刀城言耶シリーズの長編。
ストーリー
碆霊様を祀る、海と断崖に閉ざされた強羅地方の村々。その地を訪れた刀城言耶は、村に伝わる怪談をなぞるように起きた連続殺人事件に遭遇する。死体に残された笹舟。事件の現場となった”開かれた密室”の謎。碆霊様が遣わすという唐食船とは何なのか。言耶が真相にたどり着いたとき、驚愕の結末が訪れる。
”碆霊様”は何を祀る?
”唐食船”の正体とは?
海辺の寒村に伝わる四つの怪談。
怪談をなぞり起こる連続殺人事件。
数多の謎に、刀城言耶が挑む。
死体に残された笹舟。”開かれた密室”。
刀城言耶の訪れる先で、またも不可解な事件が起こる……
今作もホラーとミステリーの両方を楽しめる。戦後間もない時代、地形的にも周りから閉ざされた村での連続殺人事件。なぜか刀城言耶が赴く場所ではこくした不可解な殺人事件が起こるのであった…
今回は冒頭から強羅地方に伝わる4つの怪談話から始まる。読者にとって、その不気味さがまず印象付けられる(普通に怖い)。
そして終戦から間もない作中での現在、この4つの怪談になぞらえたような殺人事件が起こる。すべて密室と言える状況で犯人の決め手も無く、刀城言耶も推理が二転三転…。
ところが、怒涛の解決パートはさすが。
4つの怪談についても、怪異にばかり気を取られてしまっていたけど、よくよく読んでみると貧しい村の厳しい現実が見え隠れしており、別の意味での恐怖もある。結局は人間が一番怖かったりするのだ。
ミステリーよりなのかな?と思いながら読み終わりそうだったのだけど、最後の最後、最も怖い展開が待ち受けているとは…ここはぞわっとした。やっぱりホラーかもしれない。
この何とも言えない気分になって読み終わるのがこのシリーズのお決まり。
じっくりと世界観に浸りながら楽しませていただきました。