歌詞を味わうブログ

1980年代から1990年代の日本のポップスの歌詞を味わうブログ

『M』 作詞:富田京子 リリース:1988年

2021-03-21 16:43:00 | 歌詞を味わう
「いつも一緒にいたかった」
「となりで笑ってたかった」
で始まる『M』は、PRINCESS PRINCESSの代表曲とも言えるのではないでしょうか。
作曲は奥井香さんですが、作詞はPRINCESS PRINCESSのドラマーの富田京子さんです。
イニシャルのMが誰かということには全く興味ありませんが、富田さんに関係しているのだと別のサイトから知りました。
冒頭の願望が「叶わない夢なら忘れる勇気だけ欲しいよ」とする気持ち、よくわかります。
自分も引きずる方だったので。
と、ここまでで3つの願望があることに気がつくと思います。
 1 いつも一緒にいたかった
 2 となりで笑ってたかった
 3 1と2の夢が叶わないなら忘れる勇気だけ欲しい
別の箇所でも作詞家は「星が森へ帰るように自然に消えて」と願っています。
つらい想い出だから消えて欲しいのでしょう。しかし、星は実際には森へ消えたのではなく、見えなくなっただけなのです。
心の葛藤を比喩的に表現した言葉だと思います。
でも、忘れようとしたり、消し去ろうとしたり、すればするほどそうはできなくなるんですよね、きっと。
なぜなら、大上段に構えて言うならば、このような苦しみの原因は願望の奴隷状態にあって、人と人との関係性において自由じゃないから。
それらの願望から自由になれた時に、「いつも一緒にいること」「となりで笑っていられること」と条件を課している窮屈さに気づくんじゃないのかな。
まあ、そうは言っても、若い頃は使えるお金も限られているし、会いに行く電車賃にさえ事欠くことがあるから、会えなくなる寂しく苦しかった気持ちは忘れようとするのではなく、そういう苦しみを知っているからこそ自由な関係性が大切だと心に刻んでおくためにも、覚えておいていいと思いますよ。
私自身、つらい時期に、同じような思いを持っている人がいるんだと、励まされたので、この詩にはとても感謝しています。
最近は甘いリンゴばかりになってしまって酸っぱいリンゴが見当たらなくなってしまったけど、成熟した言葉ばかりでなく、とても恥ずかしく青臭く酸っぱい想い出を綴った詞があってもいいと、私は思います。
このブログの読者の方も、メロディーから離れてひたすら歌詞そのものを味わってみてはいかがでしょうか。


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