ライト.a精神科学研究所では、毎月一回メールマガジンを発行しています。
2024年4月のメールマガジン169号のテーマは「今ここに生きる -過去は後悔、未来は不安-」です
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精神分析は「今ここに生きる」ことを提唱します。
何故なら、過去を振り返れば“後悔”、未来を思えば“不安”だからです。
我々は「今ここに」生きているつもりですが、残念ながら心は時空を越えて過去や未来に飛んでいきます。
今という時間、ここという場・空間に居続けることが難しいのが人間です。
時計が刻む時は過去から現在そして未来へと進みます。
この時間は不可逆です。
だから、過去をやり直したくても、それは叶いません。
それでもなお人は、クライアント達は、過ぎた子供時代からついこの間までの過去を、
今起きているかのように話します。
「あの時ああされた、こうされた」「傷ついた、悔しかった、悲しかった・・・」と。
肉体は今を生きながらも、心は過去にいれば、うわの空です。
日常的にミスが起きるのは当たり前です。
今眼の前にあるとこを見ているようで見ていないのですから。
重大事故が起きても不思議はありません。
これでは生きている実感も充実感もなく、今を楽しむことも喜びを感じることもない。
フロイトは言いました。「子供時代はもうない」と。
フロイトが精神分析を通して辿り着いた的確で明解な名言です。
今度は未来を想像し、想いを馳せたとします。
未来とは不確実なものです。
確定したものは一つもない。
今という時間が、過去と未来を区切ります。
今がない人は、過去も未来も同じです。
だから過去を後悔している人は、未来もやがて来るのは後悔だから不安で、
安心や楽しみはあるはずがない。
「今ここに」自分が立てば、過去の後悔も、未来の不安もないのです。
過去の後悔には、恨みつらみ、憎しみなどがたくさんあり、
そこに心は固着しています。
これをコンプレックス、「心の時計が止まっている」と言います。
今にいても、すぐに過去の固着に引っ張られ、いつでもすぐに行ってしまいます。
まず過去を過去として終わらせること。
そのために用意されたのが精神分析です。
自分独りで抱え、思い悩んでも、また一般の人に話しても共感され理解されることはありません。
一般の人は、他者の悩みは聞かないことです。
他者の悩み、相談ごとは、聞いた人の心を蝕みます。
楽しく喜ばしい話ではなく、恨み憎しみ後悔ですから、
精神の浄化装置(精神分析理論)を持たずに聴けばその言葉に汚染されてしまいます。
分析場面で語ることで自分を知り、持っていても何のプラスにもならないと気づいて、過去を捨てます。
今ここに立って、未来に自分が目指す理想(自我理想)を掲げます。
その自我理想に到達するために、今何をすべきかを考え進みます。
そこにはもう過去はありません。
そういう生き方を精神分析は教えてくれ、目指します。
ライト.a精神科学研究所 登張豊実
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