リートリンの覚書

古事記 上つ巻 現代語訳 七 伊邪那岐神と伊邪那美神 国生み


古事記 上つ巻 現代語訳 七


古事記 上つ巻
伊邪那岐神と伊邪那美神 国生み


読み下し文


(国生み)

 故尓して、返り降り、更に其の天の御柱を往き廻りたまふこと、先の如し。是に伊邪那岐命、先に言りたまはく、「阿那邇夜志愛袁登売袁」とのりたまひ、後に妹伊邪那美命言りたまはく、「阿那邇夜志愛袁登古袁」とのりたまふ。かく言ひ竟へて、御合ひたまひ、生める子は、淡道之穂之狭別島。次に伊予之二名島を生む。此の島は、身一つにして面四つ有り。面毎に名有り。故、伊予国は愛比売と謂ひ、讃岐国は飯依比古と謂ひ、粟国は大宜都比売と謂ひ、土佐国は建依別と謂ふ。次に隠伎之三子島を生みたまふ。亦の名は天之忍許呂別。次に筑紫島を生みたまふ。此の島も、身一つにして面四つ有り。面毎に名有り。故、筑紫国は白日別と謂ひ、豊国を豊日別と謂ひ、肥国を建日向日豊久士比泥別と謂ひ、熊曽国は建日別と謂ふ。次に伊伎島を生みたまふ。亦の名は天比登都柱と謂ふ。次に津島を生みたまふ。亦の名は天之狭手依比売と謂ふ。次に佐渡島を生みたまふ。次に大倭豊秋津島を生みたまふ。亦の名は天御虚空豊秋津根別と謂ふ。故、此の八島をまづ生みたまへるに因りて、大八島国と謂ふ。
 然ありて後還り坐す時に、吉備児島を生みたまふ。亦の名は建日方別と謂ふ。次に小豆島を生みたまふ。亦の名は大野手比売と謂ふ。次に大島を生みたまふ。亦の名は大多麻流別と謂ふ。次に女島を生みたまふ。亦の名は天一根と謂ふ。次に知訶島を生みたまふ。亦の名は天之忍男と謂ふ。次に両児島を生みたまふ。亦の名は天両屋と謂ふ。

吉備の児嶋より天両屋嶋に至るまで幷て六嶋。



現代語訳


国生み

 このようなわけで、返り降り、更にその天の御柱を往き廻りました、それは先の如し。

ここに伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が、先に言って、「阿那邇夜志愛袁登売袁(あなにやし、えをとめを)」といいました。

その後に、妹伊邪那美命(いもいざなみのみこと)が言って、「阿那邇夜志愛袁登古袁(あなにやし、えをとこを)」といいました。

かくいい終えて、御合(みあい)なさり、生んだ子は、淡道之穂之狭別島(あわじのほのさわけのしま)です。

次に伊予之二名島(いよのふたなのしま)を生みました。この島は、身が一つにして面(おもて)が四つありました。

面のたびに名がありました。故に、伊予国(いよのくに)は愛比売(えひめ)といい、讃岐国(さぬきのくに)は飯依比古(いいよりひこ)といい、粟国(あわのくに)は大宜都比売(おおげつひめ)といい、土佐国(とさのくに)は建依別(たけよりわけ)といいます。

次に隠伎之三子島(おきのみつごのしま)をお生みになられました。またの名は天之忍許呂別(あめのおしころわけ)といいます。

次に筑紫島(つくしのしま)をお生みになられました。この島も、身一つにして面四つありました。

面ごとに名がありました。故に、筑紫国(つくしのくに)は白日別(しらひわけ)といい、豊国(とよのくに)を豊日別(とよひわけ)といい、肥国(ひのくに)を建日向日豊久士比泥別(たけひむかひとよくじひねわけ)といい、熊曽国(くまそのくに)は建日別(たけひわけ)といいます。

次に伊伎島(いきのしま)をお生みになられました。またの名は天比登都柱(あまひとつはしら)といいます。

次に津島(つしま)をお生みになられました。またの名は天之狭手依比売(あめのさでよりひめ)といいます。

次に佐渡島(さどのしま)をお生みになられました

次に大倭豊秋津島(おおやまととよあきつしま)をお生みになられました。またの名は天御虚空豊秋津根別(あまつみそらとよあきづねわけ)といいます。

故に、この八島をまずお生みになられましたので、大八島国(おほやしまくに)といいます。

 そのような後、還ります時に、吉備児島(きびこじま)をお生みになられました。またの名は建日方別(たけひかたわけ)といいます。

次に小豆島(あづきしま)をお生みになられました。またの名は大野手比売(おおぬてひめ)といいます。

次に大島(おほしま)をお生みになられました。またの名は大多麻流別(おおたまるわけ)といいます。

次に女島(をみなしま)をお生みになられました。またの名は天一根(あまのひとつね)といいます。

次に知訶島(ちかのしま)をお生みになられました。またの名は天之忍男(あめのおしお)といいます。

次に両児島(ふたごのしま)お生みになられました。またの名は天両屋(あめのふたや)といいます。

吉備の児嶋より天両屋嶋(あめのふたやのしま)に至るまであわせて六嶋(むしま)。



・御合(みあい)
肉体関係を結びなさること。結婚なさること
・淡道之穂之狭別島(あわじのほのさわけのしま)
淡路島
・伊予之二名島(いよのふたなのしま)
現在の四国
・伊予国(いよのくに)
現在の愛媛県
・讃岐国(さぬきのくに)
現在の香川県
・粟国(あわのくに)
現在の徳島県
・土佐国(とさのくに)
現在の高知県
・隠伎之三子島(おきのみつごのしま)
現在の隠岐諸島 
・筑紫島(つくしのしま)
現在の九州
・筑紫国(つくしのくに)
現在の福岡県のうち東部(豊国の地域)を除いた範囲
・豊国(とよのくに)
現在の福岡県東部および大分県全域
・肥国(ひのくに)
現在の熊本・佐賀・長崎の各県に当たる地域
・熊曽国(くまそのくに)
現在の九州南部
・伊伎島(いきのしま)
現在の壱岐島
・津島(つしま)
現在の対馬
・大倭豊秋津島(おおやまととよあきつしま)
日本の本州の古称
・吉備児島(きびこじま)
現在の岡山県の児島半島
・小豆島(あづきしま)
小豆島(しょうどしま)は、瀬戸内海・播磨灘にある島
・大島(おほしま)
山口県周防大島町に当たる屋代島
・女島(をみなしま)
現在の大分県の国東半島の北にある姫島が比定される
・知訶島(ちかのしま)
五島列島
・両児島(ふたごのしま)
五島列島の南、男女群島が比定される



ゆる~っと訳に続きます。

読んでいただき
ありがとうございました。






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