾杯してしばらく飲んだ後、風呂に入って夕暮れ近くに周りを散策しました。
夕食。
豪華です。全員生ビールで再び乾杯し、食事を楽しみます。ところが、みんな疲れ果てて誰も言葉を発しません。誰かがネタを振っても一言で会話が途切れてしまいます。
KさんがIさんに、
「心残りあどないべは。」
と話しかけると、Iさんは
「うーん、」
とどこかないか一生懸命想像してますが出てこないようです。その後この辺りの山の話になり、以前上高地に来たことのある女性の一人が、
「なんかロープウエーあるところがあった。」
みたいな事をポロリと思い出したかのように話します。
ロープウエー ⇒ 高い山 ⇒ 楽に上れる
この組み合わせはIさんの心残りの山には格好のエサです。案の定Iさんが「そこ!そこ!」と言わんばかりに指をさすポーズをとるモーションに入ります。おらは間髪を入れず、
「しっ!」
と話しを遮り、
「エリアが全然違います!(ウソ)」
と必死に話を取り消しました。
「なんだずー。」
と寂しそうにIさん。その背中が少し小さく見えました(^^ゞ。
次にKさんがアルバイトの女の子に涸沢カールの事を聞いています。ここから6時間くらいの所にあるらしく、確かに魅力的な場所ではありますが、「行きたい」「いいですね」とかいうKさんの話に乗るようなセリフは控えておりました。しかし、
「来年涸沢カールな!」
と、いとも簡単におらの肩をたたかれます。
「ついて来ます!」
と瞬時に反抗したつもりですが、はてさて来年はどうならうことやら・・・。
その後は部屋飲みです。氷を頼むと持ってきてくれて、ウイスキーやビールを飲みながら話は盛り上がります。なんと槍ヶ岳アタックまで話が大きくなりました(゜_゜)。ここから涸沢カールまででさえ6時間かかるのに、槍ヶ岳の奥深さをナメているとしか思えないのですが、Iさんが山で8時間とか10時間歩くのなんか当たり前なんだみたいな事を言っています。この日も乗鞍岳では飽き足らず上高地内も歩こうとしていたIさんは山で長時間歩けるそうですが、その後風呂の段差を越えられないほど足が上がらず転倒したのを知っています。かゆい所にまで手が届くガイドのおらは持参した湿布を貼って差し上げました。
結局寝たのは11時くらいだったでしょうか。
日が明けて朝食。こちらも豪華で美味しかったです。
Iさんが奥の方まで歩いて行きたいと言っておりますが、この日は明神池まで片道1時間の散策をして山形に帰る事にしました。
前日は山の上部がガスの中だったのですが、何と快晴です!宿のご主人も今年で一番いい天気だと言っています。
8時半散策開始。
焼岳。
河童橋から奥穂高岳。空が真っ青です。
ゴツゴツした稜線です。歩くのは疲れそう。
梓川右岸の方の散策路を進みます。水が本当にきれいな川です。
樹林の中を歩きますが、直接日が差してこないので暑くもなく気持ちがいいです。木道もしっかりと整備されています。
9時47分、樹林を抜けると梓川の河原脇に出て、間もなく明神池です。
でかい鳥居があります。
鳥居をくぐろうとすると、やたらとでかい山が奥に見えます。山を祭っているのでしょうか?
中には宿泊できる小屋や売店もあります。
奥に神社があってお参りしました。
奥にある明神池に行くには一人300円の参拝料が必要です。ここまで来たからには見ないでか!と参拝させていただきました。
一の池。Iさんジャマです!モザイクで消えていただきます。
湖面に映る逆さ明神岳。Iさん、手が邪魔です!
池と山。だからIさん、手が邪魔!せっかくの情景が・・・・。家に帰ってから写真を見返したらちょっとイラっとしてしまいました。
静かなところです。
二の池の一番奥まで歩きました。
浮島っぽい。
10時20分、河童橋に引き返します。IさんとKさんは自慢の一眼レフで写真撮りに一生懸命です。左岸を歩く予定で明神橋へ。
ところが待っても待ってもIさんとKさんは姿を現しません。電話をかけると、来た道を戻っているそうで急いで追いつくとか言っています。こちらは別の道を歩いている事を伝え、1時間後に河童橋で落ち合う事にしました。
明神橋を出発。
この河原を見て
「いも煮会すっだい!」
というのはメンバー全員の感想です。オレ達気が合うね~。
間もなく建物が見えてきました。ここも休憩所と宿泊所です。
左岸は平坦な砂利道です。行きと違って川から少し離れた所に道があります。こちらは歩く人が多いです。
途中、開けたところから明神岳。絵のようです。
後ろから登山者が追い抜いていきます。重い荷物を背負ってるので足音がズシズシと他の人と違うため接近してくるのが分かります。みなさん、でかいリュックにヘルメットをつけて荷物を持たないおら達を何組も抜いていきます。我々は足の裏が痛いとか言っているのに健脚ですね。
やがて小梨平というところに着きました。キャンプ場と温泉があるようです。
ビジターセンター手前の川。
11時15分河童橋到着。橋の段差に腰かけて最後の景色を楽しみます。
他のメンバーがソフトクリームを食べに行っている間、IさんとKさんを探しに対岸へ渡ります。みなさん橋の上で写真機を構えているので、通過に気を使います。
橋を渡るとすでにIさんとKさんがいて、お土産屋に入るところでした。昨夜大口をたたいては風呂で転んで、この日はもっと奥の方まで歩きたいと言っていたIさんが、売店のわずかな段差につまづいてまた転んでいます(-_-;)。2時間ちょっと歩いたくらいで何をやっているんでしょうか?しかも自分の体よりもぶら下げた一眼レフカメラの心配をしているようです。とりあえずケガはないようなので遠くから温かなまなざしで見守らせていただきました(決して冷やかな視線はしておりません)。
その後宿に預けた荷物を取りに戻って、時間も時間なのでここで昼食を頂く事にしました。おらは直前のケンミンショーでやっていた山賊焼きをチョイス。そばも付いて値段もリーズナブル、いい宿です。
イメージと違ってましたがとても美味しかったです。
名残惜しいですが、上高地と別れ、長いようで短い旅もお終いです。上高地バスターミナル。
奇跡的な天気の良さで、大満足な乗鞍岳と上高地でした。今度はもう少しゆっくり来てみたいです。
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