
若い人たちに是非読んでもらいたい本です。若い人のみならず、第二次世界大戦について、それほど詳しくない人(私を含めて)が読むと、知らなかった事などを知る事が出来て、とても有意義な内容でした。
百田さんがこの本にかける情熱というか、意気込みというかが、本からほとばしってる感じがしました。フィクションではあるものの、実際の名飛行機乗りの人達が出て来たり、膨大な資料や書物やインタビューやら・・沢山の調査を下地にして書かれているのが解ります。
まずは、宮部久蔵という人間が、カッコイイんですよね。天才的な飛行機操者であり、碁の才能もあるが威張ることおごることが無い。しかしその飛行機の手腕は、影で毎日厳しい筋トレを欠かさず行っている上に成り立っている。
そして、階級の上下で人を差別をせず、当時の軍隊や時代に珍しく部下にも柔らかい言葉使いと態度。しかし当時タブーとされている、死を回避しようとする、生きて家族の元に帰るという最大の目標を持っている不思議な面を持つ男。
読んでいる最中は、もう回りの音が聞こえない位の凄い引きこまれ様で、2,3回涙腺壊れたりもしたのですが、最後に、最も重要なところが、ん?

でも、この圧倒的なパワーは、5つ☆の勢いです。でも、そのちょっと微妙な処がどうしても引っかかるので4つ☆半。
★以下ネタバレ 白文字で書いています★
最後、特攻に行く際に、自分が乗るはずだった飛行機に難がありそうなことに気が付く。それに乗れば不時着、国に帰れる可能性があると解る。しかしそれを後の祖父になる予備仕官、大石賢一郎に譲るのだった。以前大石は身をもって彼をかばい、命を救ったことがあった。という処が、どうして譲ったのか?解りません・・・。あれだけ生きて家族のもとに帰るということにこだわっていたのに・・・。どなたか解る方、教えてください。

ヤクザの景浦がその後、宮部の奥さんを影で守る様な事をしていたとは・・。ちょっと出来すぎかな?(^^ゞ以上
その他、印象に残った処をあげておきます。
・新聞が煽ったことで、一般民衆を戦争へ扇動してしまったんじゃないか?というマスコミについての責任に触れている部分
・p319 どこの国よりも国民の命を大切にするアメリカが、ナチスドイツの軍需工場を爆撃するために、非常に危険を伴う護衛無しの、昼間の爆撃をやめなかった。毎回40%の未帰還機を出した。B17の搭乗員の戦死者は5千人を超えている。この数は神風特攻隊の戦死者4千人を上回る。
・「日本は戦後素晴らしい復興を遂げました。でもそれは、生きること働くこと、家族を養うことの喜びに溢れた人たちがいたからこそだと思います」というセリフがあるんですが、戦争で普通に生きることさえ出来なかった人たちが、戦後その普通に生きられるという有難味を痛いほど感じられること故、がむしゃらに頑張れた・・・ってのもあったのかなあ・・・って思いました。
p216で「呉清源」の名前が出て来て、おおー!っとなりました。以前チャン・チェン主演の映画を見たので。
・戦闘機の零戦が当時凄く優れていた事、そんな飛行機を当時の日本が作れた事、またその長距離を飛べる飛行機だったが故に、過酷な任務が・・という事がとても興味深かったです。
百田さんの本は、ボクシングの友情もの「box!」を最初に面白く読み、次に「モンスター」を読んだものの、そちらはなんだか妙に安っぽい感じがしてしまって(すいません)飛ばし読みをしちゃいまして・・・。で、3作目がこれでした。本作は「壬生義士伝」に、「ボックス!」は「ピンポン」に似ている感じもちょっとするけれど、あれはあれ、これはこれで、それぞれ大好きです。
以前、上野樹里ちゃんと山本未来君主演の「僕たちの戦争」荻原浩原作のドラマも凄く良くて、この「永遠の0」と通じる部分がある作品ですね。あちらの方がタイムトリップしたり、昔の人が現在にやって来て、その意識や暮らしぶりの差違などにとまどう・・という点が印象に残っているし、とっつきやすいかもしれませんが。
両方の作品とも、一生懸命昔の人が、日本という国の為に、明日の日本人の為に、命をかけてがんばった事、それを現代に生きる私達は決して忘れてはいけない!というのを改めて感じさせられます。
永遠の0 (ゼロ) 百田尚樹(2006/8/24)
内容(「BOOK」データベースより)
日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた…。人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗り―それが祖父だった。「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻を志願したのか?
