アルケミストという本の中に
スプーンの油に関するエピソードがある。
好きなので紹介します。
ある日、少年は父親から
「幸福の秘密」を学んでくるように言われる。
少年は旅の末ついに
「幸福の秘密」を知る賢者が住む宮殿にたどり着き、賢者に「幸福の秘密を教えて欲しい」と尋ねる。
しかし、賢者は忙しいため
少年にスプーンを渡し、そこに2滴の油を垂らした。
「私は用事があるので、このスプーンの油をこぼさぬよう、宮殿を回ってきなさい」
少年は言われた通り宮殿を回って、再び賢者のところへ戻ってきた。
すると賢者から
「この宮殿にあったものを見たかね?どれも素晴らしい宝物なんだよ」
少年は、スプーンの油をこぼさないように歩くので精一杯だったので、周りは全く見ていなかった。
「見ていないのなら、もう一度、ゆっくり宮殿を回ってきなさい」
そう言われて少年は、今度は宮殿の中のものを見て回った。
するとどうだろう。
美しい絵や陶器をはじめとした美術品
素晴らしい庭園など、一級品のものばかり。
「どうだったかね?」
再び賢者のところへ戻った時には
少年は感動に目を輝かせ、自分が見たものの素晴らしさについて、賢者に語った。
「喜んでもらったようで良かった。
ところで、、
スプーンの油はどうしたかね?」
少年が持っていたスプーンを見ると、油は無かった。
どこかにこぼしてしまったらしい。
そして、賢者は言った。
「幸福の秘密を教えよう。幸福の秘密とは、この世界の全ての素晴らしさを味わいながら、スプーンの油のことを忘れないことだよ。」