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And This Is Not Elf Land

SWEENEY TODD その②

映画『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』

はい、私は「予告通り」昨夜のレイトにも行ってきました。シネコンまで車で5分の所に住んでいるっていいもんですね~。「お風呂上り」に、ジャージの上下にロングコートをはおったまま、2度目を見てまいりました♪

映画館が「入れ替え制」が当たり前になってから初めてですね、「一日に同じ映画を2回」

これ、癖になりそうですわ(笑)毎日でも観に行きそうな勢いですよ…

それで、1度目は残酷シーンが来るか、来るか…と気が気じゃなくて集中できなかった部分も、もう流れは分かったので冷静に細部まで見ることができました。

少しネタばれしてます

「かつて愚かな理髪師がいた」なんて歌で始まるけれど…どこが「愚か(foolish)」なの?何も悪いことしてないのに…美しい妻を見せびらかしたから?「ルーシーはもっと賢く(shrewd)立ちまわれたのに」なんてラベットは歌うけど…実際、どうすることもできなかったんじゃないでしょうか。

明らかにピレリに虐待されていた孤児のトビー。でも、ピレリが行方不明になってしまった後でもその身を案じ続けるのは何故?あれだけ店が繁盛してるのに、なんでいつまでも盗品の財布を使っているわけ?

それよりも、あれほど愛し合った夫婦なら、歳月がたって見た目が変わっていても、例えば声とか醸し出す雰囲気で察知できると思うんだけど…

ストリー全体を覆っている、そんな「不条理」が何とも言えないです。いいわ、いいわ~だって…ちっぽけな人間の現実の人生なんてそんなもんでしょ(なんて、すべてを悟ったようなことを言ってみる)

あと、印象的だったのは、トッドとタービン判事というのは明らかにミラー・イメージとして描かれている点でした。例えば、タービン判事を取り逃がしたときのトッドの絶望のシーンは、囲っていた娘に逃げられて絶望するタービン判事が描かれるシーンと重なりますし、観る側に「さっき、どこかで見たシーンだ」と思わせるんですよね。そして、お互いに欲するものを手に入れんとするときにタービン判事が言う「私たち二人はとてもよく似ている」は暗示的。この二人は運命を分かち合っている者同士であり、トッドの悲劇的な末路を予感させます。

モノトーンの画面の「血」は人間の情念の象徴かな。


あと、ジョニー・デップの歌は、最初に聞いた時よりも更に「…」でした(すいません)前述のジェラルド・バトラーだったら、何度も聞いているうちに「これはこれで味がある」と思えたんですけれど、今回はちょっと無理っぽい(笑)

でも、判事との二重唱などは、かえって素人っぽい歌の二人だからこそ、ポップオペラのようなジャンルを超越した音楽としての面白さを感じるのも事実。これはひとえにソンドハイム氏の超絶スコアがあってのことですが。

また、繁盛しているミートパイ屋でのラベットとトビーの「ビールを出して」「はーい」(だったかな?)の、あの譜面を読み違えたんじゃないかと思えるような突拍子もない旋律は何なんでしょう!?
やけに気になって仕方がありませんよ。

「ビールでも消せないパイの味」

あと、サントラ盤が届いてなくて曲名がわからないのですが、トッドがストリートで剃刀を振り回してうたう歌(妄想)トレーラーにもありますが、あの"I will have vengeance. I will have salvation"とか歌う箇所がニーノ・ロータの「ロミオとジュリエット」のテーマ曲に似ていると思いませんか(笑)


この映画、好き嫌いが分かれているようですが(っていうか…これ、アメリカでも拡大公開じゃなかったのに、日本ではバートン&デップというだけで客が呼べると踏んだ配給会社が節操のない宣伝をやってるからですよ!)19世紀のロンドンの耽美で頽廃的な「都市伝説」のようで…(これ、私のツボですよ。私も外階段のある家に住みた~い!とか…笑)

世界に先駆けて「下水道」が完備したヨーロッパの都市ですが、それによって、これまでは想像の中でしか存在しなかった「地下世界(地獄)」というものが、「下水道」という一つの形を取って人々の前に現れたのですよね。そしてそれが「地下世界」のイメージを広げていくきっかけになったのだろうと思います。(そう言えば、有名な「下水道のワニ」とか、都市伝説には下水道に絡んだものが多いですよね)

ラベットの妄想シーンでは「日のあたる場所」「幸福感にあふれている場所」が似合わない二人が滑稽だった。(実は私もそうだ{!?})薄汚れた「穴」のような世界から抜け出せない人たちがいた一方で、この時代、海では無敵だったイギリスを象徴するような若くて美しい船乗りの青年に、全ての夢をつなげるような終わり方もいいですね。

あと数回行きそうです。
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