『ありがち日記』

三津田信三『密室の如き籠るもの』

刀城言耶シリーズ第一短編集。


ストーリー:
旧家の猪丸(いまり)家に現れた記憶のない謎の女・葦子(よしこ)は、開かずの間だった蔵座敷(くらざしき)で“狐狗狸(こっくり)さん”を始める。だが、そこは当主・岩男(いわお)の前妻たちが死んだ場所だった。刀城言耶(とうじょうげんや)が訪れた日も“狐狗狸さん”が行なわれるが、密室と化した蔵座敷の中で血の惨劇が起こる。表題作他、全4編を収録した“刀城言耶”シリーズ第1短編集。 

全部で4作あって、最初の3つの短編は比較的コンパクトで読みやすく、最後の表題作が中編レベルの長さでしょうか。読み応えが結構ありました。

三津田さんの刀城言耶シリーズは、ミステリーとホラーが融合した不思議な魅力のある作品なのですが、この短編集でもちゃんと楽しめました。中にはミステリー色の強いもの弱いものなど変化もありますからねー。

狐狗狸さんが出てくる最後の表題作。ホラー寄りなのかな?と思って読み始めたところ、まさかの動機と真犯人で…。葦子の境遇を考えると、自業自得な面もあるんだろうけれど、ちょっと切なく悲しいストーリー。葦子はなんで記憶を無くしていたのだろう?蔵座敷の中で異様な存在感を放っていた箱の中身の真相など、はっきりしないまま終わったところもあります。はっきりさせたい!っていう方にはモヤモヤかもしれませんが、読者の想像に任せられているところもあるんじゃないかと私は思っていて。そういう意味では余韻として残ります。

このシリーズは読みごたえがあって、独特の難解さがクセになるんですけど、どっと疲れが出ます。年度末で仕事が多忙になってきたため、軽めの本を読もうっと😅

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