リートリンの覚書

麁服と繒服 28 服の原料「大麻」とは?  麁服とはどのように使われるのか?


麁服


麁服のサイズは、
幅9寸(27cm)、
長さ2丞6尺(7.88m)です。

それが4反。

悠紀殿と主基殿に2反ずつ置きます。
この寸法に意味があるようですが、
未だ解明できていません。

麁服だけは、
大嘗祭でも特別な扱いを受けています。

種を植えるときから、
宮中の神祇官が立ち会うのです。

宮中の神祇官は、
三種の神器など宝物を取り扱うなど
重要なお役目を負っている人たちです。
 
一方、
忌部の当主である三木信夫氏は、
神官の装束「斎服(さいふく)」を
身に着けて、神事の主宰を行います。 

種を植えてから糸を取り始めるまで、
三木家に作られた畑には、
24時間体制で監視員が見守ります。

これは
大麻取締法のある日本だからではなく、
この畑の清浄さを維持するためのものだと
いわれています。

こうして大切に育てられた大麻から、
神事として糸を紡ぎ、
忌部神社で機織りをして、
麁服は作られていのです。

忌部の三木当主はその一つひとつを、
斎服を身に着けて立ち会うのです。

いよいよ麁服ができあがると、
三木当主が桐箱に入れ、
直接宮中に参内し、
神祇官に預けます。

麁服は桐箱に収められ、
宮内庁から宮中へと渡っていきます。

その間、
誰一人として
その桐の箱を開けて見る者はいません。

できあがった麁服は着物の反物と一緒で、
布のまま渡されます。

三木当主の手によって桐箱に入り、
その後、

誰の手にも渡らず、
天皇の手に渡るのです。

そして14日の朝、
麁服は悠紀殿・主基殿に設置されます。

そこでも、
誰も中身を確認したり
取り上げたりはしないのです。


麁服とはどのように使われるのか?


大嘗祭は秘儀とされ、
麁服がどのように使われるのかは
分かっていません。

大嘗宮の中で行われることについての
詳細は秘儀とされていますが、

ただ、
「延喜式」には概要が記載されています。

それによりますと、
悠紀殿にはご神殿があり、
部屋の中央には
「八重畳(やえたたみ)」とよばれる
畳を重ねたベッドのような寝台があります。

そして天皇は、
この神殿に足を向けて八重畳に横たわります。

八重畳の傍には、
神前に物を供えるときなどに用いる
八足の机があり、

その机の四隅には、
木綿(ゆう)をつけた榊が立てられ、

真ん中に「細目籠」という籠が
置いてあります。

その中に「麁服」が二反入れられています。

その二反の麁服がどのように使われるのは、
延喜式にも書かれておらず、
それ以上は秘儀なのです。

そして儀式が終わると、
麁服は神の火で燃やされ、
姿を消します。

悠紀殿と主基殿で、
麁服がどういう役割をしているのかは、
誰も語りません。

そして一切、
表に漏れてきません。


感想

しかし、
不思議な布ですね。

以前、
大嘗祭についての本を数冊
読ませていただいたのですが、

麁服について詳しく
書かれたものがありませんでした。

ですから

麁服

使われている漢字から

目の荒い布を使った
服だとばかり思っていました😅

しかし、
実際は、反物。

加工されない布のまま、
儀式が終わると燃やされ天に帰る。

麁服。

そして、
延喜式のこと。

「麁服(あらたえ)と繪服(にぎたえ)
天皇即位の秘儀 践祚大嘗祭と二つの布」

では、三木氏がインタビューの中で
延喜式について
かなり詳しく説明されています。

"天皇は、
この神殿に足を向けて八重畳に横たわります。"

このことについて
別の本には書かれていませんでした。

神様に足を向ける😳
かなりの衝撃です。

「麁服(あらたえ)と繪服(にぎたえ)
天皇即位の秘儀 践祚大嘗祭と二つの布」

の中で三木氏は、

ご神殿に、
頭ではなく足を向けるそれは何故か?
と聞かれると、

“それは神と一体化するためなんです。”
と答えています。

“神様が麁服に宿るということです。そして、儀式が終わると、麁服はすべて燃やされます。”

神様が宿った布。

麁服

では、
いったいいつ神様は麁服に宿ったのか?

大麻畑で天と地から
エネルギーを受け取った時か?

それとも、
糸を紡ぎ出す時か?

それとも、
巫女が麁服を織る時か?

それとも、
三木氏の天狗の間で宿ったのか?

それとも、
悠紀殿と主基殿の神座に
安置され人々が祈りを捧げた時か?

自分は、
それら全ての時だと思います。

天のエネルギー。
地のエネルギー。
人々の祈り、思い。

それら三つのエネルギーが
糸に宿り紡がれ
麁服になる。

三つのエネルギーが宿った布が
麁服だと自分は思いました。

麁服を介して
天皇陛下と神様が一体化する。

改めて、
麁服が重要な物であると感じました。

後世に絶対残していかなければならない
伝統だと思います。

本日は、
「麁服(あらたえ)と繪服(にぎたえ)
天皇即位の秘儀 践祚大嘗祭と二つの布」
(著)中谷 比佐子・安間 信裕 
監修 門家 茂樹と
Wikipediaを参考に書かせていただきました。

最後まで読んで頂き
ありがとうございました。


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