平成29年9月23日(土) 雨 のち 晴れ
「俺ぁよ~、一つだけ心残りあってよ~」
数年前、大先輩のIさんのこんな一言から事が始まりました。
「谷川岳さ登ってみっだいのよ~」
その後、Iさんの望みは何とか実現したわけですが、
その帰り道の食事中、
「俺ぁよ~、山に関してあと2つ心残りあるんだず~」
(その時の日記 ⇒ 「谷川岳」)
だそうです。おらは底なし沼にハマりました。
その後明らかになったその方の要求は、
「乗鞍岳さ登ってみっだいんだ~」
だそうです。
面倒くさいのでそれから延ばし延ばしにしてごまかしておりましたが、今年春の飲み会でその話を聞きつけたこれまた大先輩のKさんが、
「乗鞍行ぐんだて~?俺も行ぐがらな、早ぐ予定立でろ!」
と絡んできます。仕事関係が離れたIさんはなんとかごまかしがききますが、常に仕事で絡むKさんからは逃れられません!というか、遠くの山に行きたいとこの2人が言えば自動的におらがプランを立てるという流れには未だに違和感を感じます。
とりあえず6月いっぱいは仕事で手一杯なので、引き続き先送りしておりましたが
「乗鞍いづ行ぐんだず!決めだが!」
と、ちょくちょく仕事で会うたび凄まれます。
すでに観念したおらは、7月に入り乗鞍岳について情報を集め始めました。
乗鞍岳は標高3,000メートルを超え、長野県と岐阜県の県境にありマイカー規制のためシャトルバスを利用しなくてはならないようです。結構な観光地みたいで、夏休みなどのハイシーズンは避けたいところでした。
長野県までの移動は費用を考えると、約8時間はかかりますが車を交替で運転して行った方が無難なようです。
宿泊も近くの観光地にして、一旅で二度おいしいプランにしました。一部屋4人だと一泊2食付きで11,000円のところが9月23日に2部屋とれ、8人の確保が必要となりました。
これで当面の課題は人集めだけですがいつもの後輩のKとTは快諾してくれ、5人は早々に確定しました。あと3人探さなくてはなりません。Kさんの職場に行った時にプランや人集めの事を告げると、インターネットで乗鞍岳を検索し、
「片道車で8時間もかがるんだどれ?ほだなくたびっでわがらね!俺行がねは!」
だそうです。あと4人集めなければならなくなりました。
「いつもそうだよ!、みんながおらにセッセと問題を運んできては解決をジャマして・・・。
たまんねえな、たまんねえよ!」
(↑心の声)
おらの両目と背中の後ろには目に見えない炎がメラメラと燃えあがっていました。にもかかわらず、
「わかりました、疲れますもんね。仕方ないっす」
(↑実際の声)
と心配事が増えたにもかかわらず、チャラチャラ笑ってすませるお調子者なおらでした。
いっそのこと1部屋キャンセルすれば4人で済むのですが、なんと8月に入ってからKさんが飲み会で
「やっぱりおれも行ぐがらな!」
とおっしゃるではありませんか。KとTの声掛けで残りの3人も無事に決まり、なんとかメンバーが確定しました。
9月22日(金)夜9時に山形市内を出発、赤湯を経由してR113を新潟方面に向かいます。maikuru号は以前尾瀬に行った(⇒その時の日記)時のメンバー4名で、もう一台は後輩のKが突然行けなくなりIさんと後輩Tと後輩Kが誘ってくれたHさんの3名。Hさんが車を出してくれました。関川村のセブンイレブンに11時半頃に着いて、マルチコピー機で車の所有者以外の運転手に保険をかけました。12時に荒川胎内ICで高速に乗り、一気に長野の松本へ!
