
タイトルに惹かれて読んでみましたが、想像したのとは違った内容でした。
優しく繊細過ぎる人のお話。人を傷つけたくないと思って言葉少なになってしまう。
これを言ったら・・・と想像して言わずにいる・・
私は全然こういう感じではないので、興味深かったです。
ここまで配慮して人と会話したり付き合ってたら、大変だろうな・・・。生きにくいだろうな。
私の学生時代の友人関係と、この世代(大前粟生さんは92年産まれの男性、同志社大卒らしいです)のでは、ずいぶん違うんだなあ・・と思ったし、自分にもこの世代の子供がいて、友達なのに何故そんな事も知らないの?って不思議に思う事がよくあったのです。この本を読んで少し納得。あえて質問したり話題に出したりしないのかもしれない・・・と思いました。
ネットやTVのニュースで日々報道される事件に自分とは無関係な事であっても傷つく人達、辛いだろうなあ・・。ナイーブ過ぎるのね・・。
学校や友人関係の中で「ノリ」が優先されていて、心から笑えないのに、表面的にあわせて笑わなくちゃならなかった七森。でも高校の頃ならいざ知らず、成人式とかは参加しなければ良いのに、距離をおいたままにしちゃえば楽になるのに、なんてちょっと思ったかな・・・。
★以下ネタバレ★
相手を傷つけることにとても配慮している七森ですが、白城ちゃんと安易に交際してしまうのは、結局彼女を傷つける事になるのにな・・・と思ってしまいましたよ。結果、すぐに別れる事になっちゃいますよね・・・。
でも、似たようなタイプの麦戸ちゃんと良い感じになったから、二人は仲良くやって行けるといいな・・・と思いました。以上
他にも3つのお話が入っていて、
・たのしいことに水と気づく
箱崎(幻の映画サークルが一緒だった人)と交際している女性。同居していた妹が突然いなくなって戻るのを待っている。
・バスタオルの映像
弟がお笑い芸人を目指している・・
・だいじょうぶのあいさつ
ニートの兄。ある日友人が来るというが、妄想だった。その嘘に付き合う主人公と母・・。
ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい 2020/3/11 大前粟生
京都の大学にある「ぬいぐるみサークル」を舞台にした小説。
社会に蔓延る何気ない言動に傷つけられた「ぬいサー」の人々は、自分の痛みがまた人を傷つけないようその想いをぬいぐるみと語る。
“男らしさ”“女らしさ”のノリが苦手な大学2年生の七森。こわがらせず、侵害せず、誰かと繋がりたいのに。ジェンダー文学の新星
著書に短編小説集『回転草』『私と鰐と妹の部屋』
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