思いがけない

　こんな時期に、本当に雪が降るとは。
　うっかり砂糖の袋を落としたみたいに、たくさんの雪が舞いました。
　10代の頃にも、不意の大雪に見舞われたことがあります。
　1人でフェリー乗っていたら、季節外れの大雪。
　接岸できず、洋上で一晩過ごしました。
　そこへ父から電話が入りました。
　まだ携帯もない時代、放送で呼び出しを受け、どうやって船に電話をかけられるのだろうと思いながら、受話器をとりました。
　「大丈夫か？」
　うん。
　たったそれだけのこと。
　後日、友人にこのことを話すと「あのお父さんが」と驚かれました。
　何十年も前のことなのに、いまだに友人に会うと、この話をされます。

いちばんいい道を選ぶ

　濃厚接触とは、人と一緒にいる時間と距離によるのですが、どうしても直接触れているようなイメージがついてきます。
　感染者が出た場合、その人の行動を調べ、濃厚接触者を探すのでしょうが、ある日突然、自分が濃厚接触者のリストに入ってしまうことがあるかもしれません。
　誰ともハグなんかしていないのに。
　中華料理店で食事したでしょ？
　一人でした。
　でも一応検査しますね。しばらく外出は控えてください。
　自覚症状ないし、大丈夫だよ、きっと。
　残念ながら陽性でした。ずっと家にいましたか？
　いいえ、ちょっとラーメン食べて映画見て、バーで2、3杯。
　これでは困ります。

桜の時間は流れている

　家から外を眺めると、公園の桜が満開。
　この時期、朝早くから花見の人たちが集まってくるのですが、外出自粛要請が出ているので人通りは少ない。
　駐車場も空いています。
　公園まで歩いてみます。
　レストハウスは休業しているのですが、その前のベンチに人だかり。
　大きな声で話しているのが聞こえてきます。
　芝生の山を越えて、桜を見に行きます。
　家族連れがいます。
　なるべく近づかないようにします。
　桜の周囲は低い柵があるのですが、枝を柵の外にまで伸ばし、顔の前まで寄ってきています。
　ここの桜はまだ半分くらい蕾です。
　例年、この桜の下にはシートを広げた人たちが集い、桜を間近で見ることができません。
　人が少ない方がいいこともあります。

ニュースで見た光景

　焼きそばを作りたい。
　キャベツを買いに行きました。
　新鮮野菜を売っているコンビニは売り切れ。
　スーパーに行きました。
　半分にカットされたものしかありません。
　ふわふわの春キャベツです。
　レジに行くと、なんだ、この列は。
　4つしかないレジは、どこも10人くらいが並んでいます。
　平日の昼に、こんなに並んでいるのは見たことがありません。
　ちょっと時間をおこう。
　スナック菓子とか、ヨーグルトドリンクとか、カゴに入れてしばらく時間を潰します。
　再びレジに行くと、なんだ、変わらない。
　買い置きですか？

世代交代の波

　暖かくなってきて、そろそろ冬物のセーターを仕舞う時期です。
　部屋で着ているセーターは、買った当初は外着でした。
　大事な場面で着る、お気に入り。
　年を経るごとに、それが近所限定になり、室内限定と格下げされていきました。
　最初は手洗いだったのに、今では洗濯機で乱暴に扱われます。
　そのため、縮みました。
　穴が開きました。
　これはもう、さよならだね。
　来年は、近所限定セーターが、室内限定の仲間入りをします。