少し前の記事になりますが、朝日新聞の編集委員による「官僚は誰の奉仕者なのか」という解説記事は、福田元首相が批判した内閣人事局の問題点を的確に描いています。
(MONDAY解説)「記憶ない」「記録ない」政権に寄り添いすぎ? 官僚はだれの奉仕者なのか 松下秀雄
解説では1990年代までは人事は事実上、各省庁が決め、官僚の力が強すぎたために政治主導の一環として制度改革がなされてきたと説明。朝日新聞も「横暴な官僚」をたたく記事が多かったと牧原出・東京大学教授(行政学・政治学)が文中でコメントしている。しかし、2014年に内閣人事局ができると、私的な会食での発言が政権批判と受け止められた釜山総領事が今年6月に交代させられるなど、政権が人事権をかざして官僚たちに「異を唱えれば、どうなるかわかっているだろうな」という圧力がかかり、「物言えば唇寒しという気分」が漂ってきたという。
異を唱えた前川喜平氏は菅官房長官から「地位に恋々としがみついた」「前川氏から(杉田和博官房副長官に)せめて3月まで次官を続けさせてほしいという話があった」(★前川氏は「事実に反する」と抗議★)と人事をめぐる動きは前川氏への攻撃材料に使われた(もっとも、怪文書に始まり、菅長官のこうした一連の発言は国民の非難を浴び、支持率の急落を起こした要因になった。菅長官も発言は「しまった」と思っているに違いない)。
当ブログ執筆者は会社勤めだが、若手のヒラのころは自由にものを言っていたような人も、歳をとって職位が上がるほど(上のほうの人事はさらに上の人間の好き嫌いで決まるので)「ヒラメ」になる上司を数多くみてきた。組織人にとって人事とカネ(給料や交際費など)を握られることは最大の恐怖であり、権力者側からみると、人をひれ伏せさせるための最大の力の源泉であることはいうまでもない。
解説では、憲法15条の「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」という条文からすれば、今の官僚は全体の奉仕者ではなく政権の奉仕者になっていないかと疑問を投げかける。官僚は決まったことには従うにせよ、決まる前の議論では「全体の奉仕者」の観点から異論を唱えることもできるように、内閣人事局の見直しを提案し、一案として人事の決定には党派色の薄い複数の民間人を置くなどを示している。
当ブログ筆者も解説の通りだと思う。国の仕組みは弊害がでてきたら柔軟に変えていくことが大事だ。
(MONDAY解説)「記憶ない」「記録ない」政権に寄り添いすぎ? 官僚はだれの奉仕者なのか 松下秀雄
解説では1990年代までは人事は事実上、各省庁が決め、官僚の力が強すぎたために政治主導の一環として制度改革がなされてきたと説明。朝日新聞も「横暴な官僚」をたたく記事が多かったと牧原出・東京大学教授(行政学・政治学)が文中でコメントしている。しかし、2014年に内閣人事局ができると、私的な会食での発言が政権批判と受け止められた釜山総領事が今年6月に交代させられるなど、政権が人事権をかざして官僚たちに「異を唱えれば、どうなるかわかっているだろうな」という圧力がかかり、「物言えば唇寒しという気分」が漂ってきたという。
異を唱えた前川喜平氏は菅官房長官から「地位に恋々としがみついた」「前川氏から(杉田和博官房副長官に)せめて3月まで次官を続けさせてほしいという話があった」(★前川氏は「事実に反する」と抗議★)と人事をめぐる動きは前川氏への攻撃材料に使われた(もっとも、怪文書に始まり、菅長官のこうした一連の発言は国民の非難を浴び、支持率の急落を起こした要因になった。菅長官も発言は「しまった」と思っているに違いない)。
当ブログ執筆者は会社勤めだが、若手のヒラのころは自由にものを言っていたような人も、歳をとって職位が上がるほど(上のほうの人事はさらに上の人間の好き嫌いで決まるので)「ヒラメ」になる上司を数多くみてきた。組織人にとって人事とカネ(給料や交際費など)を握られることは最大の恐怖であり、権力者側からみると、人をひれ伏せさせるための最大の力の源泉であることはいうまでもない。
解説では、憲法15条の「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」という条文からすれば、今の官僚は全体の奉仕者ではなく政権の奉仕者になっていないかと疑問を投げかける。官僚は決まったことには従うにせよ、決まる前の議論では「全体の奉仕者」の観点から異論を唱えることもできるように、内閣人事局の見直しを提案し、一案として人事の決定には党派色の薄い複数の民間人を置くなどを示している。
当ブログ筆者も解説の通りだと思う。国の仕組みは弊害がでてきたら柔軟に変えていくことが大事だ。