「ボックス!」 映画版もレンタル開始になったので、見てみようと思っています。
読んだときは、すごくよかったのだけれど、時がたつと、細部は忘れてしまう。
なさけないです。
自分よりも彼に生きてほしいと願ったのでしょうが。
そうですかー、花さんがこの本を読まれたのって、もう随分前ですもんね。
でも、ちょっと安心しました。私はここのところ、ものすごい忘却度が激しくて、本当に若年性なんたら・・を心配していて、大丈夫だろうか?って不安でたまらないんです。
花さんでさえ、忘れちゃったりするんだな~て、勇気づけられました
バレンタイン、花さんと同じく、私も娘の手伝いで、チョコマフィンを作りまくってました。
私の感想はもはや感想じゃないくらいに脱線しちゃってますが、latifaさんの印象に残ったところはすごく共感というか、私もとても印象に残ったところでした。
ネタバレの件は私なりの解釈ですが・・・
宮部さんが最後まで人の心を無くさなかったことと関係あるのかなと思いました。
大抵の人は当時、自分が死ぬことについてはさておき、人が死ぬことに対してそれがあまりに日常的なせいである種麻痺してきていたみたいな記載があった気がします。ですが宮部さんは教員をしている時も教えるのが辛そうだったし、随所随所で人の心を失っていないのがわかった気がします。言い換えると人の心とは、良心だと思ってます。
生きて帰るために敵を倒すことはしていたものの、仲間をまるで守れない戦況に憔悴してもいましたし、あの状況で命の恩人でもある彼を見捨てて自分が帰るというのは、良心が許せなかったんじゃないかなと。優しい人でしたしね。
かなり葛藤はあったと思いますが、覚悟を決めてからの彼の行動も素晴らしいなと感服しました。
私の解釈が間違ってる可能性も高いんですけど、私はそうなのかなぁなんて思って読んでました。
latifaさんが読んでる本で私が気になるのもたくさんあるので、また遊びに来ます☆
丁寧なコメント、ありがとうございました!
とても嬉しかったです。
しかしながら、結構忘れちゃってるんですよ・・・。1年前に読んだばかりだというのに。
感想を読んで、色々蘇って来たものの、自分でネタバレ部分で書いた謎の気がかり部分も、8割解って、あとの2割が霧の中・・・
せっかくyokoさんの解釈を書いてくださったのに、反応出来なくて、申し訳ないです。
なんだかもう、最近ボケがひどくて、先日も2ヶ月ほど前に読んだ本の感想について、すっかり忘れていて、唖然としていた処で・・・
とはいえ、この本が素晴らしい本で、感動したことは今もシッカリ記憶しています。
ネタバレのなぜ宮部が生きられるかも知れない零戦を大石に譲ったかは、宮部が筑波の練習航空隊の教官をしていた時に、大石に命を救われたからだと思います。
何度も生きて家族のもとに帰りたいと言っていた宮部にとって、その可能性のある零戦が目の前にあれば、手放したくはなかったと思います。
しかし宮部は命を救われた恩を返すことを選び、「もし生き延びられたら私の家族に会いに行ってやってくれないか」とメモ書きを残し、大石に後を託したのだと思います。
宮部らしい最期だった気がします。
私も沢山の調査を下地にして書かれていると思いました。
書くのはかなり大変だったのではと思います。
ラバウル航空基地での日々や、そこから長距離での出撃になったガタルカナル島の戦いなどが詳しく描かれていてかなり興味深く読みました。
今日はいきなり冬に逆戻りで寒いです。
早く花粉も終わって、暖かくなって欲しいですが、そういう良い時期が最近短くて、暑いか寒いかの両極端な気が・・・。
ネタバレの謎に思っていた部分、説明ありがとうございます。
やっぱり、そうなんですね・・・。
切ないというか、やるせないです・・。
本当にかつて戦争時代を過ごされた方々には、感謝の気持ちを忘れない様にしなくては、いけませんね。