天気のいい日が続き、裏庭の梅も満開だ。
冬のものは、全部この青空の下で一刻も早く片付けたい気分だ。
学生の頃、徒歩通学が出来て快適だった代官山から、より音楽を学ぼうと師匠の住む高円寺に押し掛け引っ越しをした。
学生生活の大半は高円寺で過ごした事になる。
現在はどうか解らないが、その頃の高円寺は、学生の僕には、快適というより、ナンデモアリで面白かった。
近所の早稲田通り沿いには、良く行く焼肉屋があって、その近所に「漂泊人」(さすらいびと)という僕を含め、世間とは関係が少なそうな自由な若者が集まるJAZZ喫茶が、人知れずあった。
そこは、僕とあまり歳もかわらない、まだ20歳そこそこの僕から見ても純真そうな青年が経営していたが、
同世代という事もあったのか、音楽とその青年、鈴木君に会いに良く通った。
思い出と言えば、色々とあるが、笑顔しか思い浮かばない。とにかく皆、良く笑っていたと思う。
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卒業後すぐに、レコード・デヴューが決まり、ツアー活動が始まった頃、彼が僕等のBANDの為につくってくれたt-shirtsをプレゼントしてくれた。
その頃の彼の経営は、苦しかったと思うし、僕も苦闘していたが、そんな時の彼のつくってくれたt-shirts故に黄ばんで着れなくなった今でも捨てれず、季節の衣類を取り出す時、毎年、このt-shirtsを見ては、彼と笑顔を思い出す。
そして、あの頃への自分に少しは、答えをあげようと春に向かって、また歩き出し、僕の春は、永遠と続く。
KANZAKI