古事記・現代語訳
古事記 上つ巻 古事記の企画
現代語訳(ゆる~っと)
古事記の企画
飛鳥清原大宮で、日本を統治なさった天武天皇の御世に至ります。
天に昇る前の、水に潜れる龍の徳をお持ちになり、しきりに鳴る雷のように、天子になる時に答えようとなされました。
夢の中で歌を聞き、天皇の位を受け継ぐ神託と判断し、夜の川に行き占い、天皇の位を承けつぐ立場であることを感じとりました。
しかしながら、天命の時には至っていないと、南の山・吉野で、蝉が殻を脱ぐように、衣を脱いで法衣をまとい、出家なされました。
天命と人の事が共に備わると、東の国に虎の勢いで進みました。
天皇の輿は、たちまちに進軍し、山を越え、川を渡り、天皇の率いる軍隊は、雷鳴轟くように進撃し、将軍が率いる三軍は、雷光のように先行しました。
天皇が矛を杖つくと、威勢が挙がり、猛き兵士らが煙のように起こりました。
赤い旗の進むところ、武器はきらきらと輝き、近江朝廷軍は瓦のように砕け散りました。
それから幾日も経たないうちに、気は自然と清らかになりました。
使役した牛を放ち、馬を休息させ、和らぎ楽しみ、都に帰り、軍旗を巻き、戈をしまい収め、舞をまい、歌い、都邑(みやこ)に滞在なされました。
酉の年の、二月に当たり、清原の大宮に置いて、高御座に昇り、即位なされました。
天皇の聖賢の道は、古代中国の黄帝に勝り、聖賢の徳は、周の文王を越えています。
三種の神器を受け継いで、天地と四方を統一し、天の正しい統嗣を継承し、国のすみずみを束ねられました。
陰陽の二つの気を、正しく乗じて、五行の順序を整え合わせて、神の教えを定め設けて、人民に奨励し、すぐれた教化を、国中に広めになられました。
・五行(ごぎょう)
万物を構成する木・火・土・金・水の5種類の元素
その上また、天皇の英智の海は限りなく広く、深く古を探求し、心の鏡は、光り輝いて、明らかに、先の代を見通されました。
ここに天皇は仰せになられ、
「朕が聞くところによると、『諸々の家が持っている、帝紀(すめらみことのふみ)と本辞(もとつことば)は、既に真実と違い、多く虚偽が加えられている』と言う。
・帝紀(すめらみことのふみ)
天皇の正史
・本辞(ほんじ)
上代、神話や伝説や歌物語などを筆録したもの。旧辞。先代旧辞
今の時に当たり、その誤りを改めないと、何年も経たないうちに、その真実が失われてしまうであろう。
これ、国家の経緯は、君主の政治のもとである。
そこで、帝紀を選び記録して、古い言葉を調べ究めて、偽りを削り、真実を定めて、後世に伝えたいと思う」と仰せになられました。
その時、一人の舎人がいました。
生まれながらにして、聡明で、目にした文章は暗誦でき、耳に聞こえた言葉は、記憶することができました。
阿礼に勅語(みことのり)して、帝皇の日継(ひつぎ)と先代の旧辞(ふるきことば)を、誦み習わせました。
しかしながら、時が移り、天皇の御代も変わり、その事業は、実行されませんでした。
明日に続きます。
最後まで読んでいただき
ありがとうございました。
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