40歳になって、初めて読書の面白さを教えてくれたのは、東野圭吾さん
だった。温泉旅に目覚め、ディスカバリー・ジャパンの旅を続けていた
時に、地方に行き、交通不便の時間をカバーしてくれたのがミステリで、
最初は暇つぶしの手段だった。
北海道の函館で電車を待っている時に、キオスクで見つけた一冊が、東野
さんの「宿命」だった。若いころに、「横溝正史フェア」が大評判になり、
それに感化されてある程度ミステリを読んだが、その後、松本清張を読破
した時点で興味は薄れた。横溝正史(本格ミステリ)、松本清張(社会ミステ
リ)と言えば、ミステリの分野では二大長老である(先駆者の江戸川乱歩は
別格として)。
東野さんの本は、その後、20年ぶりに手に取った一冊。「なんて、面白
いんだろう!」と、素直に思った。横溝正史、松本清張の世界とはまった
くちがう、現代的なミステリ。いや、もっと深い、心理的で、人間の内面
を浮き彫りにしたミステリ。これは凄い…と、感じた。
それから旅の友に、必ず東野さんの本を2,、3冊バックパックに入れた。時
間的に、一冊しか読めないのだけど、「もし読む本がなくなったら…」と
不安に感じて、余裕を持たせた。家でもホテルでも、どんなに酒に酔っても、
寝る前に必ず数ページは読んだ。
東野圭吾の魅力は何だろう…と思う。文章がうまく、機知に富んでいる。殺
人事件などの謎は決して複雑ではないが、その背景にある人間のやるせなさ
に共感を覚える…。どれも快楽殺人ではない。やむにやむえぬ事件である…。
そこに人間の深い闇と抗いがある。
東野さんの本はほとんど読破したが、最近の作ははご無沙汰である。しかし、
東野さんのお陰で読書という娯楽の選択肢が増えた。これは感謝しかない。今
、韓国や、中国などの書店で、一番人気が東野圭吾と言う記事を見ると嬉し
くなる。どんどん、どんどん売れて、東野圭吾の世界を満喫してほしいと思う。
そこで俺の東野圭吾ベスト3!………と、もったいぶっても評価はほとんど他の方と同じである?
①悪意、②容疑者xの献身、③手紙
③の手紙には特に思いれがある。人生で初めて、電車通勤の折に、その結末
を読んで涙したのである。それも朝の通勤帯だったから、となりの女性は当
然、「なに、このおっさん、変態か~」と思ったのではないか?
自分も「悪意」読みましたよ。
いい作品ですよね。
事実の隠し方が巧妙でした。
それが明らかになった時、本当に驚きましたよ。
それに「容疑者Xの献身」も読みましたが、この作品もいいですよね。
これほどストイックな男がいることに驚きました。
そのうえ不器用な愛情にも胸を打たれましたよ。
「手紙」は差別について、つい考えてしまいました。
身内の犯罪によって世間から犯罪者の身内というレッテルを貼られてしまう。
その重さを痛感させられましたよ。
東野さんの作品は本当にいいですよね。
面白かったです!
東野さんの作品はどこでもあふれていますよね。