
江戸時代終りから明治にかけて、お茶で財をなした長崎のお希以(大浦慶)の人生。
そもそも、かつて九州の嬉野茶等が海外輸出で凄かった、というのを何かで知って、え?お茶って静岡と京都だけじゃなかったんだ、という驚きがあって、前からちょっと知りたかったんですよね。
それにしても、祖父の商才や太っ腹な処が孫の彼女に遺伝したのかな・・・若い頃の彼女の決断と勇気、そして後に騙されて多額の借金を背負うも、ちゃんと返済し、その後また横浜で新たな事業に手を出した、というのには感服するばかり。
遠山事件という詐欺に引っかったのも、品川という通訳が遠山と一緒にいて薦めたから、っていうのがあったからですよね。遠山もとんでもないヤツでユルセン!!って腹が立ったけど、品川もヒドイよ。この人はどうなったんだろう。
それと、この事件の後の県のお役所のお偉いさんたちの対応もヒドイわ・・・。当時珍しい女性の実業家で成功者だったことが、もしかして関係あったのかしら(女性ということで甘くみられたり、やっかまれたり)、と疑っちゃうな・・。
グラバーさんや、オルトさん、坂本龍馬など知っている名前や場所が出て来たのも読んでいて楽しかったです。
長崎旅行 グラバー邸等の写真
2019/11/7
内容(「BOOK」データベースより)
長崎の油商・大浦屋の女あるじ、お希以―のちの大浦慶・26歳。黒船来航騒ぎで世情が揺れる中、無鉄砲にも異国との茶葉交易に乗り出した。商いの信義を重んじるお希以は英吉利商人のヲルトやガラバアと互角に渡り合い、“外商から最も信頼される日本商人”と謳われるようになる。やがて幕末の動乱期、長崎の町には志を持つ者が続々と集まり、熱い坩堝のごとく沸き返る。坂本龍馬や近藤長次郎、大隈八太郎や岩崎弥太郎らとも心を通わせ、ついに日本は維新回天を迎えた。やがて明治という時代に漕ぎ出したお慶だが、思わぬ逆波が襲いかかる―。
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