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収録曲
1.UP TO YOU
2.1ダースの言い訳
3.A Glass Of The Sorrow
4.April
5.ビコーズ・オブ・ユー
6.愛のスーパー・マジック
7.彷徨える街
8.バチェラー・ガール
9.風になりたい夜
いきなりアップビートのイントロで始まります。稲垣潤一の最高の時代を代表するもの。
「勢いのあるアーティストは、これくらいのアルバムを余裕で作るんだよ。文句ある?」と言っているようなアルバムですね。文句ありません!!
60年代‐70年代、ラジオから聴こえてくる明るく洗練されたメロディーの洋楽は魅力的でした。日本の音楽は、歌謡曲系はメロディーやリズムが単調で魅力を感じなかったし、アンチ歌謡曲の立場を取っていた、いわゆるフォーク系は、私にとっては「歌謡曲より悪い」ものでした。メッセージではあってもミュージックではない。少ないコードの単調なメロディー、呟くような声、メロディーに乗ってない歌詞(いわゆる字余り)。それでも「彼らから何かを感じ取らなければならない」というプレッシャーで一杯の時代の雰囲気もイヤだった。(スイマセン。このくらいにします)
70年代後半になると、サーカスの「アメリカン・フィーリング」、庄野真代の「飛んでイスタンブール」、大橋順子の「ビューティフル・ミー」など、「私好みの気になる曲」もいくつか出てきたけれど、それは「気になる」というレベルの関心で終わってました。私にとっては、まだ「ベスト・バランス」ではなかった…
実は、このREALISTICはリアル・タイムでは聴いていないのです。稲垣さんの音楽の中に、自分の「ベスト・バランス」を見出して、本格的なファンになったのは、まだ少し後になります。
稲垣さんはシンガー・ソング・ライターではないので、歌の世界と歌っている本人の間に一定の距離が存在していて、バブル時代をそのまんま反映したような、やや軽めの歌の世界も、余分なものが濾過されて、別世界の切ない物語のように聴こえる。曲もアレンジも、これまでの日本の音楽になかったほど洗練されている。
かれの音楽の大きな魅力のひとつである、こういう「棲み分け」については、他のアルバムでも語れると思うので、また後ほど…。
この頃の稲垣さんには「都会」「ロマンティックな男女の世界」「リッチなリゾート」というイメージがつきまとっていて、ライブ・コンサートは最高のデート・コースになっていた。もちろん、それが戦略だったんだろうが。
でも、古きよき時代の音楽が大好きなリスナーにアピールするような仕掛けがあってもいいのではないかと常に感じていた。かれの音楽にはそういう魅力は十分にあったから。次第にファン層は変化していったが、これまでにないタイプのヴォーカリストとして成功した稲垣さんも、次の段階のバランスに迷うことになったような気がする。
収録曲で好きなのは「ビコーズ・オブ・ユー」です。当時カップルだった安井かずみさんの詞に加藤和彦さんの曲。曲と詞に不思議な統合感があって、「言葉のリズム」がとてもいい。最初の部分に「ん」の音が連続的に出てくる。稲垣さんのN音は完全な鼻音になっていなくて、空気が4割ぐらい口から抜けてる感じ。その「垢抜けなさ」(人によっては「訛り」と言う…?)がいいんだよね。
最近、再リリースされたのには、最後に「ロング・バージョン」が入っているのですね…知らなかった…
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