新潟県に入ってから小雨が降り始め、新潟市内では雨が強く降っており乗鞍岳の天気予報とにらめっこしながらのドライブです。時間天気では小雨から曇りに切り替わるのが6時と9時を見る度に行ったり来たりしております。なんとか6時には雨が上がっていてほしいものです。
途中何度か運転を交代しながら仮眠をとって、3時半に松本ICを降り最初のコンビニに寄ります。会計の時に店員さんにここから乗鞍高原まであとどれくらい時間がかかるか尋ねると、約1時間だそうです。ただこの時間でもだいぶそちら方面に上がっていった人がたくさんいるようで、混雑すると時間は読めないとのことでした。そんなにいっぱいいるのかと聞き直すと、「だってあれですよ」とおらの後ろの棚を指差します。そこにはパンがほとんどない状態の棚がありました。
シャトルバスは1時間ごとに発車します。6時始発のシャトルバスに乗らないとその後の予定も狂う可能性もあるし、何より焦って歩いて怪我をする可能性だってあります。予定は時間に余裕を持って立ててありますが、企画者としては内心穏やかではありません。
他に宿で飲むビール12缶とウイスキー1本を購入し、店員さんに教えてもらった24時間スタンドで給油を済ませて4時に再出発します。
たくさん車が入った割にはあまり車が走っておらず、おらの車が先頭でHさんの2台でビュンビュン進みます。のつもりでしたが、いつの間にかHさんの車の後ろにタクシーが追いついて来てHさんの車を煽り始めます。Hさんがかわいそうなのでスピードアップしますがさらに数台の車が追いついてきました。なんか山形だと大きな道で軽トラがゆっくり走って後続車に迷惑をかけているようなシチュエーションですが、実際はここに載せられないスピードで走っています。
やがて前を走る列に追いついて、スピードが落ちて少しづつ登っていきます。昔ながらっぽい狭い洞門がいくつかあるのですが、カーブしていたり分かれ道があったりして、意外と面白い洞門のある道でした。この道はまっすぐ行くと上高地や岐阜県に至るので途中で左折しなければなりません。その分かれ道は突然にやって来て慌てて左折しました。するとどうでしょう、また車2台だけになってしまいました。あの長い車列は全て上高地方面へ向かっていったのです。
5時5分駐車場着。混雑どころか駐車場もまだ満車ではなく、好きな所に車を止められました。
車の中で休んでいる人、準備に取り掛かっている人など様々です。地面は濡れていますが小雨もあがり、なんとか濡れずに行けそうです。
だんだん明るくなってきました。シャトルバス乗り場もバッチリです(^-^)。
この建物の右側で乗車券を購入するわけですが、発売は5時50分からのようです。
往復のチケットを7人分購入し急いで乗り場に並びます。大型バスが2台やってきて、受付の人がチケットを受け取って人数を数えながら乗車を促してくれます。相席もありで人数分ぎっちりと座って、もう一台も乗車が完了すると出発です。学校かサークルの団体でしょうか、元気な若者たちもいました。
結構な上り坂をギアを入れ替えながらバスは登っていきます。途中からスキー場を横に見ながら時には横切って進みます。ガスが切れると視界が開けるところもありました。
降車ポイント(停留所?)が何箇所かあり、運転手さんがマイクで降りる方はいますか?みたいな事を言うと返事をして下ろしてもらうシステムのようです。7時05分、終点の畳平に到着。ここはすでに標高2,700メートルあります。
ガスってます。ただ、晴れていない分思ったより寒くはありませんでした。
各々トイレを済ましたり準備を整えて7時15分出発です。山頂はどこかまだ分かりません。
まずは駐車場広場をでるとすぐに鶴ヶ池。
7時23分富士見岳の登り口です。ここは登らずに道を進みます。
今回、タブレットのアプリでGPSのログをとっている間自宅のパソコンからもおらの居場所が分かるという画期的なものを使用しております。妻にLINEで今どこにいるか分かるかと確認すると、富士見岳と返事が返ってきました。これは意外と使えそうです。電波がつながれば山で道に迷った時も滑落した時も、とりあえず別の人がおらの大体の場所を確認することができます。
ここからしばらくは広い道路のような砂利道で歩きやすいです。やや登っている感じですが平坦な道です。道の脇には終わりかけのコマクサが所々に残っていました。
下にはお花畑があるようですが、見えません。
雷鳥もいるらしい。
7時42分コロナ研究所への分かれ道。ここまでで80メートル位高度を稼ぎました。
乗鞍岳の主峰は剣ヶ峰です。東大の宇宙線観測所もあるようです。おらの発する怪電波で宇宙人と間違えないでくださいね。
ここからの道は下り道で、せっかく稼いだ高度を落としていきます。道は山の斜面を切って作ってあるので、道は広いですが右側からは落石注意です。リンドウが咲いていました。
7時56分、肩の小屋着。結構大きい小屋です。
くつろぎのスペースもあります。
ここからが本当の山登りです。ザレているので男性陣にはどんどん行ってもらって、女性陣と一緒に足場を選びながらゆっくりと(実はこのペースでないとつらい)登ります。
30分も登るとガレ場です。晴れそうになるまではゆっくりでいいのです。
8時48分、蚕玉岳手前で明るくなってきました。そしてガスも晴れてきます。イエーイ!
