このブログは、「満天の星が見たい」である。それなら…と薦められたのが、長野県の昼神温泉の「日本一の星空ナイトツアー」だ。この温泉がある長野県阿智村は、全国で一番星が輝いて見える場所らしい。
昼神温泉の歴史は浅い。トンネル工事をしている時に温泉が湧出し、それからすぐに温泉街が形成されたという。思えば、新潟県の月岡温泉に似ている。こちらは、石油掘削の時に見つかった温泉で、その泉質の素晴らしさに歓楽街も備わり、今や新潟県一の温泉と認知されている。そのせいか、高級旅館が目白押しで、まだ一回も訪れたことはないが…。
昼神温泉の泉質もいいらしい。月岡温泉は緑がかった硫黄泉だが、こちらはアルカリ泉で、スベスベヌルヌルの透明温泉である。いずれは、どちらも訪れてみたい魅力の温泉地だが、このふたつの温泉地は、大阪から不便この上ない。つい最近まで、新潟県は47都道府県の未踏地のひとつだった。大阪から新潟へ行く飛行機は便数が少ないということでべらぼうに高いし、阿智村は列車で行くには近辺の駅が遠い。確かにバスで移動するツアーでなくては行けない場所である。
しかし、「日本一の星空ナイトツアー」は、確かに魅力的だ。早めに夕食を済まし、ロープウェイで1400メートルの高地に行く。そしてカウントダウンで周囲の照明が消され、視界いっぱいに広がる星雲と、またたく無数の星…。主催者の写真を拝見したが、この前テレビで見た、南アメリカ大陸のアンデス地方の星空と同じレベルである。
うーん、見たい!日本一の星空、視界いっぱいに広がる無数の星達…。
この話を友人にした。すると、「やめといた方がいい」と言う。「君は日本一の雨男ではないか!せっかく楽しみに来た他の人の迷惑になる」と、マジな顔で言う。「確かに…。俺が旅の計画をすると台風が発生し、4月の九州に雪を降らせたな…」と、言うと、「今まで君と11回温泉旅行をして、その延べ日数は35日だが、このうち、24日が雨か雪だった。そんな君が、星空ナイトツアーに行くべきではない」と言い、ニヤリと笑った。
くそ、今度内緒でこのツアーに参加したろか!と思ったが、「満天の星空が見たい」のは、旅の副産物であり、予期せぬハプニングだからいいのだと気づいた。星空を一か月前から設定することはできないのだ。
富山県のある山の中の温泉旅館。昼間は小雨が降っていたが、夜中にトイレに行き、ふと見上げた星空に無数の星が燦然と輝いていた。その光景に感嘆し、思わず彼女を起こして、ビールを片手に二人で30分くらい星を眺めた。その宇宙的ロマンチックが忘れられないのだ。
しかし、その旅の後、彼女と別れた。本当に忘れられないのは彼女の面影なのかも知れない。