「5失点まではいいんです」と久留米商(福岡)の主将の長隆成はいう。「打線がそれ以上取る。目標は10点です」。打撃が自慢の今年、その言葉通りに夏の南福岡大会初戦(9日)は博多工に10―3。八回、平田龍寛が「狙いました」という本塁打でコールド勝ちした。
7―3の八回無死一、二塁。「石井(大輔)、神代(恭平)が出てくれたので。3点取ればコールドだったから、決めてやろうと思った」と平田。初球の直球を逃さず、左翼越えにアーチをかけた。これで5打数5安打の4打点。昨夏もメンバー入りしていた飛ばし屋の本領発揮だ。
この一発に3年生の右腕、古賀翔大は「えぐいですね」とひとこと言った。8日前のメンバー発表の日。渡された背番号は18番だった。「力不足です。でも、大会になったら背番号は関係ない」。1番を2年生の小屋松憲斗に譲った格好で、この日は2番手として準備するにとどまった。「自分が抑えるイメージをしてました」
「いい勝ち方でした」と長。初戦はどこも硬くなるもの。自分たちのスタイルを象徴するような平田の一撃が出て、だいぶ気持ちもほぐれた。そして、「おれも」と、古賀のような陰に回った戦力が刺激を受けてくれれば……。チームが急成長するのはこれからだ。(隈部康弘)