
黄砂の季節がやってきた。春の風物詩と言えば桜と答えたくなるが、実際には黄砂と答えるのが日本海側住民の正しい春の迎え方なのかもしれない。今日13日(木)は、大陸からの黄砂が日本列島に飛来する見込みで、北日本や東日本、西日本の日本海側では「なんとなく霞んだ空」になる可能性があるとのこと。なんとなく霞んでいるのか、しっかり霞んでいるのか、気象庁の発表にどことなく含みを感じるが、いずれにせよ春らしい景色には違いない。
この黄砂、ただの景観の問題では済まされない。洗濯物を外に干すと、取り込むときには「外で寝てきたのか?」と言いたくなるほどの砂まみれ状態になることもあるし、車のボディに積もった黄砂が雨と混ざれば、謎の芸術作品が完成することもある。黄砂に愛された人々はこれを「春の洗礼」と受け止めているのかもしれないが、洗礼を受けたくない人は、潔く室内干しを選ぶべきだろう。
さらに厄介なのが花粉症持ちの人々だ。黄砂は花粉を巻き込み、症状を悪化させる可能性がある。黄砂単体でも呼吸器系に影響を与えることがあるため、マスクやメガネの装着は必須。もはや防護服でも着た方がいいのではないかと思うほどの対策が求められる。
気象衛星ひまわり9号の画像では、日本海から北日本の一部にかけて茶色く見える黄砂が確認されているとのこと。つまり、衛星からも認識できるレベルの巨大な砂塵が日本列島を襲撃中というわけだ。日本海側では「今日の空は何色?」という問いに「ベージュ」と答えるのが正解になりそうである。
とはいえ、黄砂は何百年も前から日本に訪れている春の風物詩。古の人々も「また来たか…」と嘆きつつ、なんとなくぼんやりした春空を眺めていたのかもしれない。そう考えると、黄砂に文句を言うより「今年も春が来たな」と受け入れる方が、日本の風情を楽しむ方法なのかもしれない。しかし、黄砂の季節に限って布団を外に干した人が翌日から激しく後悔するのは、古今東西変わらぬ人間の営みである。
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