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ネタバレ「勿忘草の咲く町で~安曇野診療記~」夏川草介

2020-08-20 | 小説・漫画他

「神様のカルテ」では書けないことを書いた、とのことです。死神、のあたりかなあ・・・。
終末医療について、いつもながら公平な目で、子供が読んでも解りやすく、老若男女安心して読め、優しい目線で書かれていて、やっぱり夏川さんは凄いなあ。
とても面白かったし、実際の現場で働いている医師ならではのお話、考えさせられるところもあって、とても良い小説です。4つ★半

本作は、同じ信州舞台ですが、全く新たな作品で、メインキャラが2名、実家がお花やさんの新人医師と、元気な看護師さんです。
いつもながら、地方の医療現場のハードさには、頭が下がる思いです・・・

そして本作では、谷崎先生という死神と言われる医師が重要な登場人物で、80歳以上の患者さんには延命せず・・・な対応をアッサリされるクールな人なのです。
ちょっと言葉足らずだったり、態度が冷たいのはなんですが、基本的に彼の考えは間違っていないし、共感する処もあったりします。

★以下ネタバレ★
80歳のおじいさんの弁膜症を治療したため、そもそも希少なRHマイナスの血液が足りなくなってしまい、その後、若い女性が子宮外妊娠で結果的に命を落とす事に繋がってしまった、というエピソードは、谷崎先生のご家族のお話だったのでは・・・?というのは悲しかったですね・・・。
あと、カップルなのですが、微笑ましくて良いのですが、あまり何度も二人きりで会ってないのに、あっという間にご両親に挨拶からの結婚って、、早すぎやしませんかね? 笑 
最後の方に、ちょこっと一緒に飲むはずのメンバーの一人が「引きの栗原」で、参加出来なくなってしまった、という処は笑いました^^
以上

印象的だったのは3話で、山口さんという患者さんが食事中窒息死してしまいます。その場に新人の看護師さんがついていて、数人を同時に見ていたのですが、彼女のミス・・・とはあながち言えないと思います。
でも、山口さんの親類が裁判をちらつかせる様になって、病院側の対応をいかにするか・・という会議が行われるのです。そこでいくばくかのお金を払って示談に・・・という方向に行きそうなところを、勇気を振り絞って美琴、そして桂が発言します。「未来のために、毅然とした態度で説明する」というのは良いなと思いました。これで患者の家族側が納得してくれればですが。

登場するお花で、知らない種類も多かったです。かたくりの花とか、秋海棠とか、
山茶花の花言葉が「困難に打ち勝つ」っていうのも初めて知りました。

実は、夏川さんの本を読むのは久しぶり。
ここ数年、うっかり失念していたんですよね・・・。
神様のカルテシリーズ、とっても面白くて好きだったのに。
最後に読んだのが、「神様のカルテ3」で、今見たら2013年7月で、下書きに途中までの感想が入ったままになっていました。
約7年前ということで、結構内容を忘れてしまっていてショック。
やっぱり感想は残しておかねば・・・。

「神様のカルテ3」の後、「神様のカルテ0」という過去の短編集と、「新章 神様のカルテ」というのが発表されているそうで、新章の方は近くリクエストが回って来そうです。
発売日的には一番最新の、この「勿忘草の咲く町で~安曇野診療記~」の方が先に回って来ました。

夏川草介さんのかつて勤めていた松本の24時間受付の病院、このところ、去年はテレビ東京系のドラマになったり、2年前には冬季オリンピックのスピードスケートの小平奈緒さんのスポンサーをしてくれていた病院だとか、話題になっていますよね。

勿忘草の咲く町で ~安曇野診療記~  2019/11/28 夏川草介
あらすじ(角川書店より)
看護師の月岡美琴は松本市郊外にある梓川病院に勤めて3年目になる。この小規模病院は、高齢の患者が多い。 特に内科病棟は、半ば高齢者の介護施設のような状態だった。その内科へ、外科での研修期間を終えた研修医・桂正太郎がやってきた。くたびれた風貌、実家が花屋で花に詳しい──どこかつかみどころがないその研修医は、しかし患者に対して真摯に向き合い、まだ不慣れながらも懸命に診療をこなしていた。ある日、美琴は桂と共に、膵癌を患っていた長坂さんを看取る。妻子を遺して亡くなった長坂さんを思い「神様というのは、ひどいものです」と静かに気持ちを吐露する桂。一方で、誤嚥性肺炎で入院している88歳の新村さんの生きる姿に希望も見出す。

神様のカルテ2
神様のカルテ
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2 コメント

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Unknown (苗坊)
2020-08-20 19:37:43
こんばんは。
シリーズものは油断すると何冊も出ていていつの間にか出遅れていたってこと、ありますよね。
私もそういうシリーズがあります^^
神様のカルテの感想もお待ちしてます^m^
今は患者さんが治療を選ぶ時代なのだとテレビで見た気がします。治療法がたくさんあってその中の1つが正解というわけではないからだと。それでもやはり、医療従事者の意見が欲しいし、自分で決めろと言われても困りますよね。
仕事にも恋にも初々しい2人が眩しかったです。
こちらもシリーズ化してほしいですね。
そしていつか正太郎とイチ先生が出会ってほしいです。
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苗坊さん☆ (latifa)
2020-08-21 11:22:49
こんにちは、苗坊さん
そうなんですか、苗坊さんでも、うっかりしちゃうことあるんですね。

患者さんが治療を選ぶ時代
患者も医師に100%まかせ、っていう時代は終わったんですね・・・。
都会だと病院も選べますが、地方の小さな町だと、なかなか難しい。

今はコロナで、ますます医療現場が大変だし・・・。
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