美佐江に結婚願望はある
30歳を過ぎる前に結婚したい
美佐江の両親は焦っていた
『うちの娘は家の跡継ぎ、このまま結婚相手が見つからなかったら』
『こうなったら最後の手段を使うか・・・』
一人娘の美佐江は器量も頭も良くない
とりわけ親の目から見ても人並みとは言えない容姿
父親は小さな建築会社を経営していた
時代は建築ブーム
バブル絶頂期
娘が結婚しないと会社を継ぐ者が居ない
建設関係で働く独身の男に振れ回った
"娘と結婚してくれたら、新築の家付き車付き肩書き専務のち社長"
それでも娘の結婚候補者は見つからない
建築ラッシュ突入
大工職人が不足する程に忙しい
小さな建築会社が急成長
有限会社から株式に
従業員3人から10人に増えた
『お父さん、このままだと美佐江は30過ぎてしまうわ』
『婿探しには金を掛けるしかないか・・・。』
美佐江の見合い回数は30回を超えた
見合い写真だけで断る者も居る
それ程に器量が悪い娘
男性と縁がない娘
母親は、そこそこ美人だし父親も若い頃はモテた方だ
そんな両親の間に、男がすれ違う度に "ブス" と呟かれる娘
器量が悪いだけではない
一人娘ゆえ、好き放題にさせ過ぎたか?超が付く我侭娘
会社の手伝いなどする筈も無く掃除・洗濯・炊事などした事がない
一日中、食っちゃ寝てゴロゴロ
そのせいで体型も目を覆う程に巨体である
『美佐江、あんたこのままだと一生結婚出来ないわよ』
『誰が、こんなにブスに産んだのさ』
それを言われると何も言えなくなる両親
『どうせ痩せたって顔がブスだもの、一生結婚なんか出来ないもん』
『けどテレビでは痩せたら綺麗になる人が居るじゃない』
『痩せたら綺麗になる人をテレビに出してるからでしょ』
『美佐江だって痩せたら綺麗になるかもしれないわよ』
『この顔が?』
美佐江は自分の器量の悪さに結婚を諦めかけてた
母親は、まさか自分の娘に整形手術しろなどと言えない
お前はブスだから整形して結婚相手を見つけろと言ってるようなもの
娘婿を探す為に父親は取引会社の社長に条件を出してみた
娘の結婚相手には300万の支度金を出します
1人娘だが、娘が望めば・・娘が好きになる相手ならば嫁に出す
普通に嫁にだすならば結納を貰い結婚費用の足しにするとか?
嫁入り道具の購入などに当てるのだが
『どうだろう、家付き、車付き!!娘に内緒で300万の支度金を出す』
『そんなに焦らなくても、そのうち良縁がありますよ』
『お願いです、事情があって借金がある人なら全額私が支払います』
『そんなに・・・分かりました、私の知り合いで生活に困ってる男が居る』
取引先の社長が紹介する男
『ただし、娘さんが泣くような事があっても知りませんよ』
『人並みに1度は結婚式を挙げてやりたいんです』
『離婚・・・覚悟の結婚ですか』
『・・・・・・・・・・そうです』
ギャンブルで借金まみれ
だが仕事は真面目だと言う
男の写真を出してきた
なかなかの美男子だ
美佐江と会うだけでも会ってくれるだろうか?
これ程の美男子なら、彼女の1人や2人は居るかもしれない
『仕事が真面目ならば是非に紹介して下さい』
半ば諦め半分、ヤケクソ半分の父親
写真を自宅に持って帰り、美佐江の顔の前に出し
『美佐江、この男はどうだ?』
写真を見た美佐江の目が輝いた
『パパ、からかってるの?こんなカッコイイ人が私と会ってくれるはずないし』
『いやいや、美佐江の写真を見せたら是非に会いたいって言ってたよ』
『いつ?いつ会ってくれるの?』
『なるべく早く美佐江に会ってみたいって言ってたなぁ~』
父親の苦しい嘘
しかし美佐江は本気モード突入
写真の男は美佐江にとって夢の中の理想の男性だったからだ
いや理想を超えてるイケメンだ
これは実話です
(ノ⌒∇)ノ*:・'゜☆。.:* 続く :・'゜★゜'・:*:.。.:*:・'゜:*♪