地元では4月末から上映されていましたが、
やっと本日鑑賞することができました。
アカデミー賞授賞式での珍事が印象的だったけれど、
繊細で深みのある本作が受賞したということは、私的には納得なのです。
あらすじ(シネマトゥデイ)です。
マイアミの貧困地域で、麻薬を常習している母親ポーラ(ナオミ・ハリス)と暮らす少年シャロン(アレックス・R・ヒバート)。学校ではチビと呼ばれていじめられ、母親からは育児放棄されている彼は、何かと面倒を見てくれる麻薬ディーラーのホアン(マハーシャラ・アリ)とその妻、唯一の友人のケビンだけが心の支えだった。そんな中、シャロンは同性のケビンを好きになる。そのことを誰にも言わなかったが……。
主人公シャロンの少年期、高校生時代、成年期とに分けて展開していくストーリー。
少年期、家族にも友人にも恵まれずに、孤独を抱えているシャロン。
ケビンだけが彼に普通に接してくれる唯一の友人で特別な存在ではあるけれど、
その感情の正体がいったいどういうものなのか、まだ明確にわからないという感じ。
暗いジメジメとしたところから明るい場所へ引き上げてくれるかのような存在で、
少年期にはありそうな憧れみたいな感情もあったのかもしれないです。
麻薬ディーラーのホアンとの出会いは、以降の彼にとって、とても重要なものとなります。
投げかけてくれた言葉が、彼に影響を与えていくことが後にわかります。
高校生になり、相変わらず線が細く、いじめられているシャロン。
母親の麻薬中毒もひどくなっており、さらに自身がゲイであることも自覚しています。
ケビンにたいする気持ちも。
月の光の中で語り合うシャロンとケビンのシーンは、
二人の気持ちが不器用ながらも通じ合う重要なシーンであり、
黒人は月の光に照らされると青く見えるというホアンの言葉を思い出させる。
しかし、次の日に哀しい出来事が起きます。
さらにホアンが彼に残してくれた「自分の道は自分で決めろ」という言葉が、
シャロンの人生を大きく変えることに。
成年期。
あれほど線の細かったシャロンは、今じゃ麻薬ディーラー(ホアンのよう…)、
体を鍛えてムキムキ、面影と言えば、表情(目)でしょうか。まるで別人のようです。
高校生以来、全く会っていなかったケビンからの連絡が入り、
会いに行くところからはもう昔のシャロンと同じような表情が見えてきます。
むしろケビンがまったく別人のようですよ…(^^;)
もうこの再会の瞬間から最後まで、ずっとドキドキしっぱなしでした。
互いの距離を測りながら、会えなかった月日の空白を埋め合わせるかのような、
なんとももどかしい会話や仕草、表情にグッと心に迫るものがありまして。
ここでのシャロンの言葉が最高に良かったです。
見た目は強く見せかけているだけで、中身は本当にピュアだったんですね~。
最後は少年期のシャロンが月の光に照らされているところで終わります。
ああ、よかった…と反芻しながらのエンドロール。
内容はマイノリティ、麻薬、いじめ、格差社会等々重いものでしたが、
最後の余韻はほんわりと温かいものもありました。
派手な展開はないけれど、良い映画だと思います。
俳優さんの演技も素晴らしく、もう一度見直したいくらいです(無理だけど)。
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