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And This Is Not Elf Land

SWEENEY TODD

映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

面白い!音楽が素晴らしすぎる~

この映画、わたくし「まさかのリピート宣言」をいたしますよ。今夜のレイトショーにも乱入しようかなどど考えているくらいです。

ホントに恥を忍んで申し上げますが…今さらですが、スティーブン・ソンドハイムの偉大さを思い知りました。

以下、ネタばれはしておりません(…のつもり)

オープニングは19世紀初頭のロンドンの上空が映し出され、天窓から何とも言えない不気味さが漂う部屋へ、やがて下水道へとカメラが移ります。天上から地上、そして地下へと…やがて、過去の不幸な体験から復讐の鬼となった男が現れますが、小さな人間のあがきなど何にもならないことが既に予感されます。内在する意思によってすべてが定められているという…

ロンドンの薄暗く汚れた街の風景、ゴキブリや下水道の汚水、人が集まる市場は見世物に象徴されるような虚飾の世界、どれも人間の内にある絶望と闇の象徴のようで全てが退廃的。どんどん引き込まれていきます。ちょっと度の過ぎた感じも、この時代のイギリスらしくていいんじゃないでしょうか。そんな中で、船乗りの青年の愛と勇気、そしてトビー少年の澄んだ眼が一服の清涼剤のようになって話が進みますが・・・。

とにかく、ソンドハイムの音楽がいいんですよ~
とは言っても、使われている音楽は半音階や転調が多くて、♭調のメロディーが主となっているようで(スコアも見ないで言ってます)どちらかといえば私には苦手とするテイストのはずなんですが、時間が経つのも忘れて引き込まれてしまうって言うのは…どのような「マジック」が使われているんでしょうか。

あのミセス・ラベットとの二重唱なんて鳥肌が立ちました。とにかく、映画版ではないサントラを(笑)入手して、音楽を味わってみたいと思います。

それで、ジョニー・デップの歌ですけどね~実際、映画館には彼目当てのお客さんがたくさん来ていたようですが、残虐シーンよりも歌の多さに退屈してしまった人もいたみたいでした。とにかく、歌と台詞の割合は『オペラ座の怪人』と変わりませんから。

で、デップの歌ね…端的に言うとですね、彼はジェラルド・バトラー君に感謝すべきですな(?)いや、バトラー君のお陰でですね、圧倒的な歌唱で聴かせる「はず」の役も「ま、映画なんだからこれもアリなんだよ」と世界が納得してしまうようになったというか、そんなのに「慣れて」しまったというか~私もあんまり違和感ありませんでしたね。でも「あーー、そこってホントは聴かせどころでしょうが」と突っ込みを入れたくなるのは何箇所か。ファンの人は絶賛されるでしょうが…ま、日本のアイドル歌手よりは少しましな程度ですよ。

トビー少年のパートも、子どものパートなのに、メロディーの難解さは容赦がない感じでしたが、何とかがんばっていましたね。サシャ・バロン・コーエンは上手かったですね。でもまぁ、あの役自体が「色もの」な感じですし、主役級のパートとは単純には比較できないでしょうが。

でもね、トータルとしてとっても楽しめたのは、やはり私がミュージカル好きだからなのかな?昨年の今頃の『ドリー○ガール○』は×でしたが…いや、あれは私に言わせると、ミュージカル映画としての情緒なんてものが全くないんです…その点、この『スウィーニー・トッド』は、題材はちょっと変わってはいるけれど、魅力的ですね。酔いしれることができますよ。

苦手な残虐シーンも…確かに眼を開けていられないシーンがいくつかありましたが、それでも映画を観た後は、いつものチャイニーズ・レストランでチャーシューとか食べましたが…ただ、いつもよりスープを残してしまいましたけど(?)

普通にオペラやミュージカルの好きな人にはお勧めです。素晴らしい音楽と、ジョニー・デップの大げさな芝居と様式美を堪能してください。トーマス・ハーディなどの「暗い系」イギリス文学がお好きな人にもお勧めです。
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