雲仙温泉の「雲仙地獄」、源泉がすぐ近くにある。
母はパチンコ依存症である。80歳になるが、パチンコがすべてで、あとは何も目に入らない。45歳の時に再婚したが、パチンコで相手の財産を食いつぶし、再婚相手が亡くなってからは、遺族年金暮らし。その年金の半分以上はパチンコ資金に消えている。そして足らない分は、こちらに催促が来る。
最盛期?のパチンコ資金は月50万円はくだらなかった。そのころはこちらも人生で一番年収があったころなので、月の小遣いとして5万円渡していた。でも、まさか、パチンコ資金にされているとは思わなかった。「うまいもん食って、健康に気を付けてや」という息子の、素直な気持ちだった。ところが、開店から閉店まで、一日中パチンコ店に入り浸って、ろくに家事もしなかったという。でも再婚相手(義父)は、本当に優しい方で、文句の一つも言わなかったらしい。「俺は喫茶店のモーニングが食べられればそれでいい」と…。
今、母親は1DKのマンション(自己資産)で一人暮らしである。80歳でもパチンコ依存症のおかげで?ボケてはいない。しかし、パチンコに対する情熱は増すばかりで、その世界は危険に満ちている。
年金は2種類あるらしく、月々十数万円を手にするという。家賃は必要ないので、生活に困ることはないのだが、エンゲル係数(パチンコ係数)が高く、ろくに食事もしていないと聞いた。さすがにこれではいかんと思ったのか、栄養管理している弁当屋を利用してその辺を補っていたらしいが、その払いも滞り、契約を打ち切られたという。
この前、長崎旅行のときに携帯に電話が掛かってきた。「あんた、元気?」、「えっ?元気やけど」、この時嫌な予感がしたが、年金支給日の2日後だったので、さすがにお金の無心はないと思った。「今どこ?」、「いや、実は一人旅で長崎に来てるんやけど」、「長崎?ええところに行ってるやん。ああ、ちょうどええわ。長崎言うたらカステラやろ。私がお世話になっている人が大のカステラ好きやから、お土産買ってきてや」、「……」、「こんな私にいつも親身になって、いろいろ世話を焼いてくれてる人がいるんよ」、「ああ、そう、それなら買っていくわ」
その3日後、カステラを渡すために最寄りの駅に行った。「ほら、お土産」、「えっ、お土産?何、それ」、「あんたが世話になっているというから、奮発して高級なやつを買ってきたんや」、「?」…。
「それより、ちょっとお金貸して。次の年金が入ったら返すから」、「金?この前支給されたばかりと違うんか!」、「ちょっと使いすぎたんや。絶対返すから、ちょっと1万円、頼むわ」、「するとあれか、ここに呼び出すためにお土産の話をしたんか」、「ちゃんとお土産は渡すから、な、ええやろ。そんな怒らんでもええやんか」
今まで、風邪を引いて寝たきり、足をくじいてずっと家にいる、私には理解できない書類が役所から来ているなど、いろいろ嘘の口実を言われ、その度にお金をせびられ、渡していたが、今回は親子とは思えない「悪意」を感じた。
「俺の、俺の良心は、俺の良心は、どうするんや!」と、思わず声を荒らげた。しかし、母親は、「良心?なに、それ?」と、不思議そうに俺を見た。1万円俺から取るために、4千円ものお土産を買ったことなど意に介していない。
「お前はそれでも親か!」
俺は一万円札を投げ、向きを変えて速足でその場を去った。「もう、電話するな!お前の電話は着信拒否にする!」、それを聞きながら、母親は一万円を拾い、何も言わず駅から去っていった。
母はパチンコ依存症である。80歳になるが、パチンコがすべてで、あとは何も目に入らない。45歳の時に再婚したが、パチンコで相手の財産を食いつぶし、再婚相手が亡くなってからは、遺族年金暮らし。その年金の半分以上はパチンコ資金に消えている。そして足らない分は、こちらに催促が来る。
最盛期?のパチンコ資金は月50万円はくだらなかった。そのころはこちらも人生で一番年収があったころなので、月の小遣いとして5万円渡していた。でも、まさか、パチンコ資金にされているとは思わなかった。「うまいもん食って、健康に気を付けてや」という息子の、素直な気持ちだった。ところが、開店から閉店まで、一日中パチンコ店に入り浸って、ろくに家事もしなかったという。でも再婚相手(義父)は、本当に優しい方で、文句の一つも言わなかったらしい。「俺は喫茶店のモーニングが食べられればそれでいい」と…。
今、母親は1DKのマンション(自己資産)で一人暮らしである。80歳でもパチンコ依存症のおかげで?ボケてはいない。しかし、パチンコに対する情熱は増すばかりで、その世界は危険に満ちている。
年金は2種類あるらしく、月々十数万円を手にするという。家賃は必要ないので、生活に困ることはないのだが、エンゲル係数(パチンコ係数)が高く、ろくに食事もしていないと聞いた。さすがにこれではいかんと思ったのか、栄養管理している弁当屋を利用してその辺を補っていたらしいが、その払いも滞り、契約を打ち切られたという。
この前、長崎旅行のときに携帯に電話が掛かってきた。「あんた、元気?」、「えっ?元気やけど」、この時嫌な予感がしたが、年金支給日の2日後だったので、さすがにお金の無心はないと思った。「今どこ?」、「いや、実は一人旅で長崎に来てるんやけど」、「長崎?ええところに行ってるやん。ああ、ちょうどええわ。長崎言うたらカステラやろ。私がお世話になっている人が大のカステラ好きやから、お土産買ってきてや」、「……」、「こんな私にいつも親身になって、いろいろ世話を焼いてくれてる人がいるんよ」、「ああ、そう、それなら買っていくわ」
その3日後、カステラを渡すために最寄りの駅に行った。「ほら、お土産」、「えっ、お土産?何、それ」、「あんたが世話になっているというから、奮発して高級なやつを買ってきたんや」、「?」…。
「それより、ちょっとお金貸して。次の年金が入ったら返すから」、「金?この前支給されたばかりと違うんか!」、「ちょっと使いすぎたんや。絶対返すから、ちょっと1万円、頼むわ」、「するとあれか、ここに呼び出すためにお土産の話をしたんか」、「ちゃんとお土産は渡すから、な、ええやろ。そんな怒らんでもええやんか」
今まで、風邪を引いて寝たきり、足をくじいてずっと家にいる、私には理解できない書類が役所から来ているなど、いろいろ嘘の口実を言われ、その度にお金をせびられ、渡していたが、今回は親子とは思えない「悪意」を感じた。
「俺の、俺の良心は、俺の良心は、どうするんや!」と、思わず声を荒らげた。しかし、母親は、「良心?なに、それ?」と、不思議そうに俺を見た。1万円俺から取るために、4千円ものお土産を買ったことなど意に介していない。
「お前はそれでも親か!」
俺は一万円札を投げ、向きを変えて速足でその場を去った。「もう、電話するな!お前の電話は着信拒否にする!」、それを聞きながら、母親は一万円を拾い、何も言わず駅から去っていった。