アマラ深界の第2カルパへ行き、
月輪のカギで扉を開けてB3Fまで下りる。
脇に思念体がいるので声を掛けてみると、
そこはぼったくりバーだった。
…ここに緊急避難してくる事はまず無い。
いるだけ無駄だと思うぞ。
目の前の先に見える梯子を下りてB4Fへ。
進んだ先には覗き穴があった。
覗き穴の奥から、不思議な気配を感じる…
隼人は覗いてみた。
舞台の緞帳が上がり、
車椅子の老人と喪服の淑女が現れる。
喪服の淑女
「メノラーは少しずつですが、
順調に集まっているようですね。
…ところで、この地で多くの思念に
出会いませんでしたか?
彼らは現実世界での記憶が
死という純化で生じた者たち。
それゆえに、
アマラの果てに流れ着いても、
まだ現実での出来事を
忘れられずに漂っているのです。
そこには、あなたも知る、
あの氷川という男と…
深い関わりのあった者が多くいたはずです。
彼こそは、
かつての世界を滅びへと導いた一因。
彼が元の世界で起こした行動があって、
あなたは今ここに立っている訳です。
人の身では知り得なかった彼の過去、
東京受胎の裏側にあった出来事を…
ここまで来ていただいたお礼に、
お教えいたしましょう。
ガイア教団本部…
ここより全ての出来事は始まったのです。
あらゆる思想を自らの物とし、
混沌の中に真実を見出そうとする集団。
あの者は、
多くの思想を内包する教団においてすら、
異端児される考えの持ち主でした。
そう…あなたと世界の運命を変えた人物。
彼は…
現実は理想の中には無い、
理想は己の手で作り出さねばならない。
…そう言ってはばかりませんでした。
そして、人の身の則を超え、
世界の創世を目論むに至ったのです。
強き意思は、
運命を引き寄せるということでしょうか…
あの者の目論見は、
現実へと転じることになります。
教団内に眠っていた書物、ミロク経典が
その手によって開かれたのです。
あの者は経典を手にする事で、アマラの
転輪鼓を元の世界に復元させました。
そして、
記されたシンボルの意味を解き明かし、
アマラ宇宙に通じる事で…
彼は東京受胎という審判を…
かつての世界の
滅ぶべき運命を知ったのです。
…その後、公園で起きた事件。
あれこそ、彼が全てを知った上で行った、
受胎後の、創世への準備でした…
そう、彼の手によって呼び出された
悪魔たちの力によって…
血塗られた惨劇が、幕を開けました。
彼は避けられぬ運命である
世界の滅びと再生を、自らの意の下で
動かす決意をしたのでした。
己の思想に反する教団の仲間、
己の行動を止めんとする
メシア教徒の者たち…
彼はその両者ともを、
召喚した悪魔を使い葬り去ったのです。
邪魔者のいなくなった世界で、
彼は受胎を迎えました。
ミロク予言の通り…いえ、
ミロク予言を読み解いた
あの者の思惑通りに、
受胎は起こったのです。
あの者の創世を援護する、
ニヒロ機構という組織もまた…
その時に産まれました。
これが、東京で起こった事です。
あの者の考えていた通り受胎は起こり…
創世が為されんとしています。
しかし、それがこの先どうなるのか…
まだ未来は定まっていません。
繰り返される創世の輪から
解き放たれることもある、と…
私どもは信じて、
あなたを見守っていましょう。」
緞帳が下りていき、奥の扉が開いた。
その先、穴の手前に邪神アラハバキがいる。
悪魔(邪神アラハバキ)
「汝もアレの楽しみにとりつかれたるか。
とぼける必要はない、
アレの事だよ、アレ…
解る、解るぞ!
我も楽しくて何度も往復しておる。
同好の士である汝に、
アレをより楽しむための知恵をやろう。
ムラサキに光るマッカは、
連続で取ると大儲け出来るのだ。
ハハハ、色々と殴って試してみるがよい。
ちなみに我は、大金持ちだ!」
…そんな器用にいかないってば。
これで稼げる人って素直に凄いと思う。
穴に飛び込み、障害物を避ける事に集中。
それが精一杯だよ。
アマラ深界第3カルパに到着した。
メノラーが無いのでこれより先には行けない。
とりあえず台座のところに近付いてみると、
王国のメノラーの炎が、激しく揺れ始めた…
とてつもなく恐ろしい悪魔の気配がする…
白の騎士
「…よく来たな。
その身を悪魔に変えし者よ。
オマエがこの地に来た事で、
運命の歯車は回り始めた…」
赤の騎士
「輪廻とは、巡り繰り返す事よのぅ。
されど我ら、その宿命を越えんとし、
堕ちた天使に導かれておる。
おまえとて、それは同じであろう?」
黒の騎士
「…メノラー奪還に遣わされた魔人よ。
汝の求めしものは、
我ら四騎士が手の内にある。
我らに勝てば、汝の手に納まろう。」
青白い騎士
「…魔人よ。
幾つかの死を乗り越え、
ここまで来た男、隼人(人修羅)よ。
オマエか…我らか…
このメノラーを賭した魔人らの戦いに、
勝ち残る事があの御方の望みに沿う道だ。
そしてその望み叶いし時…
あの御方は最終決戦に赴く
決意をなさるだろう。
オマエに覚悟はあるか、
我ら魔人と戦い続ける意思が?
戦い続ければ、その身も心も
人ならざるモノになるとしても…」
隼人
「覚悟はある。」
ここまで来たら、こう答えねば
話が進むまい。
青白い騎士
「良かろう。
それでこそあの御方が見込んだ魔人よ。
…では、
この先のオマエの働きを見せて貰おう。
我ら四騎士、混沌の地ボルテクスにて
汝の到来を待たん。」
四騎士はいなくなった…
しっかりとボイス入りだった。
まずまず格好良かったと思う。
赤の騎士は、堕ちた天使に導かれたと言ってた。
という事は、メノラーは奪われたのではなく、
与えられたのだと容易に想像がつく。
あとは青白い騎士の語っていた、
人ならざるモノになるという事…おそらく、
車椅子の老人と喪服の淑女の真の目的がそれだ。
魔人となった隼人を、
魔人と戦わせる事で成長させ、
アマラ深界の最奥部まで歩ませ、
新たな魔人を誕生させるという流れ。
誕生したら最終決戦に挑む…簡単に言えば、
新たな戦力が欲しいといったところだろう。
(魔人たちが全員協力してくれるなら、
それだけで十分に思えるのは私だけ…?)
口ぶりからして、四騎士はあの御方の意向を
知った上で協力しているようだが、
他の魔人たちもそうなんだろうか?
少なくともマタドールは違うな。
自分こそが!って感じだったし。
だいそうじょうも違うか。
新たな魔人誕生を阻止する感じだったし。
ヘルズエンジェルは…分からない。
単に戦いを楽しんでるだけだった気がする…
さて、目の前を確認すると台座は3つ。
四騎士のうち三騎士を倒せという事だろう。
では早速戻るとする。
まずはアサクサ。
白の騎士、魔人ホワイトライダーを倒す。