つれづれまりん

いたずら白猫マリンの気ままな日常 を経て、
超いたずら 甘えん坊 ほぼ白猫 ハンニャの気ままな日常 へ

向精神薬 2

2018年07月14日 | 学習ノート2
2 薬理学的作用 

・個人に対する薬剤の臨床効果は、主として、
 薬物動態学的特性と、薬力学的特性により決定される。


〇薬物動態学

・身体が薬剤に及ぼす影響を明らかにするもの。
・体内に摂取された薬剤のたどる段階
  吸収 → 分布 → 代謝 → 排泄

①吸収
 ・経口投与された薬剤は、脂溶性、胃腸管内の局所㏗、運動性、表面積に応じて、
  胃腸液の中で溶解したのち、血液中に吸収される。
 ・筋肉注射などの非経口投与は、経口投与よりも、至適治療血中濃度に達する。
 ・デポ剤・・非水溶性の媒体に乳化させて注射するもの。
       数週間にわたり徐々に薬剤を放出する。

②分布
 ・薬剤の脳への分布は、
  脳の局所血流量、血液脳関門、脳内受容体と薬剤との親和性に
  左右される。

③代謝
 ・薬剤の主要な代謝経路・・ 酸化、還元、加水分解、抱合
 ・主に肝臓で代謝され、不活性化される。
  一部の向精神薬は、代謝により治療効果を有する活性代謝産物にも変換される。
  ほとんどの向精神薬は、肝臓において、肝チトクロムP450(CYP)酵素により代謝される。

④排泄
・薬剤の代謝産物は、胆汁、排便、尿中へ排泄される。
・向精神薬は、汗、唾液、母乳中にも排泄される。



〇薬力学

・薬剤が身体に及ぼす影響に関するもの。
・薬剤が脳内のどのような蛋白分子(受容体)に作用して
 薬理学的効果を発現するのかという作用機序を明らかにする。

・向精神薬には、
 特異的な神経伝達物質の受容体を活性化する作動薬、
 不活性化する拮抗薬、
 シナプス間隙に放出された神経伝達物質を神経終末に再び取り込む
 蛋白分子(トランスポーター)を阻害する薬剤(再取り込み阻害薬)、
 神経伝達物質を不活性化する分解酵素の活性を阻害する薬剤
 (ex.モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬)
 など、様々な分子レベルの作用機序を有する薬剤がある。

・一部の向精神薬は、
 長期に投与を続けると臨床効果が低下することがある。(耐性の形成)
・耐性の形成は、薬剤に対する身体依存と関連し、
 投与を急に中止すると離脱症状(中止後症候群)が出現する。





3 薬剤の選択

・向精神薬による治療は、精神疾患の原因を治すものではなく、
 その症状を軽減する対症療法である。
・薬物の種類の選択は、精神疾患の診断よりも、
 治療の標的となる症状や状態像にもとづいて行われることが多い。
・用量の増減によっても、適応となる症状や状態像が異なることがある。

・ただし、表面的な状態像の把握のみでは、病態を悪化させることがある。
 (ex.双極うつ病患者に抗うつ薬のみを投与すると躁病を誘発しやすい)
・鑑別診断を念頭に置きながら標的症状に合わせた薬剤を選択する。

・向精神薬の治療反応性は、個人差が非常に大きいため、
 その効果を正確に予測することが困難。
 同じ個人でも、生理的心理的状態による差も大きい。
・プラセボ(偽薬)効果も大きく、治療関係を反映する。
 
・現在までのところ、個人の治療反応性を予想する生物学的指標がないため、
 薬剤の種類の選択と使用方法は、個々の医師の経験と判断にもとづいて、
 ケースバイケースに行われる。
※近年は、エビデンスに基づく薬物治療のガイドラインが普及しつつある。
 ガイドラインも、複数の選択肢を挙げていることが多い。


・処方は、単剤処方が原則。
 治療抵抗性症例に対する増強療法として、2種類の薬剤を併用する場合以外、
 多剤併用療法の有効性は証明されていない。
・治療開始時に、必要最小限の用量から開始し、
 臨床効果の発現まで徐々に増量する。


・服薬後15~30分で効果が表れる即効性のあるもの
 (ex.ベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬)と、
 10~14日間投与しないと効果の発現が明らかでない遅効性のもの
 (ex.抗精神病薬や抗うつ薬)がある。
 病態の進行を予測しながら処方の検討がなされる。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『薬って、すごいんだね』
 
すごいんだね・・ 


(2016年9月下旬 夕方 撮影)








最新の画像もっと見る

コメントを投稿