魏志倭人伝・現代語訳13
風俗
原文其風俗不淫、男子皆露紒、以木緜招頭。其衣横幅、但結束相連、略無縫。婦人被髪屈紒、作衣如単被、穿其中央、貫頭衣之。種禾稲・苧麻、蚕桑・緝績、出細苧・縑緜。
書き下し文その風俗は淫(みだら)ならず、男子は皆露紒(ろけい)にし、木緜(もめん)を以て頭を招(しば)る。その衣の横幅は、但(ただ)結束して相連(つら)ね、略(はば)縫うことなし。婦人は被髪屈紒(くっけい)にし、衣を作ること単被(たんぴ)の如く、その中央を穿(うが)ち、頭を貫きて衣(き)る。禾稲(かとう)・苧麻(ちょま)を種(うえ)え、蚕桑(さんそう)・緝績(しゅうせき)し、細苧(さいちょ)・縑緜(けんめん)を出す。
現代語訳
その風俗は乱れていません。
男子は皆、何もかぶらず髪を露出しており、
木緜(ゆう)をもちい髪を縛っています。
その衣の横幅は、
ただ結束し連ねているだけで、
縫い付けていません。
婦人は髪を自然に伸ばし、
折り曲げて結んでいます。
単衣(ひとえ)のような衣を作り、
その中央に穴をあけ、
そこに頭を入れて着ています。
稲や苧麻を植え、
養蚕し紡いで
細苧(さいちょ)・縑緜(けんめん)を
生産しています。
・露紒(ろけい)
冠をかぶらずに髪を露出すること
・木緜(ゆう)
木綿に同じ
・横幅
腰巻
・被髪
髪を結ばず自然に伸ばしておくこと
・屈紒(くっけい)
曲げて結ぶこと
・単被(たんぴ)
単の衣
・禾稲(かとう)
稲
・苧麻(ちょま)
「あさ」と「からむし」、また麻の布。
・蚕桑(さんそう)
桑を植えて蚕を飼う事
・緝績(しゅうせき)
布を織ったり、繊維を細かく裂いて縒り合わせること
・細苧(さいちょ)
目のこまかい麻布
・縑緜(けんめん)
かとりぎぬ。絹織物
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参考
かくも明快な魏志倭人伝 木佐 敬久
富士房インターナショナル
倭人・倭国伝全釈 鳥越 憲三朗
中央公論新社
Wikipedia