遠くには奥穂高岳と思われる山もその頭を見せています。
9時5分、ガレ場を登りきって蚕玉岳に到着。ガスが切れる間隔が長くなっています!奥穂高岳も姿を見せたり消えたりしています。
目の前には山頂が姿を現しました。ここまでゆっくり登ってきたので、体力的にはまだまだ余裕です。写真を撮ってそのまま進みます。
奥穂高岳と槍ヶ岳がやっと一緒に顔を出してくれました。
9時16分山頂小屋に到着。
シャトルバスで通った道。
ここで一気に遠くの山々もガスの中からその姿を見せてくれました。
再び穂高岳、槍ヶ岳。
山頂小屋からもさらに岩場を登ります。南の方に御岳山と中央アルプスと思われる山々も見えます。
そして、そして、9時25分、標高3,000メートル超えのぉー
山頂ぉー\(^o^)/
いいっ、いいっ。神様がおらの登頂に合わせて晴れさせてくれたような、このナイスなタイミングの絶景に感無量です。
下が雲で上が青空なんて、飛行機からでなければ見られない眺めです。みんな写真を撮りまくっていますが、おらはこの景色にやられちゃって遠くを眺めながら立ち尽くすだけです。それほどキツくはなかったけれども、自分の脚で、自らの力でここまで来て、この景色を手に入れたんだ。自分の努力にご褒美が与えられたという気持ちで、生きててよかった、頑張ってよかったという想いでいっぱいでした。
標柱の前では順番に写真を撮り合います。次々と人が登ってくるのであまりゆっくりしているヒマはありません。おらも証拠写真を撮ってもらいました。
周りの写真
なんだかんだ言って20分近くも長居してしまいました、下山します。仲間たちは山頂小屋で買い物してから下りるそうです。山頂下は結構危険なガレ場ですが、危なっかしいおじさん達が下りられなくて難儀しています。途中で譲ってもらって下りきったところで一休み。IさんとKさんは先に下りています。
さっき歩いてきた肩の小屋までの道路。上にはコロナ研究所が。
ホッとしたらお腹がすいてきちゃいました。松本のセブンイレブンで仕入れてきたツナマヨおにぎりを食べなくてはなりません(今回は標高が高いのと腰の負担を減らすため、山ラーはなし)。
ところが何ということか、ザックの中におにぎりが見当たりません。きっと車の中に置いたままだったのでしょう(チクショウさっきの感動が台無しだ)。
仕方ないので行動食として持ってきたトップバリュのライトミールで腹ごしらえとしました。
山頂小屋の買い物から下りて来た仲間たちと下山します。すれ違う人が行きとは桁違いに多く、それもお年寄りから子供まで様々です。とても人気のある山なんだと改めて感じました。
その分すれ違いも大変で、後半のザレ場では滑って危険なので女性陣を引き連れゆっくりと下ります。
10時40分、ようやく肩の小屋に到着。行きはガスの中で気付きませんでしたが、なかなかの紅葉です。
肩の小屋でもみなさんショッピングに夢中です。おらはバッジを買いました。
10時52分に肩の小屋を出発します。小屋の下の雪渓でスキーを滑っている人たちもいました。
肩の小屋の方をを振り返ると、山頂までは結構遠く山も険しく見えます。「行く時ガスってねっけごんたら諦めっだけがもすんねね」と誰かが言って、みんなうんうんと頷いておりました。
富士ヶ岳が見えてきますが、女性の一人が足がつりそうだと言っています。水分と塩分補給し、しばし休憩しました。先に行っている男性陣にはバスターミナルで待っててもらいます。富士ヶ岳は登らずに帰りも道路を歩きました。
バスターミナルが見えてきました。道が直線ではないのでまだまだ遠いです。
歩いて、歩いて、11時30分バスターミナル到着。
バスは1時間に1本です。まだ時間があるので、ここで昼食を食べて行く事にしました。
建物の2階に上がります。メニューが。
観光地価格ですが、ベラボーに高いわけでもありません。飛騨牛カレーをいただきました。
結構身体と口の中も冷えていたらしく、お熱いカレーでございました。
13時駐車場着。その後車で乗鞍を下りて今宵の宿泊場所へ!
乗鞍岳。本当に、本当にいい思い出になりました(^_^)v。
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