どこでも凶器

　あっ。
　本の紙で指を切りました。
　書店で手に取ろうとした本の帯。
　思わず切れた薬指を、反対の手で押さえました。
　押さえた手に血がつきました。
　鞄からティッシュを取り出し、切れた箇所を押さえます。
　両手に血がついてしまっては戦線離脱。
　これ以上本に触るわけにはいきません。
　指を押さえたまま店内を見て回りました。
　しばらくして切れた指を確認すると血は止まっています。
　トレイに行って手を洗いました。
　再び書店へ入ります。
　まずはアルコールで手を消毒して。
　うっ。
　アルコールが傷口にしみました。

魔の行列

　食料品売り場の一番目立つ場所に、特設コーナーができていました。
　銀座の高級食パン屋さんが出店しています。
　この名前、なんとなく覚えています。
　自分では買っていないけれど、たぶんもらって食べたことがあります。
　味の記憶が曖昧です。
　甘かった？　それともあっさりしていた？
　で、美味しかったのか？
　「我儘な食パン」とか「俺の食パン」とか「かわかみ」だか「志るこ」だか、なんだかそんな名前の店がたくさん出てきて、覚えきれません。
　味の違いはよくわからないけれど、行列があると、ちょっと興味を引かれます。

日々闘い

　怪しげなメールは日々届きます。
　誰かがぼくのアカウントを使ったようなので確認してください、というような。
　そのメールにあるリンク先でIDやパスワードを入れたりしたら盗まれます。
　たぶん偽物だろうと思ったら、一度ニセのIDとパスワードを入れてみます。
　それでもカード情報入力画面に移るようなら、やはり詐欺。
　でももしかしたらID「犬のお巡りさん」、パスワード「ワンワン」という人がいるのかもしれません。

視覚情報を得る

　帰宅すると、宅配便の不在票が玄関に落ちていました。
　再配達の依頼をします。
　しばらくして、宅配便の送り主から電話がかかってきました。
　進行中の仕事の件です。
　「書類届きました？」　
　出かけていてまだ受け取っていないです。
　「見てもらうとわかりますが」と言って、その人は説明を始めました。
　手元に書類がないので、半分くらいは何のことだかわかりません。
　メモを取ります。
　宅配便を受け取って確認してわからないことがあったら連絡しますと電話を切りました。
　夕方、再配達をしてもらった書類を見ました。
　ああ、そういうこと。
　さっきの話が鮮明になりました。
　百聞は一見にしかず。

謝礼付きでお願い

　使用しているアプリについてアンケートの依頼がきました。
　メールには、所要時間15分程度とあります。
　仕事の合間に答えるには長い時間です。
　あとでやろう。
　そのまま忘れてしまいます。
　この手のアンケートでは、10分くらい回答をして、最後に「ご意見がありましたらご記入ください」とあるところを空白にして送信を押すと、「未記入」となって送れないものがあります。
　仕方がないので「このアンケートが煩わしい」と打ってしまいたくなりますが、気弱なのでできません。