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ポコアポコヤ

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ネタバレ感想「木になった亜沙」「良夫婦」今村夏子

2021-09-02 | 小説・漫画他
相変わらず、思い込みの激しい主人公、エキセントリックなお話が楽しかったです。
ただ「的になった七未」だけは、辛すぎて楽しめませんでした。

「木になった亜沙」

「木になった亜沙」2017年10月初出
みんな私から食べてくれない・・・。そしてスギの木に生まれ変わり、割りばしに!
その割りばしをコンビニでもらった男は捨てずに洗って何度も使ってくれた。
しかし若者の家はゴミ屋敷だったようで、行政代執行の知らせが入る。ゴミ屋敷の仲間の面々は、若者や仲間と別れるくらいなら死んだ方がましだ・・と、火事を起こして火に飲まれてみんな死んでしまう様子だった。

これはわりばしへの転生って発想が可笑しくて楽しかった。すぐ捨てられると思ったのに、なかなか捨てないというのも意外な展開だった。

「的になった七未」2020年1月
これは、、精神疾患か、グレーゾーンか、大丈夫か?って主人公。
どんぐり、ドッジボール、必死で逃げまわる七未に全く当たらない。その後、ぬの太郎という空き缶等の回収をしている男とのやり取りから、七未は逃げる事から、当たりたいというように気持ちが変わる。そして自分のこぶしで自分を殴るなどの行為をするようになり、精神病院に行く事になる。病院で七未は精神科の医師と恋仲になるが、結局子供が出来るも捨てられる。
息子の七男と極貧の暮らしを続けていたら、役所が七男を連れて行った。いつか七男を連れ戻して一緒に暮らそうとしていたが、彼の幸せを考えると養子に出すことにした。
幾つか仕事を始めるも続かず、結局浮浪者になってしまって、公園のお祭りの的を当てる夜店でやっと当ててもらったが、店の主人にズルズル引きずられ捨てられて、そのまま死んでしまうのかしら・・・

七男の事を考えると辛いし、ちょっとこれはあまりに重いお話、キツイ精神状態で、楽しんで読めなかったです。

「ある夜の想い出」2018/4たべるのがおそい5号 
学校を卒業してから15年、家でゴロゴロ過ごしているうち、猫みたいになった。父親から怒られ、家を飛び出した先でジャックと知り合う。ジャックの飼われている家についていくと、お母さんと息子がいて、歓迎してくれる。つがいの猫が出来た事を喜び、赤ちゃんを作ってねーなどと言われる。
私は結婚したことを父に報告したくて、ちょっとだけ外出するつもりで家を出たが最後、どこなのか解らなくなって道で車に轢かれてしまう。意識が戻って(意識が人間に戻った?)怪我が治った後、ジャックの家を探そうと、一軒一軒訪ねて行ったが(ここ笑った!)見つからなかった。
あれから10年、わたしは父の知人の紹介で結婚して7年が経つ。息子もいてパートもしつつ忙しくも幸せな毎日を送っている。

これは面白いお話だった。シュールでちょっと楽しくて、最後も明るいし。

木になった亜沙 2020/4/6 今村夏子
内容・あらすじ 誰かに食べさせたい。願いがかなって杉の木に転生した亜沙は、わりばしになって若者と出会う(「木になった亜沙」)。どんぐりも、ドッジボールも、なぜだか七未には当たらない。「ナナちゃんがんばれ、あたればおわる」と、みなは応援してくれるのだが(「的になった七未」)。夜の商店街で出会った男が連れていってくれたのは、お母さんの家だった。でも、どうやら「本当のお母さん」ではないようで…

・・・・・・・・・・

「良夫婦」(『群像』2021年7月号所収)
面白かったです!短編読み切りですが、どことなく「あひる」っぽい感じの作品。

サクランボの木のある古い家に住む30代の子無しの夫婦。パートタイムで働く友加里は、近所の小学生の少年と知り合う。少年が痩せていていつもお腹を空かせていることを心配した友加里は、少年にお菓子をあげるようになる。そして自宅のサクランボの実がついた頃、木に登って好きなだけ食べて良いよと言う。
居留守を使って少年がサクランボを食べるところを覗いていたが、少年が木から落ちて大けがをしてしまう。その時パニックになって、保身・隠ぺいをしてしまう。
実は友加里はかつて訪問介護の仕事をしており、そこを仕切っているのが今の夫だった。その時にちょっとした不始末をしてしまったのを夫にもみ消してもらった過去があるのだった。
結局、少年側からは責められるとか問題が起きることは無く、暫くして普段どおりの日常が戻って来るというところで終わる。


先日「花束みたいな恋をした」って映画を見たら、主人公2人が今村夏子さんのファンで、妙に嬉しくなったんですよね。何度も今村夏子さんという名詞が登場してくるんですよ。ただ「ピクニック」が特別お気に入りなみたいで、私はそれはそこまでお気に入りな作品じゃなかったのですけれども。

今村夏子
ネタバレ「父と私の桜尾通り商店街」「星の子」
「あひる」
「むらさきのスカートの女」
こちらあみ子
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