
2024年、日本全国で発生した特殊詐欺やSNSを利用した投資・ロマンス詐欺の被害総額が2千億円(暫定値)に達し、ついに「詐欺大国ニッポン」の名を欲しいままにする勢いとなった。詐欺師たちはこの快挙(?)にどれほどの誇りを持っているのかは知らないが、被害に遭った側としてはたまったものではない。
まず、特殊詐欺の被害額は721億円で、前年の1.6倍。詐欺師たちは親族や公的機関の職員、警察官をかたり、巧妙なシナリオで現金やクレジットカードをだまし取る。もはや詐欺の世界にも「名門校」や「エリートコース」があるのではないかと思うほど手口が洗練されている。一方、SNSを駆使した投資詐欺とロマンス詐欺は1268億円に到達。こちらは前年の1.8倍だ。恋愛感情を利用するロマンス詐欺など、ある意味「最も純粋な愛の形」が金銭で証明される世界観なのかもしれない。もはやラブロマンスとは呼べず、「ウォレットロマンス」とでも改名すべきではないだろうか。
特に最近はAI技術を悪用し、ディープフェイクや音声合成を駆使した詐欺が急増中。「本物そっくりな有名人」がSNSで投資話を持ちかけ、「偽の孫」が泣きながら電話をかけてくるという、まさに詐欺エンターテインメントの時代。詐欺師も努力しているのであろうが、その努力をもっと健全な方向に向けられなかったものかと嘆かざるを得ない。
一方、政府や警察は対策を強化しているものの、詐欺師たちのイノベーションは止まらない。まるで「特殊詐欺シリコンバレー」がどこかに存在し、日々新しいビジネスモデルを生み出しているかのようだ。この状況に対抗するには、「詐欺師を騙す詐欺師」の育成が急務かもしれない。いっそ、国家プロジェクトとして「逆詐欺師養成機関」を設立し、詐欺師の心理を学び尽くした「詐欺対策エリート部隊」を育成するのはどうだろうか。もしくは、「詐欺撃退バトルロワイヤル」なるテレビ番組を制作し、一般市民が詐欺を撃退する様子をエンタメ化してしまうのもアリかもしれない。
結局のところ、この国では「騙す側」と「騙される側」の知恵比べが続いている。次に流行るのは「詐欺詐欺詐欺」…つまり「詐欺だと思ったら実は本当の話だった」という究極のフェイント詐欺かもしれない。世の中、何が本当で何が嘘か分からないが、ひとつだけ確かなことは、財布の紐はしっかり締めておくに越したことはないということだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます