todo23さんのところで、松家仁之さんの事を知り、ちょっと彼の本を読んでみよう・・と思いました。
新潮クレスト文庫を立ち上げた編集者さんが53歳で小説家に転身、そしてデビューしたのがこの本とのこと。デビュー作なのに凄い。長編で丁寧で静かに書かれた素敵な本でしたよ。
受け身の建築家を目指している青年が主人公。
軽井沢、夏の家での様子、自然の描写が美しく素晴らしい。
鳥や建築物やアーティストが一杯出てきて、それらの色々なウンチクやエピソードも楽しい。
恋愛エピソードも出て来るけど割合としては少な目で、生々しくない(こういうの好き)
全体的にこの小説、美意識が高い。
建築や仕事に対しての先生やスタッフたちのポリシーとかも好きだったし、流れる様な手順で作る料理や、シンプルだけど素敵なメニューや朝食の様子、とにかく夏の家でお仕事するスタイルが羨ましいーって感じです。
1982年が舞台になっていて、登場するのは当時のスノッブ・ブルジョアな人達だったんだろうな。
先輩が乗ってるカッコイイ希少な歴史あるバイク、先生やスタッフが乗る外車(ボルボ、ルノー5、他)
★以下ネタバレ★
麻里子は学生時代同級生だった男性と結婚し、彼女の希望通り20代後半で子供を産んでいる。
先生は倒れた後、数年して肺炎で亡くなった。
内田さんはデンマークに行きそこで現地の女性と結婚した。井口さんは後に食道がんになり会話が出来なくなっても筆談で一杯お喋りをしていたが、暫くして亡くなった。
そして主人公は雪子にも気があるのかなー?彼女とも相性良さそうよね、って思ってたら、麻里子と別れた後、妻になったのは雪子だった。
ラストは29年後。主人公は再び別荘を訪れる。先生が亡くなった後、先生の弟の麻里子の父が買い取っていたが、麻里子の父が亡くなって私に買い取ってくれとの申し出があり、私の事務所の共同経営者でもある妻雪子と一緒に視察に来たのだった 以上
読みながら、これって誰をモデルにしてるのか?出て来る教会とか建物とかも気になってね。
読み終わった後、検索の旅に出てしまいましたよ。
村井俊輔先生は、建築家吉村順三をモデルにされてるようです。
本作で先生が手掛けた飛鳥山教会ですが、吉村さんが作った教会は一つだけで、それとはどうもイメージと違う様な・・・。吉村順三の実作よりもレーモンドの実作を連想する って書いていらっしゃる方がネットにいました。
そして、小説上でライバル建築家という設定の船山圭一は丹下健三さん(東京カテドラル聖マリア大聖堂 都庁、代々木競技場を作った人)
ところで松家さんの自宅は吉村順三の弟子である建築家・中村好文さんの設計だそうです。
中村さんは建築のお仕事以外に文章も色々お書きになるみたいで、2人の対談等もネットにありました。
吉村順三の建築物を検索してみました
お部屋の中から大きな開放部や窓の外の風景(緑や木々)が見えるのが素敵だなー。ベランダ?窓が大きくてL字に広くなってるのとか良いなー。
建築リストで行った事があるのは、箱根の小涌園(つい最近壊してリニューアルしちゃったみたい・・)と、京都国際ホテル(ここも数年前壊しちゃったみたい)の2つだけ。しかも相当昔で記憶がもうあんまり無い。
軽井沢の山荘/脇田邸(現・脇田美術館)長野県北佐久郡旧軽井沢町/昭和45年(1970年)ってのが「夏の家」のモデルなのかな?
その他、ウィキに載っていた 「茅ヶ崎の家」は、過去に何度もブログでアップした素敵なカフェ・レストランの「モキチ」の熊澤茂吉さんがお住まい
また皆川明さんのミナペルホネンの軽井沢の保養所も吉村順三設計で改築を中村好文が担当し、「たためる椅子の」の共同デザインワークもしているそうな。
私の好きだった処の点が繋がって、ほおーってなりました。
小説自体も興味深く読ませてもらったし、この本で色々な事を知れて、とても有意義?な読書になりました。 松家さんの他の本もこれから読んでみます!
「火山のふもとで」松家仁之 2012年9月
あらすじ 「夏の家」では、先生がいちばんの早起きだった。
1982年、およそ10年ぶりに噴火した浅間山のふもとの山荘で始まる。「ぼく」が入所した村井設計事務所は、夏になると、軽井沢の別荘地に事務所機能を移転するのが慣わしだった。所長は、大戦前のアメリカでフランク・ロイド・ライトに師事し、時代に左右されない質実でうつくしい建物を生みだしてきた寡黙な老建築家。秋に控えた「国立現代図書館」設計コンペに向けて、所員たちの仕事は佳境を迎え、その一方、先生の姪と「ぼく」とのひそやかな恋が、ただいちどの夏に刻まれてゆく
ちなみに、吉村さんは1941年(昭和16年)アメリカから帰国する船に乗り合わせていたジュリアード音楽院に留学していたバイオリニストの大村多喜子さんと出会い、結婚。うわー素敵。チェリストになった長女・隆子さんと3人家族だったそうな。
新潮クレスト文庫を立ち上げた編集者さんが53歳で小説家に転身、そしてデビューしたのがこの本とのこと。デビュー作なのに凄い。長編で丁寧で静かに書かれた素敵な本でしたよ。
受け身の建築家を目指している青年が主人公。
軽井沢、夏の家での様子、自然の描写が美しく素晴らしい。
鳥や建築物やアーティストが一杯出てきて、それらの色々なウンチクやエピソードも楽しい。
恋愛エピソードも出て来るけど割合としては少な目で、生々しくない(こういうの好き)
全体的にこの小説、美意識が高い。
建築や仕事に対しての先生やスタッフたちのポリシーとかも好きだったし、流れる様な手順で作る料理や、シンプルだけど素敵なメニューや朝食の様子、とにかく夏の家でお仕事するスタイルが羨ましいーって感じです。
1982年が舞台になっていて、登場するのは当時のスノッブ・ブルジョアな人達だったんだろうな。
先輩が乗ってるカッコイイ希少な歴史あるバイク、先生やスタッフが乗る外車(ボルボ、ルノー5、他)
★以下ネタバレ★
麻里子は学生時代同級生だった男性と結婚し、彼女の希望通り20代後半で子供を産んでいる。
先生は倒れた後、数年して肺炎で亡くなった。
内田さんはデンマークに行きそこで現地の女性と結婚した。井口さんは後に食道がんになり会話が出来なくなっても筆談で一杯お喋りをしていたが、暫くして亡くなった。
そして主人公は雪子にも気があるのかなー?彼女とも相性良さそうよね、って思ってたら、麻里子と別れた後、妻になったのは雪子だった。
ラストは29年後。主人公は再び別荘を訪れる。先生が亡くなった後、先生の弟の麻里子の父が買い取っていたが、麻里子の父が亡くなって私に買い取ってくれとの申し出があり、私の事務所の共同経営者でもある妻雪子と一緒に視察に来たのだった 以上
読みながら、これって誰をモデルにしてるのか?出て来る教会とか建物とかも気になってね。
読み終わった後、検索の旅に出てしまいましたよ。
村井俊輔先生は、建築家吉村順三をモデルにされてるようです。
本作で先生が手掛けた飛鳥山教会ですが、吉村さんが作った教会は一つだけで、それとはどうもイメージと違う様な・・・。吉村順三の実作よりもレーモンドの実作を連想する って書いていらっしゃる方がネットにいました。
そして、小説上でライバル建築家という設定の船山圭一は丹下健三さん(東京カテドラル聖マリア大聖堂 都庁、代々木競技場を作った人)
ところで松家さんの自宅は吉村順三の弟子である建築家・中村好文さんの設計だそうです。
中村さんは建築のお仕事以外に文章も色々お書きになるみたいで、2人の対談等もネットにありました。
吉村順三の建築物を検索してみました
お部屋の中から大きな開放部や窓の外の風景(緑や木々)が見えるのが素敵だなー。ベランダ?窓が大きくてL字に広くなってるのとか良いなー。
建築リストで行った事があるのは、箱根の小涌園(つい最近壊してリニューアルしちゃったみたい・・)と、京都国際ホテル(ここも数年前壊しちゃったみたい)の2つだけ。しかも相当昔で記憶がもうあんまり無い。
軽井沢の山荘/脇田邸(現・脇田美術館)長野県北佐久郡旧軽井沢町/昭和45年(1970年)ってのが「夏の家」のモデルなのかな?
その他、ウィキに載っていた 「茅ヶ崎の家」は、過去に何度もブログでアップした素敵なカフェ・レストランの「モキチ」の熊澤茂吉さんがお住まい
また皆川明さんのミナペルホネンの軽井沢の保養所も吉村順三設計で改築を中村好文が担当し、「たためる椅子の」の共同デザインワークもしているそうな。
私の好きだった処の点が繋がって、ほおーってなりました。
小説自体も興味深く読ませてもらったし、この本で色々な事を知れて、とても有意義?な読書になりました。 松家さんの他の本もこれから読んでみます!
「火山のふもとで」松家仁之 2012年9月
あらすじ 「夏の家」では、先生がいちばんの早起きだった。
1982年、およそ10年ぶりに噴火した浅間山のふもとの山荘で始まる。「ぼく」が入所した村井設計事務所は、夏になると、軽井沢の別荘地に事務所機能を移転するのが慣わしだった。所長は、大戦前のアメリカでフランク・ロイド・ライトに師事し、時代に左右されない質実でうつくしい建物を生みだしてきた寡黙な老建築家。秋に控えた「国立現代図書館」設計コンペに向けて、所員たちの仕事は佳境を迎え、その一方、先生の姪と「ぼく」とのひそやかな恋が、ただいちどの夏に刻まれてゆく
ちなみに、吉村さんは1941年(昭和16年)アメリカから帰国する船に乗り合わせていたジュリアード音楽院に留学していたバイオリニストの大村多喜子さんと出会い、結婚。うわー素敵。チェリストになった長女・隆子さんと3人家族だったそうな。
それにしても良く調べられましたね。
私も、こういうの調べるのは好きなのですが、ちっとも引っかからなかったような気がします。
「帰れない山」パオロ コニェッティから、todo23のブログで、この本に行きつきました。
知らない人や事が色々あって、勉強になったし、色々散らばっていた点が繋がって嬉しかったです。
ありがとうございました
松家さんの他の本も面白く読めると良いのですが・・・