名所江戸百景を訪ねて
名所江戸百景を訪ねて
第34景「待乳山山谷堀夜景」
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隅田川の東岸、三囲神社の前から西側の真乳山と山谷掘を望んで描いた夜景図です。
堤には、付き人の照らす提灯をたよりに歩く芸妓が描かれています。一説によりますと、この女性は広重がひいきにしていた芸妓・小万をモデルにしているといわれています。
その女性の右側には桜の木が描かれ、葉桜がシルエットとして描かれています。
夜空には星が瞬き、隅田川の水面には満点の星空が映し出されています。
暗闇の中、光る西岸の明かりは、山谷掘の船宿、「竹屋」と「有明楼」です。
こんもりとした緑の山は真乳山で、山谷掘に架かる今戸橋も見えています。
待乳山
(まつちやま)
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待乳山は、待乳山聖天の周囲を指す地名です。台東区浅草七丁目付近にあたります。
元来小高い山でしたが、日本堤を築くために低くなりました。
この丘は、595年(推古天皇3年)に出現して龍が守護したと伝えられています。
待乳は、真土とも書き、この辺り一帯は泥海でしたが、ここだけが真の土であったことが名前の由来であるという説があります。
本龍院
(ほんりゅういんん)
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本龍院は、東京都台東区浅草にある聖観音宗の寺院で、浅草寺の子院の一つです。
本尊は歓喜天(聖天)・十一面観音で、待乳山聖天(まつちやましょうでん)とも称されます。
この寺には浅草名所七福神の毘沙門天が祀られています。
山谷掘
(さんやぼり)
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かつてあった東京の水路です。
築年数は不明ですが、江戸初期に荒川の氾濫を防ぐため、箕輪(三ノ輪)から大川(隅田川)への出入り口である今戸まで造られました。
現在は埋め立てられ、日本堤から隅田川入口までの約700mが台東区立の「山谷掘公園」として整備されています。
江戸時代には、新吉原遊郭への水上路として、隅田川から遊郭入口の大門近くまで猪牙舟が遊客を乗せて行き来し、吉原通いを「山谷通い」とも言いました。界隈には船宿や料理屋などが建ち並び賑わっていました。
今戸橋
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東京都台東区山谷掘に架かっていた橋です。
江戸時代、橋下を遊里吉原通いの猪牙舟(ちょきぶね)が往来しました。
現在は埋め立てられ、親柱だけが残されています。
描かれた場所は
現在どのようになっているのでしょうか?
訪ねてみました。
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描かれた時代と同じ場所から撮影したと思うのですが、対岸が思っていたより遠い。
よく目をこらすと、木々の間からお寺の屋根が見えます。
最後に
夜の散策はちょっと気がひけるので、午前中に訪れ、待乳山(まつちやま)を対岸から撮影しました。
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思っていたより、山が低いですね。描かれた様子から江戸時代にはもっと高い山だったと思われます。だいぶ削られてしまったのですね。
しかし、現在でも緑に覆われ遠くからでも美しさが伝わってきます。
また、本来なら、葉桜の季節に訪れるべきなのですが、機会を伺っていたら、秋となってしまいました。
しかし、紅葉の待乳山もまた美しいですね。機会がありました待乳山、訪れて見たいと思います。
参考
Wikipedia
太陽の地図帖 広重「名所江戸百景」の旅