珍しく単行本で、しかもフィクション。
アマゾンの少数民族である「ピダハン」の居住地域に、キリスト教の伝道師として入った著者。
村での暮らしや人々の考え方だけではなく、言語学者としての研究成果なども紹介した本です。
先月にNHKの番組で、やはりアマゾンの少数民族「イゾラド」の特集をしていまして、
その民族唯一の生き残りの男性を研究している学者さんも登場していました。
その内容もかなり衝撃的だったんですが…
この「ピダハン」もかなり自分の価値観が覆される勢いで衝撃でした。
みすず書房のサイトからあらすじです。
著者のピダハン研究を、認知科学者S・ピンカーは「パーティーに投げ込まれた爆弾」と評した。ピダハンはアマゾンの奥地に暮らす少数民族。400人を割るという彼らの文化が、チョムスキー以来の言語学のパラダイムである「言語本能」論を揺るがす論争を巻き起こしたという。
本書はピダハンの言語とユニークな認知世界を描きだす科学ノンフィクション。それを30年がかりで調べた著者自身の奮闘ぶりも交え、ユーモアたっぷりに語られる。驚きあり笑いありで読み進むうち、私たち自身に巣食う西欧的な普遍幻想が根底から崩れはじめる。
とにかく驚きは言語だけではないのだ。ピダハンの文化には「右と左」や、数の概念、色の名前さえも存在しない。神も、創世神話もない。この文化が何百年にもわたって文明の影響に抵抗できた理由、そしてピダハンの生活と言語の特徴すべての源でもある、彼らの堅固な哲学とは……?
著者はもともと福音派の献身的な伝道師としてピダハンの村に赴いた。それがピダハンの世界観に衝撃を受け、逆に無神論へと導かれてしまう。ピダハンを知ってから言語学者としても主流のアプローチとは袂を分かち、本書でも普遍文法への批判を正面から展開している。
あらすじにある通り、ピダハンには左右や数の概念がなく、色を表す名前も無い。
自分の見たものや経験したことだけを言葉にし、神や創世神話も存在しない。
最終的に、著者は無神論へと導かれてしまい、家族ともお別れしてしまいます…!
「ミイラ取りがミイラになる」んですから。
ちょっと難しい部分もあったんですけど、
著者が30年間と長い期間で調べ上げた言語のこと以外にも、
ピダハンの文化についてや暮らしについてを読むだけでもとても興味深いです。
価値観の違いは優劣では無いんだなぁと。
考えさせられる本でした。
ピダハンには会ってみたいですけど、私はそこで暮らすことはできないんじゃないかな~(^^;)
(結局、そこか)
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