水たばこ(シーシャ)による一酸化炭素(CO)中毒の救急要請が増加しているという調査結果が発表された。東京消防庁と日赤医療センターの研究チームによると、2018年から2023年の5年半で、渋谷や下北沢などの若者が集まるエリアにおいて、シーシャ吸引と関連する救急搬送が64件確認された。つまり、月に1件以上のペースで「ちょっと一服」が「ちょっと危険」に変わるケースが発生している計算だ。
シーシャはタバコ葉を炭で加熱して煙を吸うスタイルだが、この炭の燃焼時に発生するCOを大量に吸い込むことで、中毒のリスクが高まる。しかも、CO中毒の症状は頭痛、めまい、吐き気など、単なる「吸いすぎた」「酔っ払った」と勘違いされやすく、気づいたときには意識を失うこともあるという。専門家によれば、特に換気が不十分な室内での長時間吸引が危険だというが、逆に言えば「COが出るのは昔から知ってるし、それがシーシャの醍醐味」と言い張る猛者もいるとかいないとか。
シーシャは「煙の量がすごい」「フレーバーが豊富」「カフェ感覚で楽しめる」などの理由で人気を集めているが、「急に意識が飛ぶ」オプションは誰も望んでいないはず。これを機に、店側の換気対策や利用者のリスク認識が進めばいいが、そもそも「なんかフワフワして楽しい」からシーシャを吸う層に「COを吸いすぎると危険」なんて冷静なアドバイスが届くのかは謎である。
ところで、炭火を使うシーシャでCOが発生するのは当然として、ならば電子シーシャなら安心なのか?と考えたそこのあなた。それはそれで「ニコチンの濃度が読めない」という別の罠があるのでご注意を。結局のところ、「吸いすぎるとヤバい」という事実は、煙の種類を問わず普遍なのかもしれない。いや、むしろ人類はいつだって「吸いすぎるとヤバいもの」に惹かれてしまうのかもしれない。深い話になってきたが、こんなことを考え出したら、もうシーシャでリラックスどころではない。