鼓動 : 葉真中顕
以前林真理子さんの「8050」を読んだ時に、これって違うよなーって思っていたけれど、本作ではしっかり「8050」を描いていました。
ただ警察の女性側の描写も割合的に半分あったので、もっと引きこもり一家の方の内容を深く読みたかったな・・とは思いました。
引きこもりになる経緯を丁寧に少年時代から追っているのは読みやすかったし、普通の気の弱いタイプの青年が、ちょっとしたことが重なって、引きこもりになってしまい・・・その後事件に・・・という流れで違和感をあまり感じずに読めました。
ただ、引きこもりの親の気持ちなどは少な目だった印象を受けました。
★以下ネタバレ★
ホームレスの女性を殺したのは彼ではありませんでした。彼は火をつけただけ。死刑になりたくて、刑を重くしたいが為の行動でした。父のメッタ刺しも同様です。死んでからやったことでした。
殺したのは彼女の娘でした(子供は2人いて、疎外されていた方の娘)
何といってもラストが良かったです。刑務所に入ってから、彼の手記をまとめて発表する事になって彼が少し気持ち的に前向きになっていました。辛くて悲痛なラストじゃなくて、なんだか光が見える感じが好きでした。以上
1974年産まれの男性。時代背景も丁寧に描かれるので、同じ時代に育った人はこの本をより一層身近に感じるんじゃないかな?
彼の両親は普通の人達で彼に優しく、恵まれた少年時代を過ごされていました。
彼の小学校時代は万能感があった、という表現がされていて羨ましいなあ・・・と思いました。
私は親が過度に厳格で楽しく過ごしていなかったので・・・。
あと「引き出し屋」とか「年金担保」というのは、良く知らずにいたので勉強になりました。
そういえば10年位前は6時頃のニュースで、引きこもりの人の塾?みたいなドキュメンタリーをよくやっていて、カリスマ教師?みたいな人が出ていたりしたっけ・・・。ちゃんとした処もあったでしょうけれど、問題ある処も少なからず(現在も)あるんでしょうね・・。
読み応えのある本で、集中して引き込まれて読ませて頂きました。
葉真中顕さんの小説は今起こっている社会問題等を含め、考えさせられる内容なのが良いですね。
また今後も読みたい作家さんです。
鼓動 2024/3/21 葉真中顕 (著)
内容 あらすじ
ホームレスの老女が殺され燃やされた。犯人草鹿秀郎はもう18年も引きこもった生活を送っていた。彼は父親も刺し殺したと自供する。長年引きこもった果てに残酷な方法で二人を殺した男の人生にいったい何があったのか。事件を追う刑事、奥貫綾乃は、殺された老女に自分の未来を重ねる。私もこんなふうに死ぬのかもしれない――。刑事と犯人、二つの孤独な魂が交錯する。
葉真中顕
「鼓動」
「絶叫」
「ロスト・ケア」
以前林真理子さんの「8050」を読んだ時に、これって違うよなーって思っていたけれど、本作ではしっかり「8050」を描いていました。
ただ警察の女性側の描写も割合的に半分あったので、もっと引きこもり一家の方の内容を深く読みたかったな・・とは思いました。
引きこもりになる経緯を丁寧に少年時代から追っているのは読みやすかったし、普通の気の弱いタイプの青年が、ちょっとしたことが重なって、引きこもりになってしまい・・・その後事件に・・・という流れで違和感をあまり感じずに読めました。
ただ、引きこもりの親の気持ちなどは少な目だった印象を受けました。
★以下ネタバレ★
ホームレスの女性を殺したのは彼ではありませんでした。彼は火をつけただけ。死刑になりたくて、刑を重くしたいが為の行動でした。父のメッタ刺しも同様です。死んでからやったことでした。
殺したのは彼女の娘でした(子供は2人いて、疎外されていた方の娘)
何といってもラストが良かったです。刑務所に入ってから、彼の手記をまとめて発表する事になって彼が少し気持ち的に前向きになっていました。辛くて悲痛なラストじゃなくて、なんだか光が見える感じが好きでした。以上
1974年産まれの男性。時代背景も丁寧に描かれるので、同じ時代に育った人はこの本をより一層身近に感じるんじゃないかな?
彼の両親は普通の人達で彼に優しく、恵まれた少年時代を過ごされていました。
彼の小学校時代は万能感があった、という表現がされていて羨ましいなあ・・・と思いました。
私は親が過度に厳格で楽しく過ごしていなかったので・・・。
あと「引き出し屋」とか「年金担保」というのは、良く知らずにいたので勉強になりました。
そういえば10年位前は6時頃のニュースで、引きこもりの人の塾?みたいなドキュメンタリーをよくやっていて、カリスマ教師?みたいな人が出ていたりしたっけ・・・。ちゃんとした処もあったでしょうけれど、問題ある処も少なからず(現在も)あるんでしょうね・・。
読み応えのある本で、集中して引き込まれて読ませて頂きました。
葉真中顕さんの小説は今起こっている社会問題等を含め、考えさせられる内容なのが良いですね。
また今後も読みたい作家さんです。
鼓動 2024/3/21 葉真中顕 (著)
内容 あらすじ
ホームレスの老女が殺され燃やされた。犯人草鹿秀郎はもう18年も引きこもった生活を送っていた。彼は父親も刺し殺したと自供する。長年引きこもった果てに残酷な方法で二人を殺した男の人生にいったい何があったのか。事件を追う刑事、奥貫綾乃は、殺された老女に自分の未来を重ねる。私もこんなふうに死ぬのかもしれない――。刑事と犯人、二つの孤独な魂が交錯する。
葉真中顕
「鼓動」
「絶叫」
「ロスト・ケア」
今日も寒いですね。
本書、あいまいな記憶ですが・・・
林真理子さんの8050は、5020問題でしたよね。それに比べ、本書はきちんと8050問題だったのが良かったです。
私もこの青年と同世代です。なので、時代背景とか分かるのよね。私達の世代って、団塊ジュニアだから人口が多いのよね。なので、雑に育てられた気がします。
イジメとかあっても、教師や親は不介入で「子供達でどーにかせい!」。いろんな意味で、たくましく育てられた気がします。
なので、気が弱い人は辛かったんだろうなぁと思います。
本書で、女性刑事目線が多いのは・・・この女刑事さん、絶叫・ブルーに出てくる刑事さんなんですよね。だからかな?と思いました。
葉真中さん、社会問題を描いてくれるので好きなんですよね。(苦手分野もあるけど)
これからも読みたい作家さんです。
コメントありがとうー
びっくりしたよー、さっきわぐまさんちでトコトココメント書いて戻って来たら、同時にこちらにコメント頂いていたとは
同じタイミングだったみたいね
そっか、わぐまさんところは団塊ジュニア世代なのね。私は10個上だけど似た様な感じだった。
今の若いZ世代(大切に壊れ物に触るように接してもらってる印象)とは、ま逆な感じなのかな?
その世代の人が上司で部下がZ世代だとなると、なかなかに難しいだろうなあ・・・。
>女性刑事目線が多いのは・・・この女刑事さん、絶叫・ブルーに出てくる刑事
あ!そうなんだね。納得。情報ありがとう。
最近この手の我が子をうまく愛せなかった母親って人が出て来る話が複数あって、ごっちゃになっちゃってたわ。
>葉真中さん、社会問題を描いてくれるので好き
私も。面白いなんて言っちゃイカンけど、こういうスタイルの小説良いですよねー
状態にはなりました^^;もうちょっと伏線あっても
良かったのかなぁと思いましたね。でも、それだとバレバレに
なっちゃうから、あれくらいで良かったのかなぁ。
日本の社会は、確実に今後8050問題が深刻になって
行くでしょうね。引きこもりや不登校の子どもがどんどん
増えている印象がありますし。こういう問題は、これから
どんどん増えて行くような気がします。葉真中さんは、
題材の目の付け所が良いですよね。今後は、賞レースにも
名前が挙がって行く作家になって行きそうです。
そうそう、私も犯人は、え??ってなって、何か伏線を見落としていただろうか?と、ページをさかのぼりました。
同感ー、もうちょっとヒントがあっても良かったかな、って思いました。
今は不登校とか引きこもりとか結構聞きますよね・・。段々増えているようで・・。
30年以上前は、ここまで多くなかった印象で(あまり話題に出ないだけで存在していたとは思いますが・・)
今後どうなっていくのやら・・・。
葉真中さんの作品、これからも注目して行きたいです