まだ見てなくて楽しみにしている人もいるだろうからストーリーは詳しく書かないけど、見終わって僕は思った。
「やっぱり、ルーカスは最高だな!!」、と。
30年近くもこのSTAR WARSサーガを追いかけて来た甲斐があったというものだ。
ストーリーも映像も、全てが満足いくものだ。
全ての謎が解け、このエピソード3によって6作が一つの歴史として綺麗なつながりを得ることとなった。
しかし、私が感銘を受けたのはそんなレベルのことではない。
もっと深いところでルーカスに畏敬の念を抱いたのだ。
勿論、ただの考えすぎなのかもしれないかもしれないけれど、ルーカスはこのスター・ウォーズという全世界が注目するエンターテインメント作品の最終エピソードを利用して、全世界にアメリカへの警戒を訴えかけているのだと思うのだ。それを政治的ニオイを一切させず、最後までエンターテイメントに徹して訴えかけたところに、私は彼の並々ならぬ偉大さを感じたのだ。
フォースのダークサイド、それは一言で表すならば「所有への執着」であり、すなわちその本質は「欲望」である。
それを利用して強大なパワーを得るシスの暗黒卿たち。この「所有への執着」こそ、アメリカが日本を含む世界中の人たちに植えつけてきた最大の価値観だ。
その「ダークサイド」で人々を魅了し、アメリカは世界唯一の超大国となった。
そして、スター・ウォーズEP3で描かれた戦争は、まさにアメリカの現在であり行きつくであろう未来だと思うのだ。
ダースシディアスは、「自由を愛する共和国」の元首であり、「自由を守るために!」分離主義者たちの勢力を「クローン軍」という強大な戦力で抹殺していくのである。全ては、自由のためであると言いながら・・・。
映画の中では分離主義者たちはいかにも「悪役」といった風貌で描かれているが、ルーカスは劇中でこのようなことを登場人物に語らせる。
「正義なんていうものは、見る立場によって変わるものだ。どちらが正しいのかは分からないぞ。」、と。
そう、劇中の分離主義者たちは、現実社会で言えば「自由を愛する正義のアメリカ」に反逆するもの全てであり、勿論イラクのような国家やアルカイダといったゲリラが全てこれにあたるだろう。
そして、EP3の中では、ゲリラや無法者国家にあたる分離主義者たちが、「自由」の名のもとに全て完膚なきまでに抹殺される。
そしてその瞬間、人々は気付く。
もはやそこに「自由を愛する共和国」はなくなっており、強大な軍事力を背景に持ったダース・シディアスの「恐怖の帝國」が成立してしまったことに・・・。
そしてまたさらに深いなと思うのが、その分離主義者たちを唆して武装蜂起させているのも、ほかならぬ共和国側の元首ダース・シディアスであるという点である。
このことは、いま世界を混乱させている元凶とされ悪役の名を欲しい侭にしている「テロリスト」たちを裏で操っているのは、他ならぬアメリカ自身であるということを暗喩しているようでならない。ルーカスは、そのことを訴えかけようとしているのではないか?
ダース・シディアスは強大な軍備と戦闘行為を正当化させるためだけに、分離主義者たちを利用した。
アメリカもまた、自らの軍備と戦争を正当化させるために、敢えてテロリストたちを自由に活動させているのではないか?さらに言えば、支援しているのではないか?という確信に近い疑念だ。
なぜなら、あれほどの武力と兵員を持って攻撃したアフガンから、ウサマ・ビン・ラディンを見つけ出すことが出来なかった。なぜか?それは、戦闘行為を継続したいが為に、敢えて泳がせているからである。
また、悪の権化とされたフセイン大統領が生きながらえ続けているのはなぜか?
それは、悪の象徴に死なれては困るからである。
戦争への、大義名分がなくなってしまう。
そして、テロリストたちが使っている武器弾薬、はたまたその技能までがアメリカ産だ。911の実行犯パイロットが、アメリカで飛行訓練を受けていたというのは有名な話だ。また、イラン・イラク戦争の時はアメリカはイラクを支援しており、イラク軍の使っている軍備も戦術も「made in America」が多いのだ。
ダース・シディアスの、「まず敵に戦力を与えて動かし、最終的に悪役として叩きのめす」戦略は、まさに現在のアメリカの戦略そのものなのである。
つまり、ルーカスはこう思っているのではないだろうか?
今のまま巨大国アメリカを暴走させていたら、いずれ近いうちに大統領は皇帝になり、恐怖支配のアメリカ帝国が誕生してしまうぞ、と。
いや、あるいはアメリカは既にシスに支配され、帝國と化してしまっているのだぞ、と。
自由の守り手、ジェダイは全て抹殺されてしまった。
私の中で、ジェダイの姿は「サムライ」の姿とオーバーラップしている。
戦争を放棄し、軍備を持たず、刀(ライトサーベル)で闘うサムライ魂こそがルーカスの描いたジェダイなのだ。
では、日本がジェダイとなって、世界をアメリカの暴走から救えるのだろうか?
私は、ルーカスはそう考えては居ないだろうと思った。
もともとは崇高なサムライの魂を持っていたジェダイ、アナキン。かれは、ダークサイドの誘惑に負け、敵であったダース・シディアスの手先と化してしまう。
そう、かつて敵であったアメリカに対し、もはや従属国のような政策しか打ち出せない日本はアナキンだ。
しかし、日本はダース・ベイダーになってはならない。
自らも体を焼き焦がす痛手を負い、さらに帝國の尖兵として反米国家やテロリスト抹殺の矢面に立たされてしまう!
私は、スター・ウォーズEP3を見て、エンターテイメントに隠されたルーカスのメッセージを上記のように受け止めた。
勿論、ただの思い込みだけど、そうやって深読みしたくなるほど良く出来たストーリーだったということだ。
うん、単純に面白かった。必ずDVD買おう。
何かの懸賞で、大画面TV当たらないかな~。
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