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ウイルスについて思うことなど

2020-08-03 21:58:42 | COVID-19に関連して
 感染症COVID-19の流行が社会的な問題となったため、その病原体であるウイルスに関心をもつ人びとも増えたのではないでしょうか。
 ウイルスはいわゆる代謝活動(必要な物質を吸収して化学反応を起こし、不要な物質を排出する)を行わないために生物学的には生物ではないとされています。
しかし、生命や生物にかかわるさまざまな現象を科学的に理解するためにはウイルスを生物の一種と考えたほうがいいのではと思います。生物を「自己複製を行い、変異を起こすもの」と定義し直せば、ウイルスも生物として位置づけることができるのではないでしょうか。
 ウイルスが生物の進化の過程で重要な役割を果たしてきたことが明らかになってきています。人間など哺乳類が胎盤をつくるために必要な遺伝子の一部はウイルスに由来していることが明らかになったのもその一例です。また細菌並みの大きさと遺伝子数をもつ巨大ウイルスも発見されています。
 ウイルスを理解することで、生物現象をより深く理解できるようになるだろうと思います。いずれ生物の教科書の中で、ウイルスが相応に位置づけられることをひそかに期待しています。
 COVID-19の原因ウイルスは人間の体の細胞を増殖の場所として利用します。もし感染した個体を死なせてしまっては、増殖には不利になってしまいます。言いかえると、感染した個体を死なせないでさらに感染を拡大することが、ウイルスにとって生存を維持するのに好都合です。そのため、一般論としては、ウイルスは感染対象と共存する方向で変異していく傾向があるのでしょう。今から約百年前に世界中で多くの死者を出したインフルエンザウイルスも、その後は毒性を弱めて、人間とは「共存」に近い状態となって現在に至っています